そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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トロピック・サンダー 史上最低の作戦

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この映画、ベン・スティラー監督作品のわりに、わりあい世間的には好意的な評価というか「スター競演、パロディ満載爆笑コメディー」って感じで紹介されてるけど、どう見ても客を選ぶ映画ですよ?まさか「ナイトミュージアム」でベン・スティラーの作るものはファミリームービーだと認識されてるんじゃあるまいな?とんでもないよ(苦笑)
オレは面白かったですが、結構グロ描写ありのコメディ映画ですから、そう言うのが苦手な人は気をつけた方がいいよ。一応レーティングついてるけど、まあオレですらどうかと思ったけどね。ゲラゲラ笑っちゃったけど、ブラックさは120%真っ黒。ストレートでも捻ってても真っ黒くろすけ。
さすが初日に来るだけあって、今日の新宿ピカのお客はみんな結構声上げて笑ってたなー(笑)
俳優たちの映画だから、冒頭にニセCMやニセ映画予告編があって、劇中に出てくる俳優としての作品紹介があって彼らのことを知ることができるようになってる作りは上手いです。何となくなんかの映画のパロディって感じでね。
笑ったのがラザラス(ロバート・ダウニー・Jr)主演の「悪魔の小径」ってどう見ても「薔薇の名前」みたいな映画の相手役がトビー・マグワイヤで、もちろんホモセクシャルネタなんだけどさー(笑) *1
まあ何もかも本気度高すぎて、コメディ映画なのにリアリティありすぎ。いろんな意味で。
 
見やすいというか、バランスはいいんだよね。キャラも主演3人だけでなく満遍なく見せ場も出番もあるし、脚本もよく練れてるし。ただ全体的には飲み屋での与太話をそのまま映画にしたようなイイ意味でのバカ映画。たぶん冒頭とラストなんかはもうそのまんま「こうだったら面白くね?」って喋った通りに作ってみたって感じか?(笑)
本気度の高さってことではベン・スティラーが構想20年って言うくらいだから、話も見せ方も考えに考え抜いた物なんだろうけどさ。
どこ見ても笑っちゃうのは彼らが本気だからだけど、「トロピックサンダー」って映画に対してというか、劇中の映画撮影に対して本気な役者の役を本気でやってるからというか、パンフに劇中映画のパンフがオマケでついてるけど、まるきり一昔前の本物のパンフみたいで笑った!(笑)
ただのおバカ映画じゃないところは、「ナイトミュージアム」はファミリームービーだからそうでもないけど、ベン・スティラーの映画って必ず彼ら俳優にとっての哲学的に真面目なセリフがあって、それは本当に深くて意味のあることを言ってるんだよね。ただそれを言う状況がまるきりおバカなので上手い具合に相殺されて、過剰にシリアスになることはないってのがいいのね。そのシリアスな部分が浮いてないというか、取ってつけた感がしないからリアリティを感じるというか、やってる方も判っててやってるからというのもあるんだろうけどさ。それは明らかに判るのね。
今回の映画も設定からして落ち目の俳優の復活だのやり過ぎ俳優の自己探求だの、いろいろな人生の転換点をとんでもない状況で迎えてしまう場面が盛り込まれてるけど、それが何って感じの、全体に内容は本当におバカ映画(苦笑)内容と見せ方のミックスさ加減が上手いというかさ。
ベン・スティラーもジャック・ブラックもロバート・ダウニー・Jrも、素ではものすごいクレバーな人たちばかりなのに、役をやってるときは「シリアスぶってるけど頭空っぽのアホ」「下品なサイテー男」「真面目に見えるイカレ野郎」に見えるから不思議。みんな目はマジなとこが本気でかなりイカレてるとは思うけど。
まあ特に見どころはロバート・ダウニー・Jrの"黒人役になりきる俳優"の演技なんだけど、劇中映画のキャストにホントの黒人も入れてるからかなりすごいことになってるというか。とにかくいろんな意味でスゴイ。
ところでオレも当然のようにオーウェン・ウィルソンを探してしまったんだけど、どうも今回はある事情によりドタキャン不参加らしいね。まあどう見たってマシュー・マコノヒーのやってるタグの15年来の友人でエージェントの彼がオーウェンだったんだろうけど。だって見た目そういうキャラ作りだし。ああ残念。あのバカキャラを彼で見たかったよ。マシューも期待通りのバカキャラになってたけど、だからこそ、オーウェン・ウィルソンだったらなぁと‥‥。例えば相方が言うには、彼がやってたらいつも通りのベン・スティラー映画で盛り込みすぎになるからマシューでちょうどよかったって言ってたんだけど、そういうことでなく、オーウェン・ウィルソンは全方位的に可愛げのあるバカなのがいいんだよなー。
オレ的になんかすごくリアリティあったとこがさ、タグが捕まって人質交渉の電話を受けた非常の敏腕プロデューサーがあらゆる罵詈雑言を浴びせたあと「我々はテロリストとは交渉しない!」って電話切ったときに、周りの取り巻きたちが拍手するシーンなんだけど、笑いながら思わずオレも拍手しそうになって自分でも笑っちゃったヨ。プロデューサー、カッコよすぎ!(笑)
あとバカ映画なのに、バカ映画的にタグのエージェントが人生の選択を迫られるところ。タグを見殺しにして保険金と自家用ジェットを取るか、タグとの15年来の友情を取るかをプロデューサーに迫られるんだけど妙にリアリティあって、まさに「人が悪魔に魂を売り渡す瞬間」を見てるような気分になったよ。まあ、バカ映画的にそんなことにはならないんだけどさ。しかも最後、オチ的にバカをやってくれるんだけどさ(笑)
あとはタグのいろんな「間違いっぷり」があまりに痛くて、なんか目を覆わんばかりな感じが‥‥リアル勘違い俳優のダメっぷりを見てるよう(苦笑)
それにしてもキャストもそんなにメジャーネームいないもんな。あの大スターはともかくとして。
以下一部では普通に話題になってるみたいだけどネタバレにしとくよ。(主にあの大スターのことで)
 
マジで、あのプロデューサーがトム・クルーズだって、気がつきませんでした。EDでテロップ出るまで。相方も気がつかなかったからオレが気がつかなくても当然だけど。声でも気がつかんかったなあ(といってもトムの声なんか覚えてないけどさ)だって、見た目もともかく、あの演技はすごいよ?まさかあんなキャラをやるとは思わないし。でも言われたら納得というか、キャラにものすごい説得力があるんだもん。笑っちゃった!トムを見るためだけにもう一回くらい見てもいいかなぁと思うくらい。ホントに。

*1:あんまり昔に見たから忘れたけど、あの映画ってそう言うの臭わしてたよね?