そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

それでも、生きてゆく#11「光の方に向かって…」(終)

脚本:坂元裕二 演出:永山耕三
http://www.fujitv.co.jp/ikiteyuku/index.html
 
やっと今頃感想。書いたまま放置してた‥‥のは忘れてたわけじゃないんだけどー(^_^;)
 
これはハッピーエンド‥‥なんだよなあ。これがハッピーエンドじゃないなら、「仮面ライダー剣」をハッピーエンドって言っちゃいかん気がする(笑)←特撮ファン的発想w
別にキャラやシチュをなぞらえたりはしないけど、なんか見終わったあとのこっちの気持ちとしてあれと同じ印象だという感じってーの?でも剣よりは物語としては希望があって明るく終わってるよな。実際はどうであれ。
しかし、お話として贖罪とか自己犠牲になってる話をまったくそう見せてないって点では、このドラマはすごいな。
話としてはそうなんだけど、ほんの一筋でもそんな風に思わせないというか、そう見えるような重くて辛い話だと思う人がいたら、それは単に自分の中の定型の物語に当てはめてカワイソがってるだけじゃないかと思うよ。あくまでも、当人たちにとっては幾らかの希望があって、明るい明日が見えてるんじゃないかと思う。諦めのそれなんだとしても、そういう風にお互いを思い合うことも、愛するってことの一つの形だと思えば。
 
とりあえず文哉が収監されたって時点で話はちゃんと収まってて、少なくとも深見家の被害者家族としての物語は終わったんだよな。亜希ちゃんのお墓参りと、響子さんがそれを三崎家の人たちに許したのがそのひとつの区切りなんだろうけど。
それにしても弟、そこでメーテルかよ(笑)宇宙と言われてお母さんもニガワラ(^_^;)オタ弟めw
弟は、希望や明日をどういう気持ちで考えればいいのかわからない、しかもカラオケレベルでの話とか言ってるし、本当の意味で真面目に向き合うことができなかったんだなあ。でもまあ彼の人生としては、そこで引っかからないで人並みにマンガやアニメも見てるようだし結婚もしてるし、よかったといえばよかったのかもしれない。意識として「被害者家族だ」ってのはあるだろうし。
まあそれはそれでいいんだけど、亜希ちゃんの事件に関係なかった三崎家(遠山家)の妹の灯里ちゃんはとうとう加害者家族の当事者になっちゃったことを考えると、なんだかなーとちょっとだけ思わざるをえないよ。
洋貴ともう会わないという双葉の決意は、たぶん双葉ならそうするだろうなあと思ってたんで洋貴が何をどう言ってもくつがえらないんだろうなとは思ってたし、そこで洋貴と両思いになったから止めますって言えるほど起用じゃないんだよな。双葉的には真面目じゃないってことみたいだけど。それこそ行く前から止めますとか言うと逆にどう思われるかとか考えちゃうほうだろうから、それは絶対ないと思ってたんだよな。それが双葉なんだろうし。
洋貴が殺された亜希ちゃんのことを忘れることができるかもしれないって思ったのは、そばに双葉がいてくれたらってことなのはわかるんだよね。
殺された側は死んだ理由がどうあれ、それを納得して受け入れることが出来れば、たぶんその死は全うされたものと同じになるんだよ。でも殺した側の家族はそうはいかないというか、しかも殺した本人が悪いと思ってない以上家族が贖罪するしかなく、その命を奪ったという罪の意識は「忘れることができるかもしれない」という類のもんじゃないと思うから。双葉と洋貴は同じだけど、そこは決定的に違うんだということを、最後の最後で思い知らされたかな。それは文哉が事件を起こさなくてもそうだったかもしれないんだけど。
でももし文哉が真岐をあんな死んだも同然な状態にしてなければ、双葉だって洋貴と一緒に生きることができたかもしれないけど、どうなのかなあ。双葉の性格で同じ船に乗り続けられるんだろか。
ああだから、響子さんは隆美さんに同じ船に乗ってるって言ったけど、実際それって文哉が真岐を手にかけるまでのことで、もう同じ船には乗ってないんだよ。深見家は降りることができたんだよね。船から。
でも、だから見ててずっと思ってたんだけど、洋貴はどうしてそんな双葉のことを「何年でも待ってる」と言わないのか、不思議でしょうがなかったよ。まあそれを言っちゃうと逆に双葉に気を使わせるから、待つなら言わないで待つのが洋貴かなとも思うけどさ。
あとさすがにキスとか、ちょっとでも生々しい接触はこのドラマのテイストだとないだろうなと思ってたから、いつ洋貴が双葉を抱きしめるのか、むしろオレとしては二人のデートの間そればっか気になって気もそぞろでした(笑)リアル友達かよw だって何も無いとかありえないし。
でもあったらあったで、その未練を絶ち切って行かなきゃならない双葉が可哀想でなあ‥‥(T_T) というか思い出しても泣けてくる。双葉の「ずっと深見さんにこうして欲しかった」がこのドラマの頂点だよな。
ああでもあの洋貴が双葉を抱きしめる仕草の微妙な加減が、また瑛太が上手くてホント泣ける。あれで終わりって、ほんと酷いよなあ。思い出作りとか、そのままで一生かよ。本当になんで双葉が?と洋貴じゃなくても納得できないよ。文哉が憎いよw
というか、あそこの別れ際で両手上げてバンザイみたいなあれって、お祭りのあとのW杯の話でヤッターと思うことがあるかって言ってたやつだよな。そこでそれなのか?と思ってちょっと考えちゃったんだけど、あれって「両思いになってやった−!」ってことなのかなあ。お互い両思いだってわかっただけで一生生きて行けるのかと思うと切なすぎる。
しかも双葉って、それをある意味洋貴にも強要してんだよね。そうじゃない洋貴に、そう思えっていってる双葉のそのかたくなさと融通の利かなさに泣ける。

一応その後の話的なものとして、文哉の拘ってたものが母親の顔を覚えてないってことだったってのが、今までの行動と繋がってるようで繋がってないってのがまたそれっぽいんだけど、本人も因果島の母親の実家に実際行くまで、何を求めてたのかわかってなかったってことかなー。もっと早くにそれがわかっていたらもっと違ったのかもしれないのにねえ。でもまあそもそも、亜希ちゃんを殺した理由はそこじゃないよね。
刑務所で母親の写真を取り出す洋貴が、何を考えてあの終わり間際に出したのか、なんで双葉は文哉の妹じゃないって言ったのか、そのあとどう思ったのか、いろいろ考えるよ。あとお父さんの駿輔の、文哉との今後とかね。
 
それにしても、情報伝達手段はいくらでもあって、地理的な遠さとかないようなこの現代で、あの二人の距離感はあまりにもファンタジーすぎる。
そうだよ、なんか最後ものすごくファンタジーだなあと思ったのは、たぶんそこら辺の現実感のなさというか、それは洋貴と双葉という人間の、感情的にはリアルなんだけど、それをドラマとして見ることの非リアルさというか、そういうとこな気がするかな。
ラストが、二人で手紙のやり取りをしてるのかと思ってちょっと安心してたら、実はおみくじ的な、木に結び付けてるだけの一人メッセージだったとか、なんかもうどうしようかと。双葉が話したおみくじの話を、ふたりとも相談したわけでもなく同じことを考えてるというのがなあ。
でも二人して同じように同じことやってるくらいだから、双葉が言ってたように多分なんかわからない方法で届くポストってことなんだよなあ。というかたぶん届いてるというか、あの二人はそれを確信してるのが、悲しいけど明るく希望に満ちた切なさというか。ドラマとしては、ある意味徹底してるとこがドリームでファンタジーだけど(笑)
『思うんです。希望って、誰かのことを思うときに感じるんじゃないかなって。希望って、誰かに会いたくなることじゃないかなって』
という洋貴のひとりごとというかモノローグ。だからこのドラマはハッピーエンド‥‥なんだろうね。
なのに、どらまのラストのオチが、まさかの15年延滞したエロビデオかよ(苦笑)
そのネタを持ってくるところがすごく確信犯的にファンタジーだなあ(笑)参った(^_^;)
ほんとに久々にすごいドラマ見たって感じ。あくまでファンタジーだけど。
あーでもなんとなく「ラストクリスマス」(織田ちゃんと矢田ちゃんの月9のアレw)のファンタジーさと似てるっちゃあ似てる気がするな。なんとなくあれ思い出してしょうがなかった。さすが坂元裕二かw