そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

スター・トレック イントゥ・ダークネス(IMAX3D・字幕版)

http://www.startrek-movie.jp/index.php
監督:J・J・エイブラムス 脚本:デイモン・リンデロフアレックス・カーツマンロベルト・オーチー

 
いつも通り前情報は殆ど入れてないんだけど、前作がとても泣けたしスゴい面白くて好きだったんで期待してたのに、タイトルとかカンバーバッチさんの(以下カンバチさん)インタとかを聞いてある程度想像してたストーリーとはちょっと違ってて、あれっ?て感じというか。
話だけで言うと、ストーリーラインはちゃんと理解してるんだけど何やってるのか微妙によくわからんかった。
というかお話が前回と比べても微妙にツボにこなかったというか、その理由はベネディクト・カンバーバッチ演じるところのジョン・ハリソン中佐の設定のせいだと思うんだけどさ。
全体には細かな設定なんかは考えなくて済むようにいろんなことをすっ飛ばしてるJJエイブラムス的な勢い演出だから、細かいことを気にしないでアクションとか展開を楽しむというのがこの映画の一番正しい楽しみ方だとは思うけど、うっかりそこに引っかかっちゃって微妙に楽しめなかったかも。たぶん2回め見に行ったらそれはそれで楽しめると思う(^_^;)
カンバチさんはカッコイイし、まあそれよりもオレはカークのクリス・パインのほうが好きなんだけど、スポックのザカリー・クイントも今回すごいアクションありだしそういう意味ではとても楽しめたよ。最後は5年間の調査航海に出るし!ってか、じゃあ続きないの!?えーっ(歴史変わってるしどうなのか?)
ただまあタイトルの「イントゥ・ダークネス」とか、「人類最大の弱点は愛だ」みたいなキャッチコピーとか予告編とかで、一人を助けるかみんなを助けるかみたいな闇に落ちるになるのかと思ってたらぜんぜん違うじゃんみたいな。
てことで相方とも話したんだけど、このタイトルの「ダークネス」ってのは「闇」じゃなく「試練」だと解釈すべきという話に。試練ならわかる。パンフの中の見出しにもカークが試練を超える話とか書いてたし。
まー今回のこれはカークが正しい艦隊士官として成長する物語で、スポックがカークを無二の友と認める話だよね。それならわかるけど、それ以外のところがいろいろ引っかかるというか。
映像的にはもうスゴいとしか言いようがないです。日本でこういうものをやることはもはや不可能。どうやっても、たとえ大予算があっても無理だよねー(^_^;)むしろもうSFで宇宙ものはこのレベルが基準になりつつある自分の感覚がヤバいw
以下ネタバレですよ。
 
 
ハリソンはネタバレ無しのキャラ紹介的には宇宙艦隊の士官ってことだったんだけど、ぶっちゃけ正体がカーンだって言われて「え、そうなの?カーンの逆襲のカーン?」と思ったところでいろんなことが頭をめぐり、しかもこれリブートで前作からパラレル世界になってる新しい歴史なので、考えるなと言われてもいろいろ考えちゃうし、中途半端に知ってると余計に混乱というかそんな感じ。
知らなかったら楽しめるかというとそれもどうなのかと思うし‥‥まあ少なくとも前作見てない人、忘れてる人、根本的に理解してなかった人は老スポックが出るとこはそういうものだとしてスルーしてもいいとは思うけど、そこもまあカーンの情報に関してはちょっとね。元の歴史とはすでに事件が起こった年号自体違うから‥‥と思うとじゃあどういう位置づけ?というかね。
あ、オレが好きなのはもっぱら新スタートレックなので、旧作はそこまでちゃんとは知ってないです。見たのも子供の頃だし。カーンは映画自体は見てないはず。
もっとストレートにカークとスポックの話だと受け取れば良かったんだけど、それにしてはハリスン(カーン)の話やマーカス提督のやろうとしたことが劇中では理由はほぼ説明されないまま、やったことだけ描かれて、しかもその処分も描いてないからそっちの補完に気がいってしまった…ってのもあるかなあ。
最初にハリソンに脅された娘を助けたい艦隊職員のやったテロ行為の是非や、ハリスンが仲間を助けたいために提督に協力した話、その割に彼の正体が人類を滅ぼしたい優生人類で独裁者だってことに殆ど触れないで彼の悲しみと怒りだけを描いてること、冒頭のカークとスポックの話は人か規則かという艦隊士官としては究極の選択の是非の話で、関連してるようで微妙に話がズレてるような。それぞれ別の話としてみれば問題はないんだけどね。
だからそういう悪の側の歪んだ正義とそれで試される決断や選択の話かと思ってて、それで闇に落ちるかどうかが「試練」かと思ったんだけどそうじゃなかったっていうか。まあ基本の話はカークの成長のための話ではあるんで、そこをメインに愉しめば良かったんだけど。
そもそもスタートレックってメインキャラクターが「常に正しいのが当たり前」の世界で、中盤でパイク提督も言ってるようにカークの資質、宇宙艦隊の船長としての資質自体が闇落ちすることは「ない」んだよね。それがスタートレックの「輝き」ってやつで、だからカークが「間違う」ことはまずないからそこは安心できるんだけど、だからエンタメとしては話が作りにくいのかなあと思ったり。スタトレはダークナイトにはならないんだよなw
そういう意味でマーカス提督がやろうとしたことも、劇中ではたぶん追求されてるだろうけど映画としてはその処分は描いてないまま(彼一人じゃなくそれを後押しした派閥がいるはずなのに)、ラストの戦艦の落下とスポック(全力で走るスポック!w)とカーンのアクションで流された感があってスッキリしないのよ。
ネタバレって断ってるからいうけど、彼がやろうとしてたのはクリンゴンと戦争したいからカーンを目覚めさせて協力させて戦闘艦を作って、カーンのテロリズムを利用してエンタープライズに戦端を開かせようとしたけど失敗したとわかるや力づくで戦争を始めようとしたってことなんだけど(この説明蛇足か?w)、ぶっちゃけ100年後の新スタトレの世界ではクリンゴンって連邦の仲間になってるし、てことは戦争は起こらなかった‥‥ってことでいいんだとは思うけど、知ってるからこそマーカス提督のやろうとしてることで余計に混乱。前作はロミュランだったから今も昔も敵です、で済んだんだけどなw
あとまあカーンについての説明もないけど、血液から取れる血清で死んだ生物も生き返るって言われたらそう思うしかないよね。いやそこは突っ込むところじゃないけど、最後のとこ、カークが死んでもどうせカーンの血清で‥‥と思って見てたのは確か(^_^;)
カークの自己犠牲は、使命感や責任感なのかヒーロー的行動なのかも特に言ってないけど、まあ放射能汚染ってことでちょっと怖かった。見た目的にはそこまで描写はしてないけど、現実にそういう事故があったあとだし、元々のエピソードにあるにしても気持ち的にはちょっと微妙ってのもあるかなあ。そこら辺世間的にはどうなんだろ。考えすぎ?
 
全体としてはいろんな要素のエピソードを上手くまとめてたんで、出来はさすがに良かった。笑いどころもちゃんと面白おかしいしw
しかもアクション多めで画面を派手に、キャラの心情や関係性も上手く盛り込んでるし、その分ストーリーは突っ込まずに浅めに流すってのはありだと思うけど、テーマとしてはカークが船長として正しい判断が出来るような成長のための物語なので(そこにスポックとの濃い友情が絡んでくるけど)、魅力的な悪役としてのハリソン=カーンのカンバチさんを描きたいってのはわかるんだけど、カークとスポックに絞ってくれたほうがよかったかなと思わんでもない。
いやその二人の話は十分描いてるし、それ以外の要素がないとあの二人の違いって描きにくいってのはわかるけどね。カーンのつきつける試練は大変な命題だけど、そもそもそのカーンが終始信用出来ない上に最終的には生かしとくとマズイ相手だというのは、説明なしだとちょっとわかりにくいというか(^_^;)
あとなんとなく前作と違ってエンタープライズが戦ってる相手が敵か味方かわかりにくく、好戦的なマーカス提督から最終的には野放しにしとけないカーン一人で、カーン自身がマーカス提督のやってることと被ってるからなんか内輪の戦いっぽくてスッキリしないというか。
そんなとこかなあ。とにかく面白いんだけど何かスッキリしなかったっていう感想です。2回め見たらまた違うかもしれないけど。