そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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レッドクリフ PartII 未来への最終決戦

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part1は何が何だかって感じだったオレちゃんですが、今回は全然大丈夫。冒頭についてる前回までのあらすじも判りやすかったしというか、あと戦うだけだもんな。
なんというか全てのシーンが「超カッコいい!」に尽きる映画でした。何もかもがカッコいい。全てがクライマックス。
映画としての物量作戦(って言っていいのか?)というものがこれほどまでに感動出来るものとは‥‥というね。
戦ってるシーンだから人死んでるんだけど、そういう問題じゃない、あまりにもカッコよすぎて見とれるばかり。感想自体、カッコよかった!だけで終らせてもいいくらい。
今回はpart1の時のような個人の活躍のカッコ良さじゃなくひたすら「数」の問題で、10万本の矢を集めるシーンでも、延々と船が爆発炎上するシーンでも、大勢の兵士たちが入り乱れて戦うシーンでも、圧倒的な物量作戦にひれ伏すのみでした。もー、スバらしい!CGじゃない大群、スゴ過ぎる!いやもしかしたらCGの軍勢もいるのかも知れないけど判んねー。判んねーVFXスバらしい!
特に映画の画面ってさ、たくさんいるように「見せる」のは簡単だけど、本当にたくさんいるように「実感させる」のは難しいと思うよ。その辺でその「数」をいかにして効果的に切り取るかというのが監督の手腕だし、センスなんだと思う。5万対80万の軍勢に二千隻の船、10万本の矢の見せ方があって、だんだん実感として数が感じられてくるところに、それを考える暇のない畳みかけるような孫権軍の火攻め攻撃が、ひょっとして曹操軍の数を上回ってんじゃないか?という錯覚を起こさせてるところがすごいというか、そんな印象。
 
開戦を待つのみ‥‥とはいえ、その開戦を焦らされまくりでハラハラドキドキ。途中、早く東南の風吹いてーと思うんだけど、その開戦までが見どころ満載でそれはそれでまた面白いんだよな。
前半の展開はどう見たって連合軍の方が正しい、あっちに大義があるじゃんって話でさ。
そもそも曹操小喬を略奪するための戦いであるのに、それに加えて曹操軍での疫病の流行で死んだ病人を連合軍に流して戦力を削るやり方が、戦の正攻法は元より人道的にも非道な行為として描かれていて、そりゃ誰がどう考えても曹操がヒドイだろって話で。味方だってそう言ってるしさw(というか、せっかく尚香が疫病が流行ってるって教えてくれてるんだから、孔明も気付よって思うんだが‥‥w)
その辺でこの物語で曹操は悪い、孫権劉備の連合軍側は正しい、という描き方をしてるけど、その曹操だって病人には心を痛め、兵士たちの功労に税を免除しようという上に立つものとしての温情も持ってる。田舎出の兵士の叔材が蹴鞠が上手いからと隊長に取り立てたり、一国の君主としては器量が大きいという部分は見せてる。
その上でやっぱり孫権劉備の連合軍が正しい、大義があるんだというのは、やっぱり小喬というわかりやすさだと思うんだよね。自分の欲で戦いを仕掛けたり、戦のセオリーを無視する非道な行いに大義はないってことに見えるんだよね。
疫病で苦しむ自軍を見て心傷める小喬が一人曹操のところに乗り込む決意とか、その小喬曹操のところに置いたまま予定通り戦を仕掛ける決断をする周瑜、そこに同情しつつその毅然とした態度に結束する連合軍という盛り上がりの持っていきようとかみたら、そら正しい大義を持つのは周瑜たちだって思うもん。
だから孔明が火攻めのための風を読むということすら、この映画では気象学や地理学を駆使した科学的なアプローチの結果だと見せてはいるけど、どっちかというと天が連合軍に味方したように見えるのが、流れとしてはシビレるんだよね。
孔明の見せ場は10万本の矢のとこなんだけど、一番カッコよかったのは風が変わった合図で羽扇子を振り降ろすとこだと思うもん。カッコイー!
 
そういや男たちは動かないのがカッコいいんだけど、女性の方は自分で動いて行くのがまたいい感じに話のアクセントになってて、相当ハラハラさせられたよ。
尚香がスパイに入ってるのもいつ見つかるのかとドキドキしたけど、そこで叔材に出会って、ああ好きになるんだろうなーと思ったけど、これ叔材の方は尚香のこと男と思ってんだよね?デブ助って、女だって気がつけよって感じだけど(^_^;)このキャラの使い方も上手いし、戦場で再会した時の叔材って、その判ってなさも含めて気持ちでしか物を見てないところが良いんだよね。単なるバカキャラに見えないんだもん。というか、戦場で再会したのに死んじゃったって、泣いたよ。
小喬も自分でわざわざ曹操のところに鴨葱で出向いていかんでもって気はするけど、まあ上手いこと出陣を遅らせることが出来たのはお話とはいえ相当ハラハラしたしな。それにしても小喬は美しすぎる。ここでの説得力って、それに尽きるよなあ(笑)
結局小喬が危ない橋を渡っても勝機を導こうとしたり、尚香が命がけでスパイをしたりすることが、「この大義にどうして命を掛けなければならないのか?」ってとこなんだけど、それがそのまま連合軍の大義の正しさに見えるようになってるのが、気持ちの流れとして正しくて、そのあと敵味方入り乱れての混戦で余計なことを考えずに連合軍に肩入れ出来るからあの戦のシーンが爽快なんだよな。
またオレはちょっと分かりにくかったと感じたんだけど、劉備が「敵を欺くにはまず味方から」で、疫病のせいで撤退したと見せかけて、その実は三将軍にもいわず攻撃には加勢するつもりだったというのが、信義を重んじる話としてカタルシスなんだよね。一度落としといて持ち上げるという。うん、でも判りにくかったけどね、団子の話といい(^_^;)この映画って、劉備の描き方が周瑜孔明と比べるとちょっと少なめだよね。
思考停止するくらい爆発炎上する火攻め攻撃で、甘興のカッコよすぎる死に様とか率先して戦場に出てくる孫権の金の鎧とか、叔材の死が描かれたり、いろんなドラマもちゃんと展開してるし、もう前のめりになって見ちゃったよ。
最後は追いつめられた曹操小喬を盾にしたりするんだけど、あれ、殺さず逃がしていいんだーとちょっと思った。ホントは関羽が信義によって曹操を逃がすって話なんだって?(相方に聞いた)まあ映画的には勢揃いの方が楽しいけどね。
でも、戦いが終っても「勝者はいない」ってのは「七人の侍」へのオマージュだっていうけど、そこんとこは意味がよく判りませんでした。(七人の〜は勝ったのは侍でも野党でもなく農民だってオチでしょ。農民の逞しさを言ってるという意味での)
むしろ勝者はいないけど、悪いのは曹操じゃん。そのために一体何千人の兵士が死んだと‥‥(-_-)
周瑜孔明の別れもあっさりしてるけど、この人たちも次は戦う相手同士なんだよね。そう考えるとまああんまり考えない方がいいのかもね。このシチュエーションのみでのこの盛り上がりってことで。
元の三国志は知らんけど、この映画はジョン・ウー的な「愛と信頼と友情の物語」としてものすごく面白かったんで、大満足です。
香港ノワールとかは好みじゃないから見てないんで偉そうなことは言えませんが、本当にジョン・ウー監督が長年積み重ねてきたものの集大成というか、いきなりこんなもの作ろうったって絶対無理なんだから、長い間この映画をベストの状況で作ることだけに腐心したその結果がこれというのは、大変に素晴らしく感動的なことだと思います。今までの作品、全部が全部自分の思い通りになったわけじゃないだろうにさ。(よく知りませんが)
モノを作るということはこういうことだと思いたいよ。
なんとかもう一回大画面で見たいなぁ。1&2連続上映とかやればいいのに。

そういやpart2の分も出てんだよね。買いそびれたので今度買わなきゃ。
岩代太郎はこのテーマ曲でアカデミー賞とってもいいくらいだと思うよ!本当に素晴らしいよ!