そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

劇場版TRIGUN -Badlands Rumble-

http://www.trigun-movie.com/

「タタキ」ってなんや!(パンフ見た>「強盗」のことらしい)
この映画はそもそもトライガン原作を読んでるorアニメを見てる人以外がくる確率は低いと思うんで、この特殊な世界設定についてなんの説明もないのはまあいいよ。でもやっぱり言っときたいけど、最初の強盗のエピ、そのエピソードを見せたあとで「20 years later」ってテロップ出すより、最初に20年前ってだしといて、そのあと現在〜って出してくれた方が分かりやすいと思うんだけどさー。だってバッシュって基本不老の人じゃん。いつの話かすぐにわからんのだよ、あれだと。メリルとミリィがでたとこでちょっと混乱したよ。
まあそれで言ったら根本的に今回の映画がいつの時点の話かもはっきりはわかんないんだけどさ。オールスターメンバーが揃っててみんな顔見しってて、まだウルフウッドが死んでない辺りってことね。アニメ基準か原作基準かもわかんないけど、まあその辺はぼやっとさせといていいってことか。とにかくトライガン世界観の中でのトライガンっぽい話って感じってことで。
一応言っとくと、オレちゃん、アニメの「トライガン」ってスゲー好きなんだよ。原作じゃなくてあくまでアニメのTVシリーズってことだけど。理由は後述。
以下ネタバレで。
 
最初に良かったとこ言っとく。
作画、さすがにスゲー良かった。微妙に内藤タッチを効かせてて作画の崩れもなくよく動いてて、演出もオーソドックスに上手くて文句つけよう無し。映像も美しいし。
特にTVの時と違って全体の色調がちゃんと日差しの強い砂漠地域っぽい白っぽくとんだ色味になってて、色味もセンス良くてキレイだった。あと夜空が美しすぎる!宇宙そのまんまって感じなのが、世界観的にも合ってて良かった。(あとでパンフ読んだら一応狙いだったらしい。さすが!)
メインキャラもそのまんまで、ゲストのアメリアは内藤キャラというよりは完全に吉松キャラだけど美人だったし、画面に目一杯いるビックリ人間万国博覧会状態のモブの人たちも驚くことに動いてて(笑)スゲー細かいし、いや何もかも映像的にはスバらしいです。
クライマックスのウルフウッドとアメリアが殴り込みに行くとことか、もうウルフウッドカッコ良すぎ!オイシイとこもって行きすぎだよ!カッコいいなぁウルフウッド。カッコいいなぁウルフウッド。
最後の決戦はちょっと若干はっきりしないと言うかすっきりしない部分もあったんだけど(なんか展開がスマートじゃなかった気が)まあいいかって感じ。バッシュが出てきてTVシリーズのOP曲がかかるとこは震えたね!カッチョいい〜!
アメリアは銃のグリップのとこになんかストラップっつか飾り付けてるのがカワイかった。
んで、この話ってどの時点での話なのかは分かんないんだけど、少なくともあのラストの賞金首のなんとか兄弟が〜ってのはTVか原作にあったネタ?いや、なくてもそういうノリでうろついてるときの話ってことでいいんだけど、あれあるとないとじゃやっぱり違うから、入れといて正解だと思いますヨ、西村監督(笑)(とあとでパンフ見たらインタで言ってたんで)←基本的にオレ、感想ってパンフ読む前に書いてるんで‥‥
逆になんで脚本段階で入ってないんだ?
 
んで内容だけど、もっとトライガンっぽい話、ドタバタでありながら世界観のちょっと入ってるような、つまりバッシュがもうちょっと前面にでてる話を想定してたんだけど、ちょっと微妙だったかなあ。オイラの見たいものは見られなかったかも。バッシュがメインじゃないからってことじゃない‥‥と思うけど。最後に結局プラント絡めるんなら、もうちょっとプラント設定絡みの話とか、バッシュが20年前とまったく変わってないこととか突っ込まないのかなあ。
えーと、まずアメリアがガスバックの娘だってのはすぐわかりました。だって髪の色同じじゃん(笑)
トライガンオールスター登場の話で、でもどっちかというとゲスト話メイン。原案は監督の西村聡&原作の内藤泰弘ってことで、たぶんやりたかった話の大本は、バッシュが20年前にガスバックを助けなければ、アメリアは生まれてなかった‥‥っていうネタだよね。
そこら辺が何となくロマンなのは何となくわかる。アメリアが母親が死んだのはガスバックのせい(あの描写だと父親が強盗で、彼女たちが町でハブにされてたから‥‥だと思うんだが)ってことでつけ狙ってたってのはいいんだけど、でも、小林靖子女史の脚本はアメリアの気持ちににまったく突っ込まないから、彼女が本当はガスバックのことをどう思ってたのかまったくわかんなかったんですけど。それはつまり、20年前にバッシュがガスバックの命を助けたことで彼女が生まれたということを彼女がどう思っていたかってことね。彼女の話なんだから、それって描くべきことなんじゃないのかなあ?男嫌いで触られただけでじんましんが‥‥ってキャラ付けなんかいらんから。
自分が生まれなければよかったと自己否定して、自分が生まれたことを母親の死の復讐ができると間違った方向に目標としてガスバックをつけ狙ってるってなんなら話はわかる。その原因を作ったバッシュに対して反発か、受け入れるかで、でもバッシュの生き様を見て改心してそれでも自分が生まれてきたことを肯定することができて人生やり直す‥‥って言う話ならわかる。なんでそうじゃないの?オチと男のロマンを考えるにそういう話じゃないかと思うんだけど、違うの?
今回の話で、ベースは西村&内藤であっても出来上がったものが靖子イズムというか、なんつか、女の視点なのが微妙に気になったんだよね。
バッシュの「絶対殺さない」っていう自己犠牲精神って、あの世界じゃアメリアが言ってる通り「バカ」で「頭オカシイ」なんだけど(ウロだけどそんなこと言ってたような)、そこでそれを言っちゃお終いじゃんって話なんだよなあ。アメリアにはバッシュに共感する余地って全然ないように見えるんだもん。確かにそれって、女の考え方というか、アメリアは自分がガスバックを追っかけることが他人の被害を省みない自己中心的なものだと気がつきはするんだけど、バッシュの生き様に共感してるわけじゃないんだよな。なんかアメリアがバッシュのことを理解できないって言ってるとこが、靖子たんの認識とダブって見えて、この世界観のバッシュの生き様が好きな人間からみたらだけど、なんかちょっと不愉快に感じた。オレだけ?
で、オレがトライガンを好きなのは、ウルフウッドは確かにカッコいいんだけどやっぱりバッシュのあの救いようなく甘ちゃんなところなわけで、そこを「ばっかみたい」って言われちゃうと、それはそうなんだけどさぁ‥‥って渋い顔になっちゃうんだよなあ。
あと最初やたらバッシュがアメリアに絡むのも、なんかあるのかと思ったら別になんにもなかったってのも肩透かしかな。自分的には薄々知ってて復讐をさせないために纏わりついてたってほうが、ベタだけど好みだって話なんですが。
 
ちょっと自分の主観で「トライガン」を語りますが、おいらトライガンって原作はわけわかんなくなっちゃったマキシマム以降はツマンナイから読んでないんだけど、 *1 基本好きなのはTVシリーズのほうなんだよね。
バッシュについてはまあ知ってる人には説明する必要ないけど「絶対に人は殺さない、そのために自分が傷ついても構わない」という非情なる平和主義者で、そもそも元はプラントの仲間だから人間ですらないんだけど、いろんなとこのトラブルに首突っ込んでっては「人殺しちゃダメー!」っていって、当然あちこち齟齬がでるのを身体を張って一生懸命取り繕う人。要するに彼の甘さはイコール人間じゃないゆえのオカンな気持ちの無償の優しさなんだけど、それゆえ余計なことして事件を大きくして(殺人ですめば話は早いのにそうじゃないからややこしくなる)お尋ね者のヒューマノイド・タイフーンとして怖れられてる、でもそれだけじゃシリアスすぎてしんどいから、いろんな痛みを軽いノリで誤魔化してるお調子者なんだよね。
んで、そういう甘ちゃんな人間になんか理想というかロマンを持って見てるにしても原作だとちょっと作者自体が入れ込みすぎてて暑苦しいなあと思うところを、アニメのほうは監督の西村さんがわりと客観的に見て描いてるからバッシュの甘さがちょうどいいと言うか、*2少なくともオレが好きなのはそういうスタンスでのバッシュの甘さなんだよ。TVシリーズの脚本は黒田洋介さんだったんで、なんかそこら辺のこういうバカな生き様も男のロマンだよねーっていう部分で認識を共有してた気がするんだ。

でも今回の映画は、靖子たんが女目線でそれを「そういうのよくわかんないしー」って言ってるように見えるのが、自分的にちょっと違うなぁガッカリ‥‥と思ったとこなんだよな。話はつまんなくはないけど、そういうバッシュのバカな生き様を否定はしないけど肯定もされないと、バッシュってただの道化にしかなんないから、それはちょっと酷いんじゃない靖子たん?て気分というか。
靖子たんってアニメだとどうかしらないけど特撮の脚本やってる分にはストーリー展開をキャラの関係性でわりと論理的に見せて話作ってるから、そこは上手くハマればカタルシスもあるし面白いんだけど *3 今回はちょっとやっつけ仕事か、それでなければトライガンには向いてなかったんじゃないかって気がするんだけどなぁ。どうなのか?
あとアメリアのキャラが、最初どうもよく掴めなくて‥‥ってのは、もともとは普通の、でもそんなに明るい子でもないと思うんだけど、酒場で急にカワイクなりすぎちゃってるのがあれ?って感じだったかなぁ。もうちょっとそこに至るまでになんかあっても良かったんじゃない?バッシュにおぶられてる時とかさ。全体に彼女の気持ちは判んなかったなあ。逆にガスバックは悪党なのにカッコよすぎると思うよ、靖子たーん(笑)‥‥いやあれはもろ内藤キャラかw
最初に靖子たんが脚本だって聞いた時に(たぶん2007年末くらい、ちょうど電王中)何となく喜べなかったんだけど、オレ的にはイマイチと言うか、この脚本ってちょっと心無いと思うよ?

*1:オハナシとしてワケ判んないからつまらなく思うってだけで、作品そのものは好きというか、TVシリーズの好きな部分ってのはそもそも原作のいいところなわけだし‥‥となんとなく予防線を張っておく>誰に? 一応全部読んではいるけど。

*2:ちなみに絵も原作より吉松絵の方が好きなの。原作はときどき妙にカワイすぎて(苦笑)

*3:これまで何度も言ってるけど念のためいっとくと、靖子たんの仕事っぷりはほとんどの場合において信頼してるし、作劇も嫌いじゃないけど作風はあまり好きじゃないんだ。