そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

告白

http://kokuhaku-shimasu.jp/index.html

 
初っぱなから森口先生が自分の娘を殺した自クラスの生徒をほぼ名指しで指名して、その殺された経過を調査した上でその顛末をみんなの前で語るという話。
物語的には各人の告白によって事件の概要がだんだんと判っていくという構成で、「告白」の内容はあくまでもそれぞれの主観での見え方の問題であって、人によって部分的に欠けているところがあるんだけど、観客にはそれぞれのキャラが語ることで実際は何があったのかという事件の概要が全部見えて、本当に罪深いのは誰なのか、それをどう思うのかってことを考えさせるような映画かなあ。
映画は好きか嫌いかでいえば嫌いじゃないし面白かったんだけど、松子もそうだけど、好きとはいえないよなあ(苦笑)酷いことした人が酷い目にあって、でもそれを当然だとは思えないような救いのなさって(笑)

全体に映画の構成はモンタージュ手法だから一見複雑だけど、ちゃんと順番に補完できていって話が判りにくいってことはないし、中島哲也監督の映像の疾走感で、嫌な救いのない話だけどわりと爽快に見られたかな。最後の意味なく長い(笑)爆発まで。妙にあそこがカタルシスになっちゃって、なんかあの爆発でいろんなことがチャラになった気もする。手法として上手いなぁw
映像的には、嫌われ松子やパコみたいな極彩色の作り物っぽい感じじゃないけど、全体にトーンを落とした暗い色調、なおかつ濃いめの画面作りと、ドラマチックさを出すために多用してる荒天の空映像と、ところどころに入ってるカーブミラーの歪んだ映像が、胡散臭く、緊張感とスピード感と客観的な雰囲気を出してて、その映像の上に告白という主観的なモノローグが乗ってるせいで、不思議な印象と見てる人の立ち位置が判らなくなるような不安感を煽ってる感じかなぁ。
あのカーブミラーもしくは監視用のミラーの意味ってなんだろう。特に何かの暗喩を表すために使ってるって感じでもないみたいだし、そのシーンが特別な意味を持ってるようにも見えないんだよね。解らないだけで意味があるのかもしれないけど、主観・客観ってことでもなさそうだったし、カーブミラー=分岐点ってことも全部には当てはまらないみたいだし‥‥謎。単にアクセントとしての映像的効果かなあ?
最後の爆発は、修哉の妄想と現実が入り交じった感じだったけど、時間が戻るとこを逆回転時計を上手く使ってて混乱する感じとかそこに修哉の妄想が乗っかってくとか、それを仕組んだ森口先生の携帯でのやり取りや追いつめる感じとかも面白かった。
 
登場人物の中で、実際は北原美月と寺田良輝(ウェルテル)以外の人間はみんな問題あり、この二人に問題あるとしたら美月は中二病でウェルテルは感化されやすい熱血バカだってことくらいか。いやリアル中二だから病気じゃないかw 美月はかわいそうだよなあ。(というか美月役の橋本愛がゲロ可愛い)
そしてこの森口先生のやったことをありかなしかでいったら当然ないでしょ。罪には問うのは難しいと思うけど‥‥
実際に森口先生の娘の愛美ちゃんを殺した少年B・直樹は壊れちゃって、殺してないがゆえにもっと酷い報いを受けた少年A・修哉は相応の罰だと思うけどさ。でもそれを当然だとも思えないというか。
一応導入がそうだから森口先生目線の話になってるけど、それ以降の各人の告白は各人の主観の話であって、この話では事実は歪められてはないという保証はあるけど(映像的な嘘はないから)、その一連の流れの中でどの部分を知ってて、どれを知らないかでそれぞれの感じ方や思ってることが違ってるから、同じであるはずの愛美ちゃんを殺すに至った顛末と結果の受け止め方が違っていく、その違いかたの多様さでいろんな人がいるなあと思わされる感じかなぁ。映画の感想ってことでいうとそれだけ。それ自体がいいとか悪いとかじゃなく、いろんな人がいるよなあってことだけ、それぞれの登場人物がどう感じてどう思ってどうなったかって意味で。そこが面白いし良かった。
そういやウェルテルは告白がないんだよね。森口先生の告白を聞いてないし内面も薄っぺらい、主観視点が必要ない人物だからだろうけど。だからあの最後の後ろ姿が全部を語ってて活きてる気がする。
森口先生のやってることは復讐って言っちゃえば理解出来る、どうしてそういうことをしようとしたかはわかるんだけど、森口先生という人間はよくわかりません。ただ「この役をやってる松たか子」はすごいと思う。何だかよくわからないとこ含めて。わからないので語らないことにしとく。ただ、話題の熱血教師・桜宮先生と結婚するつもりの人でエイズがわかってもシングルマザーで子育てしながら、生徒を信じないといって教師をするような人だってことだよね。そこからしてそういう生き様をする森口悠子って人がわからないんだもん。
直樹やそのお母さん(木村佳乃もスゲェ)はわりとわかるし中二病の美月もわかるけど、修哉はやっぱりよくわかんな人だよな。マザコンで自意識過剰な、そういう人だってのはわかるんだけど、なんでそんなことをするのかがわからない。これもやっぱりわからないから判らないままにしとこうと思う。この映画を見た分では。
キャストはみんな良かった。というかクラスのモブ生徒に至るまで、みんな上手く見えるなぁ。
ウェルテルが岡田将生だったんだけど、映画だけ見たオレは岡田まーがやってるウェルテルのあの感じはすごく良くって、単純ゆえの人を傷つけてることの気がつかなさとかいかにもな薄っぺらさ、あの言動は森口先生に操られてるんだろうと思ってたけど、休職するってことで去っていくあの後ろ姿の物悲しさとかが本当に岡田まーでぴったりだと思ってたのね。
でも一緒に行った友達が漫画版を読んでて違和感あったとか、映画見てない原作だけ読んだ相方が岡田まーだと聞いてイメージ違うって言ってたの聞くと、岡田まーはひょっとしてやっぱり上手いのかなあ?(笑)というか、岡田くんはナイーブな役はハマると思うんだけど、こういう空っぽなバカをやってもハマるんだよなあ。面白いなあ。というかドコモのCM見てても、年齢的にちょうど今は新人ポジションの薄っぺらい役がハマる時期なのかな?(笑)イケメンのはずなのにあのウザい感じがすごく良かったw
一応原作はウチにあるんで、これから読む予定。