そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

借りぐらしのアリエッティ

http://www.karigurashi.jp/index.html

監督:米林宏昌 脚本:宮崎駿

いやー、思ったんだけど、これって擬人化アニメだよね?(笑)
借りぐらしの小人たちって、まだ未発見の絶滅寸前な新種の虫なんじゃないの?それを擬人化してるだけだよね?‥‥と思わざるをえない様な映画じゃったw
てかさ、オレ、今まで「小人」は「小さい人」という存在だと思ってたんだけど、あのカマドウマと戯れたりダンゴムシを弄んだりして地べたを這いずり回ってる小人たちが勝手に食器棚の中をうろついてるのを見て激しく「虫だ!」と思いました(笑)あんな虫みたいなヤツらに食器棚や台所を徘徊されるのって絶対イヤー!シュガーポット触るんなら手を洗ってからにしてよ!あんなのがうろつくなんてマジ勘弁‥‥と思った途端に、「こいつら虫だ、虫なんだ」と思ったらなんか納得したのでしたw だからホントは虫なの。それを擬人化してるだけなの、この映画はw
いやマジで、オレ勝手にこのアニメ擬人化だと思うことにしたヨw

(そういえばなんでか以下の感想でこのアニメを「宮崎アニメ」って言ってるけどなんでそう思ってたんだろ。面倒だから直さないけど。これ全然宮崎アニメじゃないよね。宮崎駿の脚本もへんてこすぎるけどどう見ても米林監督の采配が悪いような気がするなぁ)
 

んでアニメーションとしてはちゃんとしてるんだけど、なんか物足りないよなあ。時間もまさか1時間半ちょいだとは思わなかったというか、トトロが同じくらいのはずだけどトトロはもっと見ごたえあったよな。
脚本が宮崎さんだから監督のせいでもないだろうし‥‥というか、ポニョもハウルもそうだけど、近年の宮崎アニメは何が言いたいのかよくわかんない話ばっかなんだよな。だからこれって悪いのはハヤオ先生の脚本だと思うんだけど。
だって「借りぐらし」の「借り」と「狩り」の楽しさはわかるんだけど、何も起こってないんだよね、ドラマとして。単に小人たちが人間に見つかったから他所に引っ越しました‥‥ってだけの話。
もうすぐ心臓手術をする少年と滅びゆく種族の少女が出会ったのに何も起こらないし、そこに死の臭いもない。いつもの宮崎アニメなら必ず「あの世」っぽい怖いシーンが入ってるはずなのにそれもないから、死をまったく感じないんだよね。
だから死を感じながらも生きることに一生懸命な、アリエッティや翔の感情がまったくわからないし共感もしないし哀しさもない。それじゃこの話の何が面白いんだって話じゃん。だってこれってそういうことを描きたかった話じゃないのかなあ?
具体的には何かが足りないのはわかるんだけど、じゃあどうすればってのはよくわからん。いや何か起こそうと思ったら何でも起こせるけどさ。山場にするならお母さんを助けに行くところだろうけど、そもそもお手伝いのハルさんがどうして小人を捕まえたいのかわからないから、山にならないんだよな。小人を捕まえて世間に公表したいという欲なのか、大叔母さまに見せてあげたいという善き気持ちなのかもわからんから、ただただ気持ち悪いだけという。うん、あのお手伝いさんはすごく気持ち悪かった。樹木希林だってのはわかるけどそういう気持ち悪さじゃなくて、何考えてるんだかわからない気持ち悪さ。
そういやアリエッティのお母さんって声、大竹しのぶなんだけどキャラデザが年食い過ぎててすごく違和感、なんでもう少し若く描かなかったのかなあと思ったらパンフに52歳って書いててびっくり。アリエッティは14歳でしょ?てっきり40前くらいだと思ってたのになんでそんな年に?お姉さんがたくさんいて末っ子って言うんならともかく。謎すぎ。それとも種族が少なすぎてなかなか良き伴侶に出会えなかった‥‥ってことか?いつからあの屋敷に住んでるんだよw
とにかく面白く感じないのは、そういうとこ含めてそもそもキャラの描き方が浅いせいで、感情移入できないからなんだよね。ドラマ性が低いというか。
これって翔とアリエッティの淡い恋心の話のつもりなの?全然そう思わなかったのはまあ人間と虫じゃ恋にならないから‥‥ってのはともかく、二人が共感する部分ってのが観客には伝わってないと思うんだけどなあ。それはそのキャラの背景の描きこみの浅さとか、死の臭いを感じないこととかその辺だろうけど、それもあって二人が協力してアリエッティのお母さんを助けるところがなんかやけにあっさりしてるんだよな。つかあの時お父さんってどうしてたの?道を確認しに行ってたっていうけど、家族にあんなことが起こってるのにいないとか、描写がないって変だよね。それもポニョの時に言われてた「父親の不在」なのかなあ。それにしちゃ無理矢理だし、そこで母の力が偉大なわけでもないし。だったら大叔母様をもっと活躍させようよ。ハルさんをギャフン!と言わせるくらいにはー。
というか、翔の両親って実質「不在」なんだから、母親に相当するのは大叔母様のはずなんだけど、大叔母様との交流もないから、翔の気持ちの流れが全然見えないんだよね。
この筋立ての映画でならやっぱり何が見たいかっていうと、翔とアリエッティの種族を超えた恋心だと思うんだけど、だったらそれをメインにドラマチックに盛り上げて、小人たちの借りぐらしは添え物でもいいと思うんだよなあ。実際は暮らしの描写の方はすごく力が入ってたけど。
あと絵はすごく綺麗だし昔の宮崎アニメっぽい雰囲気もあってよく動いてるんだけど、ところどころ、行動自体を丁寧に描きすぎて冗長なとことか、動き自体がフルアニメっぽくって無駄な気がするところが多かった気もする。もうちょっとメリハリ欲しいかなあ。
水というか水滴の表現はすごく拘ってたけど、火はいいのかな?w ポットからがポヨンと出てくるところはちょっと面白かったな。アニメじゃないと‥‥いや実写でもできるけど、そこに気付くかどうかって話か。それにしたって小人たちは小さいのに丈夫過ぎる。やっぱり虫だろ?w
 
まあ面白さでいったらリズムがないからあんまり何度も見たい映画じゃないかな。もともともう来年の金曜ロードショーでいいかと思ってたくらいだったんだけどさw(でも見とかないと世の中的についていけないし、録りっぱの「ジブリ創作の秘密」も見られない)
あと、宮崎アニメのヒロインって、強いんだけどもろいところもあるから可愛いんだと思うんだよな。なんかアリエッティってお母さんが捕まったところで泣いてるんだけど、弱いわけじゃないんだよね。もうちょっと自分で何とかしようとしてどうにもならない無力感が足りないというか‥‥なんで泣いてるのかよくわからなかったよオレは。アリエッティって、トトロでいえばサツキじゃないといけないはずなのに、メイなんだよなー。それがツマラナイというか共感できないところかも。
そういや場所、あの冒頭の高架の線路は中央線だろかと思ってたんで、三鷹と調布の間くらいかと思ってたけど、小金井なのね。ああいうとこ、意外とありそうなんだよな。いいなあ。
 
そういやいまジブリ創作の〜を見てるんだけど、相方が「なんで小人は生活スタイルが洋風なんだ?パン焼いたりとか」っていうんだが、そりゃご飯つか米を炊けないからじゃね?(笑)米粒を手にいれても結局粉にしてパンを焼くしかないんじゃないかなあ(笑)
追記。創作の秘密〜で、宮崎さんは小人と人間の心の交流にしようと思ってたのを米林監督が「恋心」にしたらしいけど、だったらもうちょっとなんとか‥‥そこで大事な何かを読み込まないでスルーしてないか?つかそれ、まんま米林監督が影響受けた「耳すま」テイストってことじゃね?