そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

トランスフォーマー

http://event.movies.yahoo.co.jp/theater/transformers/(映画公式がないよー?)

ロボットアニメが実写で再現出来る日が来るとは!スゴイ、ちゃんとTFだった。ストーリーのアウトラインは外してないと思う。それはいいけど、何となくアニメのTFってよりはオレは「勇者エクスカイザー」を連想してしまいますよ(笑)(たぶん元は同じ。タカラだし)
ちょいネタバレがあります。(隠さないけど) 監督が好きなので結構語りますよ。


ザ・ロック」のカッコイイところと「アルマゲドン」のバカ映画なところ*1 を両方突っ込んでるスバらしさ(笑)どっちかというとこの監督の文脈はバカ映画だからこれでいいです。妙にハリウッドパターンを崩してくるんだよな。
マイケル・ベイ監督の面白いところは、なにげに権力をコケにしてるところとバカな展開を堂々とやるB級スレスレの展開だと思うんだけどさ、(この辺エメリッヒの「ID4」と似てるけど、エメリッヒの方が大作としてベタに開き直ってると思うのはやはりベテランだからかな?)そういう意味では「パールハーバー」と「アイランド」(見てねー)はあんまりこの人の柄じゃないかも。(バッドボーイズは見てねー)根が真面目なものやっちゃダメ。
どっちかというと話よりもとにかく画面的なカッコよさが圧倒的で、こういうモノが好きな人には堪りません。理屈じゃないんだよな。この辺、感覚的なところでも先の二つと同じなんだと思う。


まず問題点としては、話としてはホントに何となく流れで進んでるんだけど、途中、というかキューブが見つかってからの展開があまりにも強引過ぎるのと、そこから話が判らなくなるってことで。(何が起こってるかは判るんだけど)
セクター7のポジションが説明されないままいろんな立場の人間がダム下の秘密基地に集められ呉越同舟で〜何してんの?とちょっと置いてきぼりになるんだよ。そもそも主人公に最初から与してるオートボットが正義だってことをハッキリ言ってないってこともあるけど、車(その他)の車種を覚えとかないとどっちがオートボットでディセプコンなのかが映画のスピードでは判りにくいってこともあるかなあ。トランスフォームしたロボットたちがリアルすぎて見た目区別がつかないってのもあるけど。
メガトロンが復活したあと、キミらどこへ移動してどこで誰と戦ってんのよ?とボンヤリ画面を見るハメに(苦笑)画面ではスゴイことが展開されてんだけどさ。サムがキューブを誰に渡そうとしてんのかも全く判らんかった。ここ特に意味不明。渡すのはプライム、またはオートボットにじゃないのか?
全体の展開は冒頭のナレーションをちゃんと聞いとかないと、劇中で状況を説明してるところってなかったと思うんで要注意。
あ、カタール基地が破壊されたあとの生き残り兵士の放浪辺りも判りにくいかなあ。判りにくいというか、物語の本筋に対して何やってんの?って意味で。


まあそれはさておいても、全編にわたって面白いんだよ。笑えるところ多数。オレはこの監督のセンスって好きなんだけどさ。(基本的にマイケル・ベイのギャグって日本人に判り易いと思うよ)
最初、すごくシリアスな宇宙生命体の侵略行為っていう地球レベルの危機と、主人公の青年の車を手に入れて彼女をゲットできるかどうかで人生が決まる的なささやかな野望が同レベルで平行して描かれてて、その対比がまずオカシイ。実は主人公てのは平凡な家庭ってわけでもないんだけどね。冒頭での祖父の話と意外に豪邸に住んでる、でも生活そのものは普通レベルってのがちょっと判りにくいかな。
エクスカイザーと似てると思ったってのは、あれも車になった正義側の宇宙生命体と主人公の少年との日常の中でのやり取りでのカルチャーギャップで笑えるところがいいんだけど、この映画はそういう描写を判り易く絵で見せてるとこで、喋れないから(あとで発生装置が壊れてたと判明)ラジオの音声や歌を繋いで意志の疎通をしようとしたり(これ自体はありがちなネタだけど)、両親が手入れしたキレイな庭を踏み荒らしてしまう正義のメカたち(車になったらなったでここは駐車場じゃないと来たもんだw)と、そのあまりに低レベルな会話内容が判り易くて笑えるんだよ。下ネタギャグも多いし。
そういうギャグ関連がかなりあるのと、もともとのこの人の持ち味だと思うけど、セクター7で国防長官・エージェント・空軍生き残り兵士・雇われ学生チーム・主人公たちのわけわからん混成部隊でディセプコンと戦うところがあまりにお間抜けすぎて実はギャグか?っていうとこ。この人はどうしても偉い人を貶めたいらしいんだよな(笑)セクター7のエージェントが脱いだらアレってのもそうだけど(笑)(しかもこいつがヤな性格だしw)
こういうとこが妙に力技とというかインチキなところなんだよなあ(苦笑)*2


あとやっぱりマイケル・ベイがスゴイのは画面構成力が並のセンスじゃないってところ。シビレル!
この人の画面ってカッコイイということと演出的意味がちゃんと両立してて、尚且つ捻りも効いてるんだよね。
トランスフォーマーたちの見せ方もそうだけど、この映画の場合お金が掛ってるのは当然としても、そういう問題じゃないセンスの良さというか、説明的カットでも地味だけどあまりこういう撮り方しないだろうというのがあったり、そういうところでの目のつけ所がいいんだよね。見せ方が上手いというかさ。
今回は特にアクションが多かったせいかカメラワークや演出もすごくて、特にサムが追いつめられるところでは殆どのシーンで全景とアップにバラエティ的な固定カメラ映像が混じってたり、移動しながらのトランスフォーム時のアングルが可変的だったり、そのアイデアがスゴイというか面白いというか、でも奇を衒ってないから浮いてないし、判りにくくはならないんだよなあ。
叙情的な見せショットも美しく決まってるからすごく効果的だし、これはもうザ・ロックの時からのこの人の特徴だよな。
あとインタビュー見たらCGショットが意外と少ないらしい。ええー、どこが!?って感じ。やっぱアナログ的なものは画面の説得力としては強いね。


話には情感的なものが基本あまりないんだけど、これはもうちょっと主人公のサムとバンブルビーのやり取りをそういうものに持っていってくれてたらなあと思った。サムの愛犬のことが結構出てくるからペットのつもりかと思ってたら(バンブルビーがね)一応友達感覚だったのね、と最後の方で判るのがもったいない。バンブルビーがリーダーメカじゃないからかなあ?最後バンビーがサムのところに残るって言っても、みんな残ってんじゃん、とかさ。
あとそういう意味ではテーマとして前面に押し出してはないけど、「誰かを助けるために自分を犠牲に出来るか?」というのがあるけど、これもラストがあまりにあっけなかったんでかなり勿体無かった。ひょっとしてそのくだりはカットしたのかなとも思うけど。(最後のメガトロンをやっつけるに至るとこのあっさりとした展開がちょっと不自然だから)
あとそういいながら、犠牲になるのはサムじゃないってのもね。その辺はどうしてもリーダーのプライムの責任感と、サムと心を通わすのはバンビーだっていう微妙なズレの問題かな。
それ以外では妙に空軍の描写が細かかったり、小ネタがいっぱい仕込んであったり、キャラの説明は殆どないのに言動でいろいろちゃんと判るようにはなってたり・・・というキャラ描写の細かさとかはやっぱりこの監督の持ち味だと思うんで、その辺は良かったです。*3


ところでパンフくらいにはオートボット(サイバトロン)・ディセプコン(デストロン)のメカも載っけて下さい。名前が判りませんよ?あと日本のTF見てた身には名前の変更が判んないんだよな。リーダー(オプティマスプライム)はコンボイ指令官だろ?(笑)

*1:知り合いが「ドカチンが宇宙に行って彗星を爆破させる話」と単的に表現して笑った。感動なんかあるもんか(笑)気のせい気のせい。

*2:どうもこの辺、電王における石田監督のテイストに似てるんだよな。たぶんオレが好きなのはそういうことだと思う、どっちがどうとかじゃなくて、こういうインチキな持っていき方の感じが好きなんだ。画面的なハッタリの利かせ方も似てるし。

*3:脚本は違うだろうけどこれはザ・ロックも全体のテイストとしてはそうなんで、もうちょっとコンパクトにまとまった完成度の高いものってことであれば「ザ・ロック 特別版 [DVD]」はオススメです。