そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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東のエデン 〜#10

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今回やっと話の概要が見えてきたんで面白くなりました。
神山健治監督は一応攻殻機動隊SACの監督ってことですが、押井監督の攻殻と違うのは、押井の攻殻はあくまでも「押井守風の攻殻機動隊」であって、士郎正宗攻殻じゃないってことね。(といっても攻殻だけウチにあるのになぜか読んでないんですが←読めよ)
だからどちらかというと神山監督の世界観の方が士郎に近くて、それはどういうことかというと世界に対して善悪の区別なくフラットでカオスなことが当たり前だって思ってるってことなのかも‥‥と、ちょっと思った。あ、価値として平等であるってだけで、誰かの犠牲の上に誰かの幸せが成り立つことを容認してる物語世界ってことね。
この作品のキャラ原案が羽海野チカなのもそれなら判ると言うか、ハチクロもわりとそういうとこあると思うんだ。いい悪いじゃなくて、いいことも悪いことも何でもあるのがこの世界だっていう一種の諦めに似た(とオレは感じる)フラットな価値観の世界。そして、その何でもありな残酷な世界の中で主人公たちがどう考えてどう行動するか、どう生きて行くのかっていう物語‥‥みたいな感じといいますか。
「近未来」って語感には、世界が今より良くなってるという明るいイメージよりも、悪くはないけど良くもない、今よりちょっとだけテクノロジーが進んでる分、主に情報格差が生まれ、それに選ばれたものとそうでないものが混在し、そうでない一般の人々のレベルではわからないところで世界が動かされているけどそれに気がついてない、そういう混とんとした状態のイメージがあるのね。そういう中で、じゃあ「善いこと」ってなんだろう、そもそも「善いことって何?」いうのを"若者である"主人公たちが模索する物語なんだよね。
今回、No-01の物部氏たちの言ってることは暴論だけどある意味正論で、もし知らないところでそれをやられて、いつの間にか世界をコントロールされていたら社会としてはそれが正義ってことになるんだよね。
でも記憶を無くしてても無くしてなくても世界は誰か一人の意思で決められるものではないと(たぶん)思ってる滝沢はそれには反対だし、咲はその滝沢を信じてるんだから彼らの方が正しいんだよ。だってそっちの方が考え方として美しいから。美しいから理想なの。
そして物部氏と滝沢は世界を動かす力を持つ権力者(Mr.OUTSIDE)から同じ力(ノブレス携帯)を与えられてる以上、両方とも正しい。「正義」と「悪」という分け方でなく、この世を動かすのは「善いこと」「と「善くないこと」という微妙な二元論というか、でもそれは相対論じゃなく絶対的価値観なの。じゃないと意味がないのは、若者の青臭さって言うのは、何かを信じることが出来る絶対的な価値観を持ってるかどうかってことだと思うから。
この場合作り手側の価値観って物部氏と同じで、たぶんあるべき理想のポジションがMr.OUTSIDEなんだろうと思うんだけど、そういう意味でオレがこういう話に弱いってのは、いろいろ知ってしまって悲観的な未来を思い描く方が簡単な大人だからこそそうじゃない若者の理想論に乗ってみたいなあという一種のファンタジー幻想を抱いてるってのは否定しません(笑)若い人はどう思うんだろう、こういう話。滝沢や咲に共感するのは同じなんだろうけど、どうしてもそこにある種の諦観を見てしまうのがやっぱり大人な気がするよ。
ああそうだ、なんというか、若者が青臭い正義感を振りかざして戦ってるのを彼ら目線で見た話よりも(不良物とかセカイ系の恋愛物とかみたいな)、そうやって戦う若者を「君らのやってることはなんて青臭いんだ」といいながら、「でもそれが叶うといいねぇ」と遠くから眺めてる大人の目線の話が好きなんだよな。だから平成ライダーが好きなのよ(笑)
あとこれの川井憲次の音楽がよくって、最近何となく思い出してデビルマンのサントラ *1 引っ張り出して(いやituneに入ってますが)聴いてたんだけど、たぶんこのアニメのせいだね。あれと同じくらイイねぇ。