そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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ハンチョウ〜神南署安積班〜シリーズ4 #8

http://www.tbs.co.jp/hancho/
脚本:安井国穂 演出:竹園元
 
たった1時間なのにまたメチャクチャ濃い1時間。ほとんど2時間ドラマ並。しかもこのゲストたちをちゃんときっちりキャラ立てして、それぞれのキャラが納得出来るからこそこのストーリーが生きるような筋立てと展開で、いろんなモノを詰め込んでコメディっぽくもあるのにすべてが全部きれいにまとまってるって、いったいまたどんな魔法ですかね?(^_^;)
しかもキャストもお遊び含めて濃すぎる(苦笑)ついWikiで全部調べちゃったんで先にキャストに突っ込んどくと、メインゲストはモト冬樹だけどそれにつるんでるフリーターの若者三輪くんはなんと前川清の息子さん。というか歌手じゃん、ドラマは初めて‥‥?その彼の彼女の向井さんは吉祥天女の小夜子さんか。またずいぶんイメージが‥‥w
殺された不動産会社の若いヤツはビックリ西興一朗@アバレッド。言われて見返しても全然わかんなかった。よく当て馬脇役にいがちな切れ者そうなオッサン。あえてオッサン言う(笑)あいつ性格悪そうだから好きじゃないんだけどさ。体格よくなってるせいかなあ。
モト冬樹の別居中の奥さんはやたら美人だなあと思ったら元宝塚の久世星佳。いやよく知らないけど。(間違ってた><こちらは芦川よしみさん。訂正。元塚の久世さんは殺された杉山社長の奥さん、つまり犯人の方でした)←ああ、だからこそ、最後の取り調べのシーンがあんなに説得力あんだなあ。
そして意味なく、本当にチョイ役にダンプ松本アジャ・コング。脈絡の無いチョイ役ゲストってのは毎回レベルでよくあるけど、どういう基準?(^_^;)
メジャーなゲストキャストとそうじゃないゲストのせいで、確実にこいつが○○ってのがないから困るよなあ。まさか前川清の息子なんてなぁw しかも妙に上手いんだもんなー。
 
んで今回の話。
大筋は、一生懸命着てる弱い人間たちを食い物にする人間は許せない、でも社会に押しつぶされてなんとか生きてる弱い人間たちもちょっとした気の持ちようで希望を抱くことが出来る、そうすれば頑張ることができるんだよ‥‥という、気持ちが洗われるようなお話でした。エエ話や。こういう弱いものの目線からの話って過剰に可哀想なありきたりな話になりがちなんだけど、キャラ立てが上手いのでそんな陳腐な話にはまったくなってないのがスバラシイ。
ささいなことから安積の名を騙る偽物がいたり(もう安積さんは往来で名乗らないほうがいいと思うよw)、また犯人同士で庇いあい?と思ったら、庇いあいは誤解だったと。
というか、夫婦間のほとんどの事件において、妻殺しは夫が、夫殺しは妻が犯人に決まってる‥‥を地で行きました(笑)あの奥さんが会社の若い男と共謀して社長の旦那を殺したんだろう?と思ったらまんまとその通りって‥‥(苦笑)
しかしその割に見ごたえあって、一瞬そのセオリーを考えたものの話の展開としてはそうじゃない方に振っていくから「あれ、オレの勘違い?」と最後の最後まで思わされそうな、良い展開でした。
事件自体は単なる妻による夫殺し、しかも動機は女遊びで離婚で‥‥というありきたりな理由なんだけど、そこに就職難のフリーターとかリストラおじさんの悲哀、浮浪者やフリーターを食い物にする悪徳不動産業者の違法すれすれのやり口に、過去の保険金目当て殺人を絡めて視聴者を撹乱してミスリードするとか、盛り込みつつ、後半はかなりストレートな社会派問題に。
リストラされていろいろ事情があって家族と別居中の林田さん(モト冬樹)も、職場が倒産して再就職できずにフリーターやってる若者の三輪くん(前川紘毅)もいわゆる社会的弱者の立場だけど、頑張ってハロワに通ってる素朴ない人たちで、三輪くんの彼女の向井さんはお父さんが自殺したものの(実はその不動産社長の杉山が保険金殺人)なんとか独立しようと頑張ってると。
そういうキャラ設定で悪徳不動産社長転落殺人事件&自分の弱さを克服しようと思ってる林田さんが「神南署の安積だ!」と名乗りつつ世直し活動だの、三輪くんがやったかもしれない事件の捜査だので安積たちを「?」に陥れつつ、お互いが社長を殺したんじゃないかと思って庇い合ってる三輪くん(向井さんを庇って自殺考え中)と向井さん(こっちも三輪くんがやったと思って行方不明に)、しかし真犯人は奥さんだったーというてんこ盛りすぎるストーリー。
ほんとにシリーズ2以降、時々ハンチョウって、こういう濃い話持ってくるんだよなあ(苦笑)
この安井さんって前のシリーズとかでも相当濃い話書いてたよな。今Wikiで確認したけど。
まあ細かいこと突っ込むより、なんかそういうキャラ設定や状況踏まえた上でグッと来たシーンが二つ。どっちもセリフと、それを言う人間、言った状況がグッと来るというか。
 
死のうとして死ねなかった三輪くんを止めに来た林田さんが、(早とちりの誤解ではあるんだけど)彼女を庇うつもりでも死ねないってのがまた三輪くんの気弱で普通っぽい若者っぷりさなんだけど、自殺を止められてんのに逆ギレして仲の良い林田さんにも酷いこと言って、でもすぐ謝ったり(エエ子やw)、弱い人間はどん底からは抜けられないと嘆いてるとこに林田さんの
『今日が死にたくなるくらいのどん底でも、明日はどん底の今日よりも少しよくなる。あさっては、その明日よりも少しよくなる。そうやって少しづつが重なって、いつか、いつか本当に笑える日が来る』って話が、いうのがモト冬樹だけあってなんか説得力。このセリフは安積さんがあとで言ったきれいにまとめたバージョンだけど(笑)本人のセリフはスゴイ取っ散らかってるのもなんかリアリティありw
そして、自分らの殺人を上手いこと三輪くんと林田さんに擦り付けようと拉致してたところを捕まった、杉山社長の妻の取り調べ。社長に保険金をかけて殺そうとしたことに対して、
『自業自得ですよ。人の命はお金に換えられるってあの人が教えてくれたから』それ聞いて、憤りのあまり吃る桜井に、
『本当のことじゃない、今の世の中はそうなってるの。あの人が教えてくれたわ‥‥弱い人間は惨めに搾り取られるだけ。人を踏みつぶす側に回らなければ、自分が踏み潰されるわ。今上手くやってるヤツはみんな、人を踏みつぶしてきたヤツらだって。みんな本音では踏み潰す側に回りたいのよ‥‥あんたたちだって、そうでしょ!』と潔く言ってのける社長妻。うん、そこまで潔くそう思えたら気持ちいいよね、ただ犯罪だけどね!
そこに冷静に村雨さんが(悲しい目をして)
『そんなことはない‥‥貧しくても踏みつけられても、必死に誰かを支えようとして生きている人たちがいます。あなたの目にその人達の姿が映らないだけだ』‥‥って、それはお互い弱い者同士で庇い合ってた林田、三輪、向井の3人のことだけど、カッコよすぎるこのシチュエーションにそのセリフが!
ちなみに悪徳社長は何やってたかというと、フリーターを敷金礼金ゼロでアパート貸して、一日でも家賃滞納したら多額の違約金を取って放り出すという違法スレスレのことやって稼いでたわけで。
そして向井さんのお父さんは、たまたまリストラ転職(だっけ)でそんなとこにいっちゃって、普通の人だったからそういうコトが出来ずノルマが果たせなくて社長に責められ自殺、しかもその自殺自体が保険金目当てで仕組まれたもので、保険金は遺族には払われず社長の遊ぶ金に‥‥という話。酷いな!

最後は林田さんは家族のためならとなりふり構わず仕事を見つけ(30年経理をやってたというプライドが邪魔して仕事を選んでたのがいけなかったみたい)、家族一緒に暮らしてめでたしめでたし。家族別居で家を処分する時に学習机を売ってもいいよといった健気な娘さんが(学習机は普通の家具より高く売れるらしいよ!)、林田さんからのやり直しの電話の時に、お母さんと座卓で勉強してるというのが演出的にも取りこぼしがなくさすが。隅々まで行き届いてる、気が効いてるわー(*´∀`*)
三輪くんと彼女はケーキ屋さんが夢?彼女美容師見習いじゃないのかよw
久しぶりな安積の娘の涼子ちゃんに、食堂のおばちゃん(ダンプとアジャw)に捕まった偽物刑事(自分のことだよw)ことを突っ込まれて慌てても、頑張る林田さんを見かけて「お前のお父さんです」と潔く認めてこっちもメデタシメデタシ。たぶんニセ安積あらわる事件で改めて刑事という仕事について考えた‥‥とかかなあ?だって今回のテーマは安積の正義だしな。
てか、何でこんなに長々と書いてるんだw
あとまあ本当にどうでもいい話だけど、社長が殺されたところ、神南署の管轄じゃないよ。六本木トンネルだよ(笑)トンネル側道と(いわゆる特撮的には長石トンネル)そこに続く壁面アートの通路もね。あの階段もたぶんあの辺じゃないかな?そんな分かりやすく港区使っちゃダメw