そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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宇宙刑事ギャバン THE MOVIE

http://www.gavan.jp/
監督:金田治 脚本:小林雄次

 
うーんうーん、ギャバンはリアルタイムで見ててかなり好きだけどー、今回のこれは別段ものすごく期待してってわけでもなくいつもの特撮映画の期待値とテンションで見に行ったけどさー、正直、微妙どころか完全につまらないと言っていいレベル。とにかくなんであんな脚本にOK出したのかなあ?
今まで劇場で映画見ててそう思ったことは殆どないんだけど、ヒロインがさらわれる辺りで飽きちゃって帰りたくなって困った。正直この3人の恋愛関係のドラマについてはどうでもいいと思った。何も面白くないんだもん。そのあと魔空空間がなかったら耐えられなかったよ。ぶっちゃけ前半いらねー。話がわかんないんだから退屈ですらないよ。ただ飽きたなあと思っただけ。
そもそも、もし「仮面ライダーTHE FIRST」みたいに恋愛絡みにしたかったんならなんで脚本を小林雄次にしたって話だし。(オレの中ではネタ云々よりいつも脚本内容やキャラ心理への突っ込み度合いが中途半端に浅いと思う)
あの3人のドラマどころか、この新生ギャバンのストーリーすら最初から最後までずっと頭の中で「?」がつきっぱなしだった。面白いとか面白くない以前に「何なのこの話?」としか思えないんですけど。これ、なぜそう思ったかちゃんと説明したほうがいい?とりあえずするけどさ。
あ、メインキャラ数人だけで話を回してるってのは、本当は突っ込みたいところだけどとりあえずスルーしとく。リアリティはまったくないよね、子供向けだとしても。世界観が狭すぎるよ。
 
ストーリーというより設定的な意味でなんだけど、これってさ、主役が石垣佑磨ならどうして主人公の十文字撃は格闘チャンピオンな研究者にしなかったのかなあ?サイドカーレースにした理由はサイバリアンがサイドカーだからだろうけど、それって拘る必要ある?そういうの、わからんでもないけど拘るのはそっちじゃないって感じ。だって撃が宇宙刑事の訓練して1年やそこらであんなに生身アクション出来てるんだから、元から格闘技出来る設定にしたほうがいいじゃん。そもそも助けられてスカウトされたから宇宙刑事になりますったって、素養がないと無理なんだし。*1
そして撃と遠矢(永岡卓也)は冒頭のサイドカーレースでのコンビから、宇宙飛行士?で火星に行くっていうのがどういうレベルなのかわかんないよ。結局何してる人だったの?レースは趣味なの?なんで説明ないの?
そっからして「この人たちは何なんだろう?」っていう疑問がずっとあるんだけど。いや後で説明されるのかなと思ったんだけどまったくないし、SARDという組織が何かすら説明されなかったよね。だから、あの3人の関係がさっぱりわかんないんだよ、幼馴染ってこと以外。
恋愛に関しても矢印が全然見えねーし。いやこの話の主軸ってそっちだから、恋愛矢印見えないのはちょっとどうかと思うよ。井上敏樹先生くらいやれとも言わないけど、少なくとも衣月がどっちのこと好きなのかくらいはハッキリさせとこうよ。だからあのヒロインがなんだかよくわかんないんだよ。両天秤かけて優柔不断なこと言ってる南ちゃん状態ですらないって、キャラとしてどうなのよ?
遠矢はキャラも中の人も思った以上に良かった。ナイーブそうだったりちょっとおかしくなってたり、とどめの悪役が大変良かった。ホントにこの中で一番良かったのはブライトン様だけ(笑)まあ研究とヒロインを自分のものにしたいという欲求の兼ね合いがよくわかんないのはどうかと思うけど。(脚本のせい?)研究が認められなくて理解者は衣月だけと思い込みすぎておかしくなったっていうならわからんでもないけど、そういうキャラでもなかったしー ( - ε - )
あ、一条寺烈(大葉健二)は別格ね。スピードはさすがに落ちてるけどアクションカッコイイし、何よりあの飄々としたところがタマラン (*゚∀゚)=3 ムッハー というか一条寺烈と十文字撃のコンビをもっと見たかったなあ。
石垣佑磨の十文字撃=二代目ギャバンは、ゴーバスのゲストで出た時も思ったけどキャラ的にひょうきんキャラなのか真面目キャラなのかはっきりしないんだよな。
石垣くんはそもそも真面目属性の役者だけど、ギャグをやれと言われたらできる、でも本人の素がそうじゃないから脚本ではっきりとキャラの描き分けをしといたほうがいいのになあと思って見てた。だって魔空空間の撃の方が生き生きしてるんだもん。あそこ、たぶんコメディチックにノリノリでみんなやってたんだろうけど。
まあ子供向けキャラとしては恋愛には疎くてちょっと先走り気味のおっちょこちょい、でも基本はシリアスに熱血‥‥くらいでいいと思うし、それでこそ最後の「しばらく地球を離れる」のKYな感じが(衣月が撃を好きなんだとすれば)合うと思うのになあってくらいだけど。
とにかく大筋のストーリーがずっと恋愛の話してるから、撃のキャラとしてどっちつかずなのが残念だったかなと。そこはほんとは石垣くんがそこまでキャラをわかってやっててくれたほうが‥‥ってことでもあるんだけどさ。アクションはすごくカッコイイし、動きもキレイだったから大満足だけど。だからこそそっちを生かしたキャラを押し出したほうが‥‥というかね。
 
あと脚本バカなの?と思ったのは、ヒロインの衣月(滝裕可里)が「私が好きだった遠矢は〜」って言ってる思い出のシーンが可愛がってた猫を異次元に飛ばす実験してるとこって‥‥てか、「あの頃の遠矢に戻って」って言ってる”あの頃の彼”は、猫を異次元に飛ばそうとしてる彼だよね?いいんだ、そんな研究し過ぎてちょっとおかしくなってる彼で(苦笑)
それとあんな重要な任務の最中にいきなり彼女を賭けようとか言い出す人はどうなのよ?遠矢のことですが。
光の歪みだっけ?が見つかったら勝ち、見つからなかった負けって、撃が彼女を渡したくないがために発見できなかったと嘘をついて結果として研究を邪魔したらどうなると思ってんの?井上敏樹レベルの恋愛ネタだった場合絶対そうなるよね(笑)賭けるなら自分のリスクが少ない、もっとマシな賭けにしようぜ?せめて先に発見したほうが勝ちとかさ。研究と彼女、どっちが大事なんだ遠矢?
あとよくわかんなかったんだけどその撃さんは、見習いでまだ正式に承認を受けてないのにギャバンのコードネームをもらってスーツを受け継いだの?しかも1年でだよね?まあ銀河連邦警察がそれでいいっていうならいいんだけどさー。
それとやたら銀河の危機って言ってたけど、その銀河の危機すらまったく描写してないよね。ドン・ホラーが復活したらヤバいってだけで、何がどうやばいのかはさっぱり。
言いたいことはたくさんあるけど、この辺でやめとく。あえて良かった探しをしなくても良かったのは、アクションとブライトン様がカッコ良かったことと魔空空間くらいです。ギャバン先輩の「30年ぶり」ワロタ(笑)

ほんと、いつもの金田監督のテイストと洒落っ気、拘りっぷりを思うとこの映画はまったくなっちゃいないよ。
魔空空間はどう見ても金田テイストでしかもとても楽しそうなので、明らかにこの映画はそっちに、つまり金田監督のいつものテイストに合わせてギャグ多めのアクションヒーロー特撮にすればよかっただけなのに、なんでこうなった?と本当に心から問いたい。
もちろんこんな脚本になった過程としてプロデューサーや監督の意思はあったにしても、これはないと思う。本当にどうしてこんな話にしたの?これって誰向けの物語なの?恋愛話必要だったの?入れるとしても彼女を守りたいレベルで良かったと思うんだけど。
それと、遠矢と撃の「手を離してしまった」はまあそういうオチだろうと思ったけど、撃にシャトルの爆発の時に手を離してしまったからという後悔があって(実際は不可抗力だね)、遠矢がドン・ホラーに「あいつはわざと手を離した」と吹きこまれて恨みに思うという因縁を作るなら、最後はちゃんと意識がある状態で遠矢を助ける撃ってのをやって、そこで熱く盛り上げて和解するとかするべきだろう?オレが言ってるのは「すればよかったのに」じゃあないぜ、「するべきだった」だぜ?
なんでそこでなんとなく撃の中だけで完結しちゃうんだ?意味がわからん。なんでそこで友情ネタで盛り上がらないんだ?理解できん。ついでに言うならそれで遠矢が誤解だった、操られていただけだと気がついて、撃に「彼女を頼む‥‥」とか言ってこと切れてくれればオレの中では完璧だよ。なんでそうじゃないの、小林雄次
とにかく今回のギャバンは不満があるとかいうレベルじゃなく「なんでこうなったんだろう‥‥?」という疑問だけが残る作品でしたよ。
シャリバン三浦力)とシャイダー(岩永洋一)の活躍はもっとあってもいいような気はするけど、友情出演的にあのくらいでもOK。
コム長官(西沢利明)も相変わらずだったけど秘書はマルシーナ(穂香)だったのかーとあとで気がついたw
そういやシェリー(森田涼香)もコメディなのかシリアスなのかどっちつかずのスタンスになっててもったいないなあ。まああんまり好きなタイプのキャラではないけど、ほんと撃とシェリーのキャラははっきりしなくてものすごく座りが悪かったよ、オレは。
そういや敵の怪人たちも再生怪人なのか何なのかまったく説明なくてよくわかりませんよ。
 
それと企画的に思ったのは、これ、なんで去年フォーゼとコラボでやんなかったのかなあーと。
コズミックエナジーと絡めてドン?ホラー復活ならそもそものきっかけとしてとっつきやすいしわかり易かったのに。まあどの程度コラボるかにも寄るけどさ。あえて宇宙ネタじゃないゴーバスに絡める意味がそもそもわかんなかったんだよね。せめて春にでもやってれば‥‥と残念に思わなくはないかなあ。まあたぶん東映さんとしては予想外の映画化だったのかもしれないけど、あんまり通常営業のラインで映画の予定を詰め込むから空きがなくなって、タイミングを逸しちゃうんじゃないのかなーとか言ってみる。
しかし、リアルタイムで知ってる世代を当て込んだのか、子供向けに展開したかったのか、ほんとに中途半端でどっちつかずだったよ。
オレは十文字撃のキャラを考えると完全子供向け(でもフォーゼみたいな方向はカンベン)で楽しくてワクワクするような宇宙活劇、それで裏の方にちょっとだけ大人向けの恋愛ネタが入ってる話で良かったんじゃないかと思う。大体キャスティングとして彼らはもう30なんだから、撃はともかく遠矢と衣月で恋愛ネタくらいでね。
あーほんともったいない。

*1:これってシャリバンの時の伊賀電と同じだけど、彼の後付け宇宙人設定はともかく森林保護管だったってのは宇宙刑事転職のある程度の保証になってると思うからさ