そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

なぜミットなのか?

加賀美と陸がキャッチボールをするシーン、普通キャッチボールといえばお互いグローブだと思うんだけど、キャッチャーミットでそれに「加賀美新」の名前が書かれてたのは、加賀美がピッチャーだから両方持ってるのかな、と思ったんですね。普通に考えてキャッチャー以外の野球少年はミットなんか必要でないから、ピッチャーが投げ込みをするときは当然自分がミットを持ってないと練習にならないからかなーと。(実際のところはどうなんでしょ?野球は全然詳しくないんで)
 
で、それとは別にドラマ的に意味を考えてみた。
最初のグラウンドのシーン、壁に向かってボールを投げる加賀美がキャッチボールをする親子に目を留めます。たぶん子供の頃に陸とやったキャッチボールのことでも重ねて見てるんでしょうが、キャッチボールというのはお互いが取りやすいようにボールを投げ合うこと。
そこに現れた天道の言葉もそれを踏まえた『なぜ父親の投げたボールを、息子のお前が受け止めてやらない』で、あくまで投げられたボールを「受け止める」キャッチボールを前提に加賀美を諭してます。
ちなみに天道は加賀美のボールを打ち返してますが、この二人は何となくキャッチボールでなく、どっちかが投げたボールを常に打ち返すような関係な気がしますな。
あと対比としては特に意味がないとは思うけど、4話の雨のグラウンドのシーンでも天道から加賀美にボールが投げられてます。今回、はっきりと『父親の想い、お前が受け止めてやれ』といってボールを投げてることを考えると、天道から加賀美に何かメッセージを伝えるということの現れとして、「ボールを投げる」というアクションがあるのかもね。
 
一方、夜のグラウンドのシーンは、陸は加賀美のキャッチャーミットを持ってグラウンドに現れます。
警察内では「警視総監」として場所をわきまえろと言い、そのあとのおそらくZECTの一室ではZECTの「ボス」として厳しく加賀美に接していた陸だけど、ミットを持ってグラウンドに現れたのは「父親」として現れたということだと思うんですね。
余計なことは何も言わないんだけど、おそらくかつてはそうやって加賀美と、もしかしたら亮の相手もしていたであろう陸。加賀美家が亮の失踪から壊れてしまったということを考えると、このキャッチボールをするという行為自体、それ以前のまだ父親のことを信頼していた頃の再現なのかも。
そしてキャッチボールと言いながらボールの投げ合いではなく投げ込みだということは、父親に対して全力でぶつかってもそれを確実に受け止めてくれる、ということの現れでしょうか。だからここでは一般的なキャッチボールではなく、ピッチャーの息子のボールを受け止めるキャッチャーとしての父親、全面的に信頼してもいい相手…ということなのかと。
そういう意味で、ここは加賀美が「父親に向かって全力でボールを投げる」ということが一番重要であって、そこをスローで印象深く、なおかつ投げきった加賀美のふっ切れた表情でシーンを切ってるのは、やはり心情的な演出においても頂点に立つ巨匠ならではの美しいシーンなのかな…と思った次第です。
ある意味、「家族の再生」でもあるのかな。
加賀美が元高校球児だという設定もさることながら、それをストーリーの随所で上手く使っているのを見ると、やっぱり加賀美は主人公なんだなぁ…と思うんですよね。