そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

世界侵略: ロサンゼルス決戦

監督:ジョナサン・リーベスマン 脚本:クリストファー・バートリニー
http://www.battlela.jp/

 
SFかと思ったら、戦争映画だった。「ID4」と「ブラックホークダウン」を足して「第9地区」を混ぜたような映画だった。ベタだけどなんか泣けた。面白かった!
3月の震災のせいで4月公開が半年遅れになって、その間に「スカイライン-征服-」(同じくロサンゼルスが舞台だ)とか似たような映画やっちゃって大丈夫だろうかと思ったけど、全然別物だった。 *1
むしろ日本だと今この時期にやってちょうど良かったんじゃないかって感じ。
最初から最後まで戦争モノで、しかもドキュメンタリータッチの臨場感あふれる映像のせいでものすごく入り込んで見てしまったよ。この映像もスゴい。単なるハンディの映像というよりドキュメンタリーに見せつつ、実はリアルさや臨場感を優先した映像として演出されてるんだよね。ちゃんとした客観的視点の映像というか、クローバーフィールドみたいに登場人物の視点でみた映像ではないというか。
主役がアーロン・エッカート(ダーク・ナイトのトゥーフェイス役)で、途中まで、なんか見たことある犬顔のおっさんだなーと思って見てたくらい地味なメンツなんだけど、そのせいか、いわゆるヒーロー映画でないのがよかった。
そして主人公たちはロスの海兵隊なんだけど、ただの軍隊でなく海兵隊だということがとても重要な映画だよな。海兵隊カッコイイ!超カッコイイ!
海兵隊といえば「Semper Fi!(センパーファイ)=常に忠誠を」だけど、これが海兵隊の精神なら、この映画でずっとみんなが言ってた「NO RETREAT!=退却NO!」は海兵隊の姿勢を表してるよね。退却しないってのは、絶対に諦めないってことだよね。
この映画って、彼らが軍隊のプロとして何かを守るために戦ってるというのが一番のポイントじゃないかと思ったし、そういうところの人間ドラマが、ベタなんだけど泣けたよ。
突然の未知の侵略宇宙人がやってきて、出撃する彼らの相手は人間でなく宇宙人で、見てるこっちがそんな装備で大丈夫か?と言いたくなるような、どう考えてもパワードスーツか巨大ロボが必要なシチュエーションなのに、おそらくいつもの戦闘と同じように戦場(ロスの街だよ)に向かう様子にハラハラするよ。だってどうみたって死ににいくようなもんじゃん?侵略宇宙人に生身で白兵戦で立ち向かうんだよ?

こういうののよくありがちな解釈として、要するに侵略宇宙人の危機に晒される地球人類は、未知なる脅威と戦ってる今の自分たちの社会みたいなもので、ちょっと前まであった「仮想敵」でなくまさになんだかよくわからない「頭上の脅威」と戦ってる今のこの世の中みたいなものだってことだよね。この不況や災害を宇宙人の侵略に見立ててそれに対する人間たちを描いたドラマ‥‥みたいな感じの。
ネタバレになるから内容についてはあんま言わないけど、任務を遂行できなければ意味があると思えないミッションに対するモチベーション、なぜ彼らは危険な戦場に向かうのかというとそれは守るものがあるからで、それがたとえ少人数であっても市民を見捨てず守ることがひいては国を守ること、つまり市民の生活を守ることに繋がる。そのためにはどんな困難な状況でも努力をし、絶対諦めないという気持ちを持つことが大事だってことだよね。
人間ドラマといっても個々の登場人物を掘り下げるというよくある展開でなく、それぞれの兵士たちの今の状況や人間関係にはちょっとだけ触れてはいるけどそれはキャラ付け程度で(大体覚えられないw)、その彼らがどういうつもりで戦ってるのかということをメインに描いてるから、あんまり重くならず、逆に戦闘そのもののアクションを楽しむこともできるって感じかな。
戦争モノを楽しむというとちょっとあれだけど、これは単純に映像として本当に戦っってるように見える役者たちの本気度の高さとリアル感がスゴいし、最後もちゃんとカタルシスがあるから人類の希望と相まってスッキリはするんだよね。
そして海兵隊の彼らと同じに敵の宇宙人にもそれなりの人間性みたいなものを想像する余地もあるし、でも対話なく侵略する存在に対して何が出来るかというとやっぱり自分たちの生活を守ることで(と劇中でも民間人の親子が言ってる)、それが正しいと思えるようなドラマというか。途中犠牲になる隊員も出てくるんだけど、自己犠牲がいいといってるんではなくそれは守るための正しい判断/決断だと思えるのは、彼らが海兵隊だからだと思うし。
そして守られる側も受身ばかりでなくある意味強くあらねばならないわけで、必要であれば銃を取り、仲間となって戦おうと言う。そういう諦めない気持ちと、痛みを乗り越える強さがあるからこそ、困難に打ち勝つこができるんだと思える話だった。海兵隊PRのプロパガンダといえばそう思える部分もあるとは思うけど、でもやっぱり略宇宙人とでなくても何かしら困難な状況と戦わなきゃいけないことはあるし、そのための気持ちの持ちようとして、米海兵隊の行動理念というものは希望を信じることができて、涙出るくらいカッコイイと言わざるをえないんだもん。あくまでも軍隊の中の精鋭である米海兵隊だからこそという、まあアメリカ人って海兵隊大好きだよな!というのがよくわかる映画だってのもあるな(笑)
最後も彼らのその諦めない姿勢が希望を感じさせてくれるから決して暗く終わるわけじゃないし、むしろ粘り強く考えを巡らせ、どんなときも諦めなければなんとかなると思えるんだよな。面白かったし、ベタだけど泣けたよ。もう一回見に行きたいくらい。これは大画面で見るべき映画だね。
しかし、ここんとこの若手監督が作るハリウッド映画は、今までのハリウッドフォーマット *2 の映画と違って、なにか新しいものを見せてくれてるって感覚があっていいね。確実に世代は変わったなあ。

*1:でも構成はちょっと似てる。冒頭が交戦状態でそこからストーリーは前日に戻るとか、手持ちハンディ風の映像でリアル描写狙ってるとか、ラストが〜〜だとかw

*2:例えばこんな→http://sairin.com/story.html