そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

キャプテンハーロック(3D)

http://harlock-movie.com/
監督:荒牧伸志 脚色:福井晴敏 脚本:福井晴敏、竹内清人

 
えーと、こんなの「キャプテンハーロック」じゃないよ?!マジで意味わかんねえ。
映像は素晴らしかった!ものすごい超絶クオリティ。日本でも白組以外でこのレベルのCG映像が作れるってわかったのは喜ばしいことです。
声も合ってた!小栗旬の低音は渋いし三浦春馬は初声優とは思えないくらい上手いしキャラにも合ってる。古田新太も意外すぎてわかんなかったくらい。古田新太だと思って聞いてもわかんないw 蒼井優はミーメだったけど人間離れしててよかった。キャスティングは全員期待以上だった!
でも脚本は最悪に酷い。確か福井晴敏だったよなあ‥‥と思いながら見てたけど、もうSF映画福井晴敏を使うのは禁止にすればいいよ!いや自分がローレライ以降まったく福井さんの話をオモシロイと思ったことないからだけどさ。
てか原作ってそもそもこんな設定だっけか?違ったような気はする。最後の最後でどんなテイストのものをやりたかったのかはわかったけど、いろいろ間違いすぎててポカーン。ダークマターの呪いって‥‥(・A・)?
以下ネタバレですよ。
その前に素晴らしい映像の予告編張っとく。

 
 
キャスティングはねえ、これ絶対はずさないと思ってたけど予想通り。ピッタリすぎ。
オグリンはスマスマかなんかで、自分の声が求められてだと思ってたけど行ったら低めの声でって言われて、じゃあ俺じゃなくてもいいんじゃん?みたいに思った‥‥とか言ってたけど、むしろオグリンが演じるキャではあんまり無いような渋目低音声は貴重!しかも渋くてカッコイイ。まあオグリンじゃなきゃダメなのかっていわれたら他にもいるような気はしなくもないけどさ(^_^;)
春馬は本当に初めてとは思えないくらい上手かった。ヤマのキャラ映像にものすごくハマってて、実写リアルなんだけど見た目が春馬でないことに実はあんまり違和感なかった。
ちなみにモーション(フェイシャル)キャプチャーの中の人はハーロック小川輝晃さん(ニンジャレッドもしくは黒騎士ヒュウガ)で、ヤマは加藤慶祐(名護さん)らしい。
フェイシャルキャプチャーってなんぞやって人にはこれ張っとく。

 
映像はかなり出来よかった!まじめにハリウッドレベル。(実際はもっと予算があればとは思うけど)
それともオレはあんまりゲームやらないから知らないけど、今ゲームムービーってこのレベルなのかなあ。多少ゲームっぽいというか奥行き感のなさがあってアニメっぽく見えることもあるけど、ほぼ実写を見てる感覚になるくらいリアルだった。特に人物キャラが。
全体に白組はツルっとしてキラキラとした派手な映像だから実写ヤマトやガッチャマンってのはわかるけど、むしろこちらの「MARZA ANIMATION PLANETマーザ・アニメーションプラネット)」のほうが実写とのマッチングはいいんじゃないかなあ。*1
顔のアップとかでもアニメっぽさは残しつつ、肌の質感とかがリアルでしかも大画面に耐える質感重視で、全体には渋い感じが良かった。これが実写に組み込めればと思うんだけど、現実には予算的に無理なんだろか。
技術的な話みたいだけど一応これも張っとく。

 
パンフも後で読むけど、とにかく映像はすごいの一言に尽きる。
人物の動きで、素早い動きはまだちょっとキレというかメリハリって意味の重力が感じられないところもあって違和感があるけど、3DCGだってことがほとんど気にならないくらいの質感とリアルさだった。これに実写の俳優混ぜたもの見たいなあ。
実写ヤマトなんかと違って全部がCGアニメーションだからアルカディア号の艦橋なんかも広く描けるし、時間と予算があればハリウッドのSF映画くらいの映像は出来そうなんだよね。
あとまあキャラが実写っぽいから背景や小物が時々アニメチックに見えるのも多少違和感あるかなってとこ。
この手のものは国内だと「白組」が主なスタジオかなあと思ってたけど、むしろリアルって意味ではマーザのほうがハマる気がする。
ただ映像面でいうと、この手のものってどうしても今だとオレはスタトレと比べちゃうんだけど、演出がイマイチかなあ。
荒巻監督はオレはFF映画見てないからあれだけど、ずっと「アップルシード」の監督で覚えてて、あれもまあ背景はいいんだけどキャラはちょっとリアル狙いすぎて逆に気持ち悪くなってたんで(特に影付けが)、微妙っちゃ微妙だなあという評価だったんだけどさ。
やっぱりどうも見せ方自体に奥行き感とかセンスがないよ。画面自体がつまんないんだよね。
あとこれ、一応3Dで見たんだけどあんま3Dの意味がない画面だったかなあ。映像として立体感はあるんだけど、あえて3Dで見る必要もないっていう画面というか、ちょっともったいない。
まあここでスタトレを引き合いに出すのもアレなんだけど、あれくらいのかっこ良さやスピード感は欲しいなあ。(自分的に画面センスはパシリムやマン・オブ・スティールよりやっぱりスタトレのJJのが、センス的には一番いいと思うのだ)スピード感は、上でも言ったけどキャラを動かすにはまだちょっと足りないんだけど、動き自体は細かなとこまで相当リアルなので違和感少ないんだよ。キャメロンが大絶賛ってのは伊達じゃないと思う。
 
とまあ、映像的にはとても良かったんだけど、このハーロックの映画の脚本を一言で言うと、「何もかもわけがわからん」につきると思う。
脚本の出来云々というよりそもそもこの脚本は意味がわかんないし、こんなのハーロックじゃないと思う。ハーロックというキャラの造形、なんでこれでいいと思ったんだろう。怒るというより呆れる。
というかこれは脚本だけの責任でなく、たぶん企画自体に何のビジョンのなかったんだろうなーとしか思えないんだけどさ。本当になんでこれやろうと思ったんだろ?この素晴らしい映像を見せるための映画なのかな?
別にヤマの事情を描くのはいい。それに絡んでお兄さんのイソラや幼なじみのナミの話をやるのはいいよ。一応ハーロックの方の話とも呼応してるしね。(ただちょっとその見せ方がうまくない)
最終的に呪いで生かされてるハーロックが消滅して(のかなあ?)ヤマが新しいハーロックになって伝説を引き継ぐっていうのは構わない。
でもさ、ハーロックダークマターの呪い?で100年生きてて、政府の選民思想に対して正義感で地球をあんなことにした張本人で、その償いのために宇宙を最初からやり直そうとしてるっていうのは、まったく意味不明。むしろ酷い。なにもかもハーロックのせいじゃん。
しかもダークマターの力?で普通の戦艦がアルカディア号になったとか、どう見ても死んでたヤッタランやケイたち乗員が生き返るとか、そこら辺は別に全部に理屈付けなくてもいいんだけど、それにしたってその展開がまったく説明もないから理解出来んのだよ。まじで幽霊船か?幽霊なのはハーロックだけじゃね?ダークマターってなんなのさw
ハーロックたちが現政府に反逆するのはいいけどその追われる理由が自分が地球をダメにしましたーで、彼の生きる理由がその後悔と償い、しかもそれゆえ政府がもう地球なんか偶像でいいから本物いらねで壊してしまってもいいとか言い出すに至っては‥‥そういう話はそれでありだけど、その結論までが間違いすぎてると思うんだよね。なんでこんな話になった?
ヤマにしても、ヤマが心の「自由」を手に入れる話なのはいい。テーマとして「やってしまったことの後悔から自由になること」なのはいい。でも、ヤマはともかくハーロックのそれはどう考えてもダメでしょ。というかそんな設定のハーロックってありえないよ。そんなことが行動理念のハーロックって‥‥(;´Д`)ハーロックは本来自由で孤高な存在だよね?だからみんな彼の元へ集まってるんだよね?
本当にこのスタッフたちはどうかしてると思います。なんでそんなキャラでリメイクした?真相を知るに至って、腹立つよりも呆れるレベル。しかもアルカディア号の乗員ってそれ知ってるの?知らないよね。
トチローとかミーメとの関係もイマイチわかりにくいし、とにかく最後の最後で何がやりたかったのかはなんとなく、うっすらとわかったけど、それならハーロックの過去はああじゃないと思うんだよなあ。もっと別の良いやり方があったんじゃないかとオレは思うな。
政府機関であるガイア・サンクションも、ハーロックの「敵」であるにしても何が悪いのか今ひとつわかりにくいし、おまけにどこにあるのかも説明描写されてないし(火星‥‥ってことでいいのかな?)全体にものすごい大雑把でダメな脚本でした。
あとどうでもいいけど、まじめに「カムホーム戦争」とか「ガイア・サンクション」って固有名詞、恥ずかしいくらいセンス悪いです。
本当に、本当にもう突っ込みようもないくらいストーリーや設定はダメなところばかり。でも本当に映像は素晴らしかったので、これを実写SF映画にいかして欲しいよー(;´Д`)
 
バルトのアルカディア号と看板。