そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

あすなひろし原画展

http://asunahiroshi.jp/

生原稿って誰のでもそれなり美しいものだけど(もちろん生原稿がキレイな人と、生はそうでもないけど印刷映えする人ってのはいますが)、印刷された描線からでも美しさと繊細さが滲み出てるような絵なので、やっぱり生原稿を見るとちょっと感動。
微妙な線の強弱とか、掛け線の美しさとか、恐ろしいことに白抜き線をホワイトで描くんでなく塗り残していくという手間の掛けようとか、特にやっぱり掛け網かなあ。美しすぎる!なんか輝いてるよ。
原稿が並んでるのみるとよく判るけど、結構フキダシのセリフが多いんだね。ページ数のわりにちゃんと話があるっていうのは昔の少女漫画の特徴だったりすると思うんだけど(萩尾望都とかもそうだけど)、でも肝心なところでは一枚絵っぽい魅せる大ゴマや見開きを上手く使ってリズムを作ってたり、なんかやっぱそういうのは天性の才能だなあと。
なんか少女漫画(24年組とか)や青年漫画のハードボイルド調のモノとか、ジャンルを変えるごとに、周りに与える影響がスゴかったらしいけど、その辺はやっぱり同時代に見てないとちょっと実感出来ない感じはある。
オレは連載時に見て好きだった週刊チャンピオンの「青い空を白い雲がかけてった」が原体験だからやっぱりその時期の絵やストーリーが好きなんだよね。叙情的とかペシミスティックって言われてるけど、なんか夏の終わりの夕暮れの物悲しさとか切なさって感じ。冬の話も春の話もあるんだけど、なんというか「青春そのもの」だからかも。だからといって青臭くないのは、時にコミカルだったりニュアンスのある絵の表情だったり、繊細だけどそれでいて描線に力強さがあるから躍動感もあるし、そういうのがいろいろ混じって画面から感じるのが「若さ」の無謀さや優しさや残酷さなのかも。
本人は「客観的な完璧主義者」で「褒められないと燃えない人」だったらしい。それすごく面倒くさい人‥‥(苦笑)
結局そういう仕事について妥協を許さない性格的な部分や、それを理解してくれる編集者としか仕事ができないことと、いろんなジャンルを渡り歩いてきたせいで以外と評価されなかった(大作がなかったせいも)とかで仕事としては先細って行ったってことみたい。
でもこうやって再評価されるのはいいことです。
会場は、生原稿は時代ごとに展示され、私物などもあり(使ってたのはさじペンのクロームのようです)、紹介パネルもあるので仕事内容は判りやすいかも。あと2004年のマンガ夜話あすなひろし特集を流してました。これ、当時見そこねてたからありがたかった!(いつもマンガ夜話って終わった直後に気がつくんだよ)