そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

絶対零度〜未解決事件特命捜査〜#9

http://www.fujitv.co.jp/C-273/index.html
杉並誘拐事件、前後編の後編。ちゃんと次の日くらいには見てるんだけど、なんでかジェネラルのせいで妙に感想書くタイミングがズレまくるんだよなー( ´∋`)
えーと、この事件はーたぶん犯人自身が名乗り出てこない限り絶対解決しないよね?無理だろう、これを解決するのは‥‥
本谷議員の愛人が見幸台にいて→たまたま具合が悪くなった愛人を病院に連れていったときに→たまたま河野の娘がそこにいて→本谷さんが議員の立場を嵩に来て治療を優先させたせいで娘さんが治療を受けられなくて亡くなった→父親の愛人のことを知った翔子ちゃんが愛人を見幸台に探しに行き→たまたま河野がそこいいて→たまたま翔子ちゃんが本谷の娘だと知る→誘拐して殺害→未解決‥‥運が悪いとしか‥‥(-_-;)
捜査のために電源入れてた携帯の壁紙にたまたま気がついた→なにかヒントになるかもと思ってそこを探してた桜木→実は愛人宅の近く&河野の家の近くだった→たまたま犯人の河野に遭遇→拉致監禁→たまたま物置に監禁されたんで娘さんの名前を知った→特命課の捜査←今ココ 運が悪い‥‥いや運がいいのか、少なくとも生きてたから。生きて助かったのは桜木の機転と捜査課の優秀さだけどさ。

要するにこの話って、普通の事件、もしくは未解決事件であれば、事件の犯人が捕まることによって被害者の気持ちの行き場も生まれるし、少なくとも前に進むだけの気持の整理もできるという、それが今までこのドラマで描いてきた未解決事件の理想的な結末ではあるけど、そうじゃないこともある‥‥って話だよね。
それが塚本の時効を迎えちゃった母親のひき逃げ事故だったり、高峰のプロファイリングのせいで自殺しちゃった人とかなんだけど、そういう理不尽なことをどういう痛みとして受け入れるのかってことなのかな。もちろん未解決事件の捜査のためのモチベーションとしてだけど。
本谷議員のやったことは悪気はなかったにしても、その悪気のないことで河野の娘さんはなくなってるから、河野からしたらそれを理不尽な出来事として納得できるはずもないわけで、だからといって何の罪もない翔子ちゃんをああいう方法で殺すことに正義なんかまったくないし、しかもそれで河野の気が晴れるわけでもない。
ただ河野の希望してることは、杉並事件が解決しないことで本谷さんたちが苦しめばいいってことだし、事件が解決して真実がわかってもやっぱり本谷さんは苦しむんだし、どっちにしても理不尽に苦しめばいいってことだもんな。というかそういう図式が成り立つのが河野の頭の良さか?や、このドラマの事件のネタ構成としてもすごいけど。
解決すればそれでも一歩進めるんだけど、理不尽だってことは永遠に解決しようのないことだからこそ、そこで留まって高峰のように時間を止めるか、河野さんみたいに緩やかに死んでいくのかっていうことなんだろうけど、それは痛みを感じないふりをしてるだけってことで、そういうことを否定してるんだよね。
痛みを感じて受け止めるのは苦しいけどそうすれば先に進めるし、そうしなきゃいけないのは桜木たちが刑事だからか?そういう気持ちを捜査に向ける塚本は前を向いて歩いてるけど高峰さんはそうじゃないと。あ、高峰さんのせいで自殺しちゃった仙道とその母親はいつまでたっても河野さんと同じ気持だろうけど。それを許せっていうのはさすがにないと思う。だからといって復讐してもどうにもならないのは河野で見せてる通りだし。高峰さんに出来ることは、他の未解決事件を自分の能力で解決するという自己満足な償いでしかないんだけど。
だから今までそういう経験がなかった桜木が死ぬかもしれないと思った中で、他人の死んでもいいと思える痛みを実感するという話は彼女の未熟さを見せる上でもよく出来てて面白かった。すごいスパルタ式だけどw
その上で、それでも事件を解決するということで救える痛みがあるのならそのために努力する、そこに気づくことが桜木の桜木たる所以だというのも正しいと思うしさ。深沢や塚本が憎まれ口をたたきながらも桜木を心配するのはそういうのがわかってるからだっていうのもちゃんと描かれてるし。
それ自体自己満足でしかないんだけど、そういう自己満足をいいか悪いかでなく、それでちょっとでも前に進めるんならそれはいいことだと言い切る強さかなあ。少なくとも結果はどうあれ一歩踏み出すことを肯定することが大事というかさ、それがこのドラマの描きたい「正しさ」だと思えんだよ。
何だかんだいいながらも桜木のことを心配する捜査課の面々や、その心配の仕方を「愛の形は人それぞれ」と言っちゃう白石さんがステキすぎ(笑)そういうことなんだよな。
偽悪的記者の美山が結局長嶋に協力してくれるのも、個人的な利益でなくちゃんとした見識で事件解決に協力するっていう点で良い話だったし。
 
ドラマとしては前編の印象通り、解決したのかしてないのかでいえば雲を捕まえるような話、ドラマのための事件ではあるんだけど(敢えてご都合とは言わない、なぜなら出来がいいから)、それをして何を描きたいのかというのは結構しっかり見せてるってことで、すごく面白かったし良く出来てたと思う。
桜木の課題もちゃんと伏線で使ってたし、話上手いよなー。その上でキャラの描きようも面白いし、キャラが立ってるってことで大筋以外の話の要所要所がちゃんと面白くなってるんだよな。
ギリギリでご都合をご都合に見せないのは、話の中で登場人物が生き生きと動いてるからだし、それは登場人物たちの気持ちの見せ方が上手いからかなあ。だから脚本の詰めが甘くても(というか根本的にご都合でも)このドラマって面白いんだよなー‥‥と思う。