そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ロボコップ(リメイク)

http://wwws.warnerbros.co.jp/thehobbitdesolationofsmaug/
監督:ジョゼ・パジーリャ 脚本:ジョシュア・ゼトゥマー

 
1987年版ロボコップのリメイク版。
もちろん原作版は大好きだし名作だと思うんだけど(ただし1に限る)、リメイク版は大変に残念な出来でした。主役のジョエル・キナマンはカッコイイし悪くはないけど、やっぱり昔のピーター・ウェラーはいろんな意味でインパクトあったというか。あと劇中では「マーフィー」じゃなくファーストネームの「アレックス」って呼ぶほうが多いのはなんでなんだ?差別化?イメージとしてロボコップ=マーフィー刑事なのでちょっと戸惑うw
 
話のアウトラインはほぼ同じだけどやってることは別物というか逆?今風に変えたところがことごとく話と噛み合ってなくて???な感じに。そしてストーリー的にもまるで効果的でないというか、脚本としてはもっと突っ込んで欲しかった。同じことやるのは意味ないし、でも今のロボコップとして皮肉を効かせたもう少しひねって突っ込んだものは出来そうだっただけに残念。
当時なら悪いのはオムニコープ社ってことでスカッと悪を倒して終わり…で済んだけど(しかもあのラストがある意味一番の見どころ)今の時代企業倫理がどうこうっていうのは当たり前だし、だったら悪いのはそういう倫理観なしに軍事産業に足突っ込んでくる今風のワンマン社長セラーズ(マイケル・キートン)と、法を変えるべきだと煽ってるあの報道番組(とその黒幕)だってことで、もう少しわかりやすく社会悪として問題提起しても良かったんじゃないかなあ。この映画の問題点はそこじゃないけどね。
あえて原作と比べてここがダメっていわなくても、これ脚本としても良くないよ。
冒頭の軍事行動を引き合いに出してのロボット警官が必要だという説得力もないんだけど(そもそも用途が違うし)、感情のないロボットに司法的な判断を含む犯人への攻撃をさせるべきでないといってたから感情がある人間を使ってロボット刑事を作りましたって言ってたのに、結局マシンに劣るから感情を抑制しました…ってとこまでは原作通りのテイストな気がするけど、その前置き部分が長すぎて主題がぼやけちゃってる感じ。前置きが長いってのは全体にそうだけど。
大体その前提のロボコップの圧倒的な強さを持つヒーロー感とか主人公が市民にとって頼りがいがあるという活躍してないようにみえるし、映画的なストーリー展開から言えば死体から科学技術で蘇ったという待ってました感もあまりないし(今こそ脳死判定という強みを…)、やってることが(映画的に)スマートすぎて感情がないからこその容赦の無さに圧倒的な「怖さ」もない。
そこからいきなり自分の事件を調べて人間性を取り戻すのもなんか違うというか(頭良いって問題じゃねえw)、家族の扱いが違うせいで微妙に主人公に共感しようがないというか、アレックスの可哀想感が足りないというか。
話の流れとして意味不明なのは、お披露目に間に合わせようとするとこのくだり。なぜそんな直前にデータインストールしてるのかわからないし、その結果も予想の範囲じゃね?そりゃ脳は人間のままなんだし、感情があったらストレスかかるだろうよとしか…
まああまり一生懸命ツッコむほどの話じゃないしストーリー的なネタバレになるから言わないけど、細かいとこで劇中的にじゃなく脚本的にいろいろと詰めが甘いなあと。
 
少なくとも軍事産業として商売しようとしたオムニコープ社のセラーズが、国内でロボットを使えないというドレイファス法を無効にするために「世間のニーズを意識して市民に愛されるロボット警官を作ろうとした」というのはもう少し心ないマーケティング的な意味での「悪」としてわかりやすく描くべきだったし、冒頭の他国の自爆テロもそのための演出だとネタバレするべきよね。(あと自社で警備にロボットを使ってるのは一体どゆこと?)
その上でキャスターのノバック(サミュエル・L・ジャクソン)の超タカ派っぽい報道番組も、今の世界情勢とか常識考えたらヤバイってわかるようにすべきじゃないかなあ。まともな人間ならありえねえだろとは思うけど、アメリカ人は意外とああいうの支持しちゃうとか含めてさ。(そこは皮肉的に)
全体に社会的な善悪と個人の人間の感情が噛み合ってない感じだから、お話として余計に共感ポイントが上手く見つからなくて乗れないんだよね。
ノートン博士(ゲイリー・オールドマン)の苦悩も最初どっちの立場かよくわからないし。せめて原作みたいにラボでクリスマスや新年のパーティーとかやってればとてもわかり易かったのになあw
そういう微笑ましい笑いどころや家族愛部分も少なめだったのよね。奥さんがオシャレ美人だったのは良かったんだけどw
原作みたいに死んだことにして〜っていうのはさすがに今はマズイと思うけど、ロボコップになったら助かるって言われてたのに結局家には戻ってこない、家族の権利がどーたらで訴えるって言われてもお話としてはちょっと弱いし。その上アレックスが奪われたものが何なのかがよくわからないから、彼の復讐心も今ひとつはっきりしないし、その立場に共感しにくいんだよね。
あと「敵」の存在も今ひとつわかりにくいかなあ。もっと街の小悪党から汚職警官、さらにその上へとステップアップしてオムニコープ社社長、偏った報道番組にしてももっとわかりやすいほうがスカッとするのに。
それと原作は報道番組が中立だったから全体として皮肉がすごく効いてたんだけど、同じことが出来ないにしてもだったら今的な意味での一番の悪として描いて欲しかったかも。支持者がいるかいないかわからない「アメリカ万歳」はあまりにも滑稽すぎるよ。

全体としてはスタイリッシュだし見た目はキレイだし、つまんなくはないけど真面目に作りすぎてる感じかなあ。
社長が黒がカッコいいといったから黒にしましたという見た目はどう見ても軍事用だし、どこらへんが市民に愛されるロボコップなんだというツッコミもないし、それで最後人間性を取り戻したからシルバーカラーになったっていっても、視覚的な説得力もストーリー描写としての裏付けがないからちょっと欠けるというね。
てことでとても残念な映画でした。アクションとか映像のギミック的なことはとてもカッコイイんだけど。
ロボコップを作ってるのが中国工場なのは、この映画が中国資本ってことなのかなあ。ノートン博士のアシスタントも名前は中国系っぽいし。
 
人の尻馬に乗るのはどうかと思うけど、オレの言いたいことがもっとちゃんと書いてあるお!