そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

九月が永遠に続けば

九月が永遠に続けば

九月が永遠に続けば

相方に渡されたんで読んだんだけど、いやー本当にクソな内容だった。
途中で嫌になって、というよりあんまり読みたくないウザイ描写があるからすっ飛ばしながらだけど、読む甲斐はないけど読む価値がないかといえば、こういうものがホラーサスペンス大賞取っちゃって本屋さんのオススメNo.1になるんだなあ‥‥ということを知ったという意味では、まあ貴重な読書体験でした。本当になんでこんなのにGOが出るわけ?

登場人物の誰にも共感できないどころか、この主人公のバツイチ41歳の水沢佐知子が本当にイラつくことこの上ないバカ女。息子が突然失踪した、しかもゴミ置き場にゴミを捨てに行ってそのまま‥‥というそんなまさかな状況ゆえにわけのわからない焦燥感に苛まれて余計なことまで考えてしまうってのはわからんでもないけど、それに対する行動や考えることがことごとく意味わかんなくてイライラさせられるし、結局この話って何だったかというと、オレ思うに、このどうにも頭悪くて何の役にも立たなそうな女が、離婚した素敵な元夫のことを忘れられないゆえに、その元夫を人間的に軽蔑すべき相手だと思い込んで未練を断ち切るだけの話だと思うんだよね。
だから女性特有の被害者意識と被害妄想と身勝手な想像力で何もかも決め付けでマイ世界を作って、その中で自分はまったく悪くない、悪いのは周りなんだと思える人なら共感できるかもね。まあそういう人のほとんどは自分がそういう人間だとは思ってないだろうけど。
というか、この主人公の行動と考え方を見てると、たぶんこの佐知子さんって自分がどうして離婚されたかわかってないんだろうなあとしか思えない。他の女に取られたわけじゃなく、そもそも愛想つかされてたんじゃないかな。だって何の役にも立たなそうだもん。息子育てて自分が暮らしていけてるのは医者の夫からの慰謝料だか養育費だかのおかげだしな。本人ちゃんと働いてないし。
そして息子の失踪は単なるミステリーとしての体裁のためだけでしかないよ。だってあんなオチありかって話だもん(笑)本当にあのオチはクソ。途中から想像付いたけど。(というかそこしかないし)
そもそもこの話の何がイラつくかって、この話全体がこの主人公の「主観」なんだよね。この小説自体、あまりに主人公の主観で書かれてて、ところどころ人称間違ってるのかと思ったくらい。別に日本語文章が下手なわけじゃないから、作者の確信犯なんだろうけど。
他の登場人物に対する描写のほとんどすべてが、主人公が勝手に想像して考えたりそう思ったっていうだけの決めつけで書かれてて、その自分の考えた想像で勝手に空回りして居ても立ってもいられなくなり独りよがりな他人からしたらはた迷惑な行動を繰り広げてるんだもんな。
しかも主人公自身が他の登場人物に対して相当決めつけで行動してるから、キモイ関西人だけど親切な服部のおっちゃんのことはないがしろで便利に使うだけ使って心中ではうざいとか生理的にダメとか思ってて、自分が別の若い男と体だけの付き合いしてたのは途中からスルーで元夫の雄一郎さんの性癖だけをあげつらって軽蔑して、自分が捨てられたことには何の否も認めてなく、全部亜沙美さんが男を惑わすからいけないんだが結論で(しかも彼女がそう思ってる亜沙美と冬子は別に美人でもなくなぜそういう魅力があるのかさっぱりわからない)、「息子が失踪したから」という理由だけでそういう強引な態度をすべてを正当化していくって、どこに共感しろと?
まあそれくらいやることなすこと頭悪くて何も考えてなければ最後のオチ(オチって言うなw)にたどり着かないというのが、これ読んで一番「はあー?」っと思うところかもしれんけど。シュミレーションRPGでいったら普通の人にはまずたどり着けないルート(笑)
そしてお話的には完全に息子が悪いと思う。そこは何も突っ込んでないけど(だって主人公目線だから息子が悪いわけないよな)はっきり言っとく。
読後感の後味はまったくスッキリもしないしなるほどとも思わないし、むしろ「えー‥‥?」って話。
エロ多めが売りみたいだけど、それも別に桐野夏生みたいに登場人物たちの内面を掘り下げたり抉り取るような役割をしてるわけでもなく、単なる通り一遍の記号的残酷レイプ描写ってだけだしね。まあ本人はだいぶエグイもの書いたつもりだろうし、そこを読んで嫌な気持ちになる人は多いと思うけど、あんなの記号的描写でしかないから話には何の深みもないんだよな。大体そういう目にあった女の子がああいう風に立ち直れるとは思えないしなあ‥‥(そこは錯乱状態も含めて人それぞれかもしれんけど)
まあとにかく、これだけ読んで何も残らない話に、インパクトだけでそういうエロ描写混ぜたりセフレ云々とか殺人だとか、とにかく主人公のキャラのウザさとか見るに作者の沼田まほかるはとても性格が悪そうだなあ‥‥としか思えません。
まああんまり、というかまったく薦めないな、この本は。本当にどうしてこういう本が売れるのかなあ?どこに需要が?謎すぎます。