そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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白い春#11(終)

http://ktv.jp/haru/index.html
ああ、そう来たか‥‥(;´Д`) 
なんか、下総食堂といい、春男が亡くなるとこといい、いきなり殺した組長の息子が来ることといい、なんか無理なく行間を読ませる素晴らしい脚本で、演出でした。
春男に羽が生えてたのはちょっと笑ったちゃったけど、さっちゃんには最初からおじさんに羽が見えてたんだねえ‥‥(´Д⊂ヽ ああ思い出すだけで泣ける。
春男が本当のお父さんだってことを知っても、康史のためにそのことを黙って知らない振りをするさっちゃんはどんだけ賢くて物分かりが良いんだって話ですが、それは春男が康史の8年間を考えて身を引いたのとは違って、"春男が「そんなことを言ったらお前の親父が悲しむだろ」って言うから"だろうなとは思うんだよね。おじさんと会えなくなるくらいなら黙ってた方がいいっていう空気を読んだというか、大人は8年間の絆が‥‥とかそういうとこで考えるけど、たぶんさっちゃんは子供だから"今"しかないんだよね。今おじさんがいてくれればお父さんでもお父さんでなくてもいいというか。
というか、春男が本当のお父さんだって認識はしても、じゃあ今までのお父さんは本当のお父さんじゃなかったんだって認識の描写がないから、さっちゃん的にはお父さんが2人できた、ワーイってくらいなんだろなぁ。今までの自分に対する康史の気持ちを全く疑ってないというか、なんて愛されてる自信!さっちゃんスゲー。
というかたぶん結婚してないのに家族みたいな佳奈子さんのような立場の人がいて、そういう血の繋がりとかよりも今自分に優しいかどうかってことで物事を考えてるのかなあ。それはそれである意味達観しててスゲー。

春男ってたぶん人生に望むものが少なくて、ヤクザのチンピラとかやってても金が欲しいわけでも出世したいわけでもなく、真理子さんとひっそり暮らせれば良かっただけだろうし、真理子さんの病気のために人を殺しても、それが彼女を悲しませるとか思わずに彼女が生きて幸せになってくれればいいと思って、しかも刑期を務め上げても罪が消えると思ってるわけではなく、それを背負ってやっぱり生きてくわけで。
だから今更安岡があの金はスナックの開店資金に使ったって聞いても、でもそのお陰で今は幸せに暮らしてるんなら、真理子さんが生きて戻るわけでもなし、友達だったからで絶交だけで許してしまう。安岡だって悪気があってそんなことをしたんじゃないんだろうってのは、まあそもそも春男がそうまでして金を作りたかったことも無にしてるけど、出所した春男の世話をそこそこ焼きながらもちょっと過去のことを聞かれたくらいでホントのことを喋っちゃう、しかも罪の意識で自分を殺してくれというって、どんだけ頭の中短絡的なんだと思うけど、その辺はたぶん春男も似たり寄ったりなんだろうなあ。
まあそんな春男も、さっちゃんが康史の元で幸せに暮らして行けるってことをやっと確認出来たからこそ身を引く覚悟が出来たんだろうし、それは別に会いたくないってことじゃなく、あのままだったらそれなり康史やさっちゃんたちとも交流しながら、大きくなるさっちゃんを見守って行くことが出来たんだろうと思うんだよね。
下総食堂でどういう経緯で働くことになったかはもう画面の向こうの人たちの胸の内でしかないけど(でもああいう控えめな描写がいいというか、お墓に供えられた酒瓶とコップとか、おじいさんあんな山奥のお墓まで‥‥)、おじいさんに気に入られ、うって変わって愛想よく働く春男を見てたらなんか涙が‥‥
だけど組長の息子(浪岡かよ!w)が春男を狙ってきてあんなことになってしまって、自分が恨まれて刺されるのは受け入れられてもさっちゃんから父親を奪うことは受け入れられない、それはさっちゃんや康史のためでなく自分の望みとしてさっちゃんの父親の康史を殺させないってことだと思うんだけど、自分の幸せは何も望んでなかった春男が命と引き換えにしてもいいと思った最後の願いがたぶんそれだったんだよね。
むしろたまたま春男が手伝いにきてたあの日じゃなくて、強面の康史が自分と間違われて殺されちゃったりしたらそれこそ春男は自分を許せないだろうし、命がけで敵討ちにいくんだろうなあ。ああ思い出すだけで泣ける‥‥(´Д⊂ヽ
まあどうせ組長の息子はツダカンの手下から聞いたか、恨みを持ってる息子にあえて情報流したか‥‥なんか恥をかかされたってことを根に持ってそうだから、息子の恨みを知ってて、春男が死んでもいいつもりで情報を流したような気がするけどさ。浪岡が捕まってもツダカン的には何の痛痒もないだろうし。
悲しいのは康史や佳奈子が全部判った上でそういう春男との付き合い方を選んだところで当の春男が亡くなってしまったってことで、春男にだってこれから幸せになる権利はあったはずのそれが叶わなかったことの悲しさというか。康史は春男が刺されたことを仕方ない、自業自得だとは思わないだろうけど、そういうことが判った上でも良い人間関係を築いていけるのが大人だと思うんだよね。その機会が失われたことが悲しいんだよ。
さっちゃんが春男と過ごしたのは数カ月だけど、その思い出を絵に描いて部屋中に張ってくのは、ある意味村上家の過去のアルバムと同じ意味なんだと思うけど、春男がアルバムを見てさっちゃんが今まで幸せだったことを確信したように、康史たちもさっちゃんの絵を見て、さちよりもむしろ春男が幸せだと思えるってことじゃないかなぁと思うのだ。ああ書いてて思い出して泣ける (´Д⊂ヽ
栞と勇樹がちゃんと働いて上手くいってるのとか、春男と出会ったことも影響してるんだろうと思うし、あの新聞記事とか、なんか、世間的には自業自得のヤクザと更生した元ヤクザの事件って感じで報道されてそうだけど、関係ない人にはその程度の事件でも、その陰にこういうドラマがあったんだなぁと思わされるリアリティとかって、やっぱりこのキャストならではだろうと思うんだよね。というか吉高と遠弥のリアリティというか。春男とパン屋の人たちのお話はドラマとしてのそれっぽさなんだけど、それをなんか本当にあったことかのように見せてしまう上手さがあると思ったよ。語り部ポジション的な?
何だかんだでさちにそれなり気を使ってた康史たちも、春男のお陰でたぶん今まで以上に家族になったような気がするし、なんかジンワリ泣ける良いドラマだったよ。本当に面白かった。
にしてもドラマ終わったあとのあのDVDプレセント、コワカワストラップの「一生付きまとうぞ」に笑ったw そういや後半、だいぶ春男はマトモになって、そういう笑いどころは減ってたなあw もちろん応募しました。当たんないとは思うけど。