そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

わたしたちの教科書#12

http://www.fujitv.co.jp/kyoukasho/trailer/index.html
「世界を変えることは出来ますか?」この問いで始まったこのお話は、余りにも美しくこの問いで終わったよ。お話だからいいんだよ、こういうオチでも。満足。
話の殆どはすでに終わってたから、実際のところ「明日香の死の真実」が明かされるだけになっていて、音也の人質籠城事件はつまり、「自分が犠牲になることで誰かを救うことが出来るのか」ということと「死に直結する暴力は虐めの解決になりえるのか?」ということかな。
明日香は自分が犠牲になることで朋美を救うことが出来たし、明日香が亡くなった原因は虐めによる自殺ではなく単に事故だった。法廷のシーンと職員室のシーンがカットバックで被ってるのはそういうことだよね。ということで終了。


直之が言ったように明日香の死の真実が明かされたことで珠子の目的は果たされたわけだから、なぜ裁判を続けたのかについても勝ち負けとかでなく、続けることに意義があったわけですね。(裁判自体が間違ってたかも知れないと珠子自身が言ってるんだからどれだけ意識してたかは判らないけど)
それは間違いなく「世界を変えた」んだと思う。虐めがなくってない以上効果としては見えないけれど、確実に先生や生徒の意識を変えているのは確かだし、そのうち「世界を変える」ことが出きるのかも知れない。
ただ加地のいう虐めの特効薬があったとして、そんな理想的な社会や世界を思い描くことが出来ないというのは、加地は世界が変わるとは信じてないのか?それを『青春ね』という珠子はどう思ったのか。それも現場の人間の現実ということなのかなあ。
「世界」というのは「社会」ということよりも、「そこに存在する人の意識」であり、生徒との問答で出てきたそれぞれの生徒の考える答えのどれが正解ということもないんだけど、そう問い続けることが「虐めの特効薬」にしかならないという現実でもあるってことか。
朋美はずっと明日香の死んだ理由を知っていたのに、誰にもそれを言えなくて黙っていた。それ自体は罪の意識としては余り感じていない状態で、同じように虐められていたということで被害者として振る舞っていればよかったんだよね。
ただ、明日香に対して明らかに罪悪感のある珠子や兼良が、それを認めて痛みを背負うことで逆に正義を行おうとしたことと比べて、そもそもの原因を作ったにも関わらずそれを責められることもせず、逆に自分が犠牲になることで朋美を救おうとした明日香を結局死なせてしまったことは、朋美を思考停止に陥らせてたんじゃないかとも思うんだけど。一番いい解決法は朋美が死ねばいいんだけど、それを明日香に止められたから死ねなくなったんじゃないかな。というか心は死んでるよなあ・・・。だから法廷でそれを全て明かして自分のやったことを見つめ直したことで、朋美にとってのトラウマになってしまって心が壊れてしまったんだよな。
生き続ければきっといいことがあると信じる明日香、20歳の自分、30歳の自分、80歳の自分を想像できる明日香は、確かに「世界を変えることが出来ますか」と問えるだけの力はあったんだと思うよ。それなのにあっけなく死んでしまうということの残酷さを感じるし。だからこそ、そう信じる未来が美しいのかも知れないけど。


余りにも判りやすいメタファーだったんで語るのも恥ずかしいけど、朋美と明日香の秘密の場所が「廃虚」だったことで、EDのタイトルバックの廃虚はちゃんと意味が在ったんだってやっと判ったよ。まあつまりは判りやすく「廃虚=死と再生の場所」なんだけど。
廃虚で、朋美が死のうとしたのを明日香が止め、虐めが辛くて死のうとした明日香が自分は一人じゃないと思い直したこと、心が壊れてしまった朋美が秘密の廃虚に行くことで明日香の手紙を読み立ち直ること。明日香が自分に手紙を書いたのは、ひょっとしたら挫けそうになるたびにそこに戻って手紙を読むことで生きる力を得ようとしたんだろうけど、思いもかけない事故で死んでしまった。でも代わりに朋美が生きる力を得ることが出来た。死のうとするたびに廃虚に戻って、そこで生きる力をつけて辛い現実に戻って行く。
EDで生徒たちが廃虚を駆け抜けていくのはそうして死を体験して、より強い生きる力で現実に立ち向かっていくってことだよな。それが学校・・・とまでは言わないけど(でもそうかも知れない)、通過儀礼として「学校」という理不尽な場所を駆け抜け、現実に立ち向かう力を得ること。世界を変えることが出来るかどうかは判らないけど、ひとりひとりがより良く生きる力を手に入れれば、いつか世界は変わるかも・・・ってことでしょうか。


最終回の八幡先生。
みんなで音也を取り押さえてるときに、一人だけ何もせずにボンヤリ座り込んでたよ!ああ、八幡先生・・・( ´Д`)
八幡日記。ヒロたんにとって教科書になればいいねえ。というか河毛俊作氏の演出や、演技の達者な人たちと仕事出来たことは本当においしいと思ってて下さい。これからも頑張れヒロたん!
五十嵐くんのほうが上手いなんて、そんなこと言われなくても判ってるヨ!(誰に言ってんだYO!)

追記:

見終わって家人と話してたんだけど、1話で虐められて情緒不安定な明日香と最終回で未来を信じてる明日香は、キャラとして統一されてないように見えるんだけど、これって他の教師や生徒たちで描写された「人としての多面性」とは明らかに違うよね?その辺が微妙に誤魔化されてるようで腑に落ちないように思うよ。話のキモだけに、ちょっとだけご都合的な、物語のためのキャラ描写過ぎるかなあ。それとも何か他に理由があんの?

追記その2:

いいけどコメント書いてて公式の相関図見にいったら、ちゃんと一つ前から朋美と兼良の間に関係性の矢印がついてる・・・
インタビュー読むと、役者さんたちは先の展開は教えられてないけどそれなりキャラの説明は受けてるみたいなので、わりと正しく解釈はしてるんですね。