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彩の国シェイクスピア・シリーズ第23弾『じゃじゃ馬馴らし』

http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/p1014.html

公演日:2010年10月14日(木)〜30日(土) 全20公演 ◆10/26(火) 18:30〜公演分
会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
演出:蜷川幸雄(作:W.シェイクスピア 翻訳:松岡和子)
出演:市川亀治郎 筧利夫 山本裕典 月川悠貴 磯部勉 原康義 廣田高志 横田栄司 日野利彦 妹尾正文 大川ヒロキ 岡田正 清家栄一 飯田邦博 新川將人 井面猛志 澤魁士 田島優成 川口覚 五味良介 宮田幸輝 石橋直人 荻野貴継

■あらすじ
修学のためパドヴァにやってきたルーセンショーは、資産家のバプティスタが妹娘の求婚者たちに「姉の嫁ぎ先が決まるまで誰も妹と結婚をさせない」と宣言しているところへ出くわす。従順で美しい妹ビアンカに対し、姉のキャタリーナは鼻っ柱が強く、街でも有名な‘じゃじゃ馬’。男などまるで眼中にない姉娘の結婚が条件となり苦りきる求婚者たちをよそに、ルーセンショーは召使のトラーニオを身代わりにし、自分は偽名を語ってビアンカの家庭教師になりすます。彼もまた、ビアンカに一目惚れしてしまったのだ。
求婚者のひとりであるホーテンショーの元へ、ヴェローナからペトルーチオという紳士が訪ねてくる。彼もまた結婚相手を探していた。相手は金さえあれば誰でもよいペトルーチオは強引にキャタリーナとの結婚話を進める。破天荒なペトルーチオの振舞いに辟易するキャタリーナ。それをよそに結婚話を進めるバプティスタだが…。
果たして、ルーセンショーはビアンカと結婚出来るのか?
そして、ペトルーチオはキャタリーナを従順な妻に変える ― じゃじゃ馬馴らしは成功するのか?
それぞれの結末は如何に…?

蜷川舞台は初めてだったんだけど、スゲー面白かった!!
喜劇だったからってのもあるけど、休憩抜きで二時間半の舞台が全然退屈じゃない。ていうか、これ、セリフの分量から言っても本当だったら3時間超えてるような舞台だよね?シェークスピアだし。
一応チラシで亀治郎の女装だしもっくん出てるしと思ってたんだけど、やっぱもっくん目当てで(笑) (いいともに出て話してるの見てて結局チケ取りました。ああいう宣伝は大事だね!w) だって真っ白な貴族風衣装でまんま剣ぼっちゃま的なバカ貴族っぽかったんだもんw 実際もまごう事無きバカぼっちゃまだった(笑)カワイイ〜 (*゚∀゚)=3 ムッハー
それよりもでも、亀治郎の相手役の筧利夫がすごかった!超長台詞を超早口で!スゲー技だった!3倍速くらいでしゃべってるよねえ?3倍速で普通の3倍の分量のセリフを喋ってるだろうに、ちゃんと全ての言葉が聞き取れるという超絶的な滑舌!やー、筧さんってドラマで見るくらいだから特に好きなわけでもなかったんで侮ってましたスイマセン。これは明らかに異常な演技です。しかも面白すぎです(笑)というかやっぱり超絶うまいなあ。
オレ、すきじゃないと言いながら一応そこそこ舞台とかは見てるんだけど、その中でもこれは最高に面白いっていってもいいよね?シリアスな話は知らないけど、これは楽しかった。見たのは26日だったんだけど、ちょうど収録が入ってた日で、それが残念。多分そのうちWOWOWでやるだろうけど自分が見たのと同じってのはつまんないよねw(中日あたりを選ぶことが多いから収録日と被ること多いんだよね)その分、気合は入ってるのかもしれないけど。

ちょうど席が二階のサイドのとこで、横からだけど割と距離的には近くて、しかも舞台上だけでなく観客席も上から見渡せるという、よく知らないで、でも一応B席の中であえてそこを狙ったんだけど、これは初蜷川としては当たりでした。こんなにも劇場全体を使うもんだとはねぇ。
むしろ舞台上のセットが殆ど無い、ボッチチェリの背景幕だけってことに驚いたけど、衣装は豪華だしやはり役者の動きが素晴らしいので、そういうセット自体が全く気にならなかったよ。
それよりも常に観客席後方から役者たちが現れたり時にはその中に入ったり、一番びっくりしたのは登場人物がずっと観客席にいること(笑)
「じゃじゃ馬馴らし」の物語、それ自体が旅の一座が領主(偽領主)に見せるためのお芝居だっていう設定の序幕が付いてるんだけど、その見てる偽領主と偽奥方(しかも女装の召使)が観客と一緒に「じゃじゃ馬馴らし」の公演を見る‥‥という構成がすごく面白かった!上から見てるからまたその様子がよくわかったし、客席後ろから出てくるのもよく見えたし。
しかもこれ、”女装の召使の偽奥方”っていうの自体、オールメール公演で男が娘役をやることへの橋渡しというか、女装の召使がいかにも女装の男を装ってるからこそ、その劇中のキャタリーナ(市川亀治郎)とビアンカ(月川悠貴)がより一層女性に見える‥‥ってことだよね。
というか、蜷川芝居って別に興味なかったんで知らなかったんですが、月川さんって男の人‥‥なんだよね?(笑)
オレ、チラシ見た時から名前からして何となく宝塚的なイメージがあったんで、なんでオールメールなのに一人女の人が混じってんだろう‥‥とマジで思ってました。そんなわけねーよなw 美しすぎる。
亀治郎のキャタリーナは、見てて誰かを思い出すなあと思ってたんだけど、浅香光代だよ(笑)喋り方とか声の感じがそっくりじゃね?主演は亀治郎なんでまあ、演技的には完全に自家パロ的なというか、歌舞伎演技で面白かったです(笑)本当に歌舞伎の記号使ってるよなw 台詞の節回しとか所作とか。どうも亀治郎だって意識が強すぎて女性に見えるかどうか関係なし、いい悪いって話じゃないんだけど、まあコメディだからいいやっていう。だってどうしたって亀治郎にしか見えないw
ルーセンショーはもっくんもいつものコメディ演技だったけど、彼のコメディ演技ってなんか安心して見られるというか演技自体は本当に剣ぼっちゃまと同じ嫌味なく天然で「ミサキ〜ヌ〜v」で「ラ・ヴ・ラ・ヴv」でした(笑)もともとちゃんと声が響く方だから、あれは素質としてお得だよな。よく出来た召使のトラーニオとの掛け合いもカワイかったしな。もっくんは本当に使えるなあw
じゃじゃ馬馴らしの話自体は、シェークスピアだし背景的なこともあんまよく知らないし、パンフに書いてあった解説をざっくり読んだくらいなんだけど、話自体に解釈もいろいろあって、序幕はもともとないんだけどそれをつけることによって、この極端な暴力による奥方調教のおハナシを実際以上にカリカチュアされた風刺劇として見せてる‥‥ってことらしいので、まああんま深くは考えないってことで。
それでも最後のキャタリーナの長台詞、その前の調教成功してる様子からしてもあんまりいい気分はしないんだけどさ。単に夫によるDV的なものというより宗教の洗脳に近い描写だっていう気持ち悪さは感じるんだよねー。
序幕は最初だけで特にオチをつけてるわけじゃなく、じゃじゃ馬馴らしの、調教成功してそれがいいことだという話で終わってるから、逆にそれ自体観客にどう思うのか投げてるのかなと思うんだけど、仮に夫婦やカップルで見てもすごく微妙な気分というか、なにも言えない気がするなあ(苦笑)単にドタバタコメディとして認識する方が平和かもね。
まーそれだけでも十分に面白かったけど。でも普通にコメディってだけで見せられてもけっこう重いかもしれないんで、この蜷川さんの演出はその辺り考えてるのか、話の内容だけじゃなく見せ方自体がギャグスレスレだからこういう話でも許されるのかなあ。半キチのペトルーチオが筧利夫じゃなかったら辛いかも(笑)どう見たって、ペトルーチオが頭オカシイと思わないと、この仕打は納得できないよw
とにかく、こういう客席まで使って、出てくる役者もよくわかってる、なんて楽しい舞台なんだーっていう感じは役者にも支持する人が多いのはよくわかりました。出たいって思うよなあ、これは(笑)
蜷川さんの紹介パネル。