そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

金曜プレステージ 木枯し紋次郎

http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2009/090401kogarashi.html
GOEMON公開前の放送だから相当寝かせましたがやっと見ました。
子供の頃に見た記憶はあるはずですが(だって紋次郎ごっこやってたから)正直あんまり覚えてないんだよな。ただ今回のよりはもうちょっと軽さがあったような気がしたけど、気のせいだろか。それとも主題歌が妙に希望に満ちて明るいからそんな印象なんだろか。
たまたま去年の暮れ頃何となくマイブームで、某つべから主題歌の「だれかが風の中で」を落としてきてグルグル聞いてましたよ。この歌大好き。
そういや前のSPは岩城滉一か、見た気はするけどピンと来なかったのは単に好みじゃなかったからか?
だいぶたってるんで感想はサクッと。

えーと、江口洋介の紋次郎がニヒルでカッコよすぎです。金蔵の小澤征悦さんがなんともいえなくイイ感じでした。源之助の渡辺いっけいはさすが確実に外さないですねー、彼はこういうイヤらしい感じのキャラをどうしてサラッと出来るんでしょ。でもってお市の若林麻由美が最初はおとなしそうな後家さんだったのに腹に何かありそうな感じをチラ見せするからあれあれっと思ってるうちに最後の豹変ぶりが‥‥とんだ食わせものさをおくびにも出さないとはハマりすぎです。そして意外と良かったともさかりえ。なんかいつもより押し出しが控えめでドラマに馴染んでたというか、そこら辺、ちょっとした言葉尻の言い回しが上手かった気が。あとちょい役の中村敦夫もさすがにカッコよかったw

話は定番っぽいんだけど、松坂屋の後家さんの目論見のせいでちょっと捻ってあって、最後まで面白く見られたかな。つか紋次郎みたいなキャラでこういう話ってのが、オレは結構ツボなんです。
演出は今回河毛さんってことですが、全体にすごくフィルムっぽい加工してるような雰囲気ある感じで良かった。いつもの演出というか画面とは違う感じだから、あえて昔の紋次郎(というか市川崑?)リスペクトなんだろか?でもなんか変な照明の当て方までリスペクトしなくてもいいんじゃないかと思った。ちょっとバランスが不自然だったような。河毛さんはいかにもなドラマチックな画面構成したり、目線カットでの感情表現とかはあまり現代劇ではやらんと思ったが。あと殺陣がちょっともっさりしてるのは気のせいかなぁ。あんまりカッコよくはなかったけど、リアル感追求?
江口の紋次郎はカッコよかったんだけど、紋次郎かどうかでいったら今回はちょっと違うんじゃないかって気はしたかな。何か足りないというか‥‥何だろう?
なんつか改めて「木枯らし紋次郎」というものを見ると、紋次郎って非情って言うのでもなく、かといって本当に関わり合いになりたくないわけでもなく、義理人情の筋と、自分の琴線に触れることでは動くんだよね。その辺のマイルールの線引きがまだ江口の中にないって感じ?
今回の話って、渡世人の金蔵は渡世人稼業に疲れて安住しようと思ったところでお市に上手いこと使われちゃったんだけど、別に渡世人て安住しちゃいけないってこともないというか、金とか地位でそこに居着くってのは源之助を見たってありなんだよね。
でも紋次郎みたいな渡世人ってのは要は「生きることが生きて行く目的」な人たちで、世捨て人と違って何もしないわけでもなく、何かしら生きることには執着していて、身ひとつで周りとは最低限の関わりしか持たずに生きて行く人だよね。口減らしの間引きから助けてもらって生きてるってことのありがたさとか、反面殺されそうになった事への諦めとか、生まれた時からそういうことを背負ってるから虚無的にならざるを得ないんだよね。
関わりを持たない人間がどうなろうと知ったことではないけど、ちょっとでも関わりをもつと気になってしまうから、あえて「あっしには関わりのねぇこって」(江口のこのセリフの言い方は好きv)と宣言して相手からの関わりも拒否しようとするストイックさというか、何も求めず何も求められず、関わって感情を動かされて傷つくことが嫌だから最初から関わらないと言えてしまう表面的な強さ、でもその内面での僅かな針の触れ加減が魅力なのかも。
ラストで、お市に掴みかかろうとした鶴吉は止めるくせに、お市が源之助に殺されるのは振り向きさえせずただ黙って殺されるのを聞いてるだけとか(というか松坂屋の旦那は見てないでとめろよ)、関わりを持たない人間が殺されることには全く関知しないし心も動かされないっていう、当たり前と言えば当たり前なんだけど、でもたぶんそれって赤ん坊をも殺そうとしたお市に対してだからか。
悪くはないんだけどもうちょっとその辺で突っ込んで欲しいというか、そういうとこで江口の紋次郎はもうちょっと感があったのが残念。シリーズ化してまたやってくれんだろか。それくらいには楽しみです。もっとセクシーでもいいと思うのは単なるオレの希望?セクシーじゃなくストイックな方が紋次郎っぽいかなあ、いやストイックなのがセクシーなのです。そういうものを求めてみたいw
どっちにしてももうちょっと達観した感じとか、それでも生きて行くというなにがしかの希望は持ってる感じとか臭わせて欲しいかなあ。別に人や世間に絶望した世捨て人ってワケじゃないんだから。
市井の人々はああいう時代だし、もっと容赦なく卑怯だったりずる賢かったりしてもいいような気はする。むしろそういう感じの救いのなさの中にあるちょっとした善い事って感じの話とか見たいかな。
年一くらいでシリーズ化希望ってことで。
 
Wikiの余談見てああっと思ったんだけど、あの渡世人マント見たいなヤツって創作なの?いや、カッコいいから気になってたんだけど、他の時代劇見ててもあんなマントした旅人って見たことないし、いつの時代の風俗なのか、それとも一過性の流行りとかそういう時代性を反映したのかとか思ってたんですが‥‥そうだったのかー。馴染みすぎ。