そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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思い出のマーニー

http://marnie.jp/index.html
監督:米林宏昌 脚本:丹羽圭子、米林宏昌安藤雅司 作画監督安藤雅司 原作:ジョーン・G・ロビンソン

 

これはこれでいい話だと思うんだけど、オレには可もなく不可もなく普通。つまらなくはないけど。
もともとジブリでも宮崎駿以外の作品、思い出ぽろぽろとか耳をすませばみたいな話は好きじゃないし、でもアリエッティよりはいいかな。
内容としてはそんなに万人受けする話でもない感じのファンタジーミステリーで、思春期少女向けで内容は悪くないけど、単に自分には刺さらなかった。
でもこういう繊細な思春期少女の物語が好きな人にはいいかもね。
通過儀礼の話でもなく自分探しは多少入ってるけど、基本は思春期のセンシティブで多感な少女の情緒不安定さの話だよね。邦画にはありがちな感じだけど実写映画なら見てない内容かもな。
オレこの年頃の頃は結構鈍感だったし、そういう気持ちはお話としてはわかるけど、杏奈に対して自分もあった、そういうのあったという共感が出来ないんだよなー。
だから原作通りなのかどうかはわかんないけど、お話としては悪くないけどキレイにまとまりすぎてて引っ掛かりがないし、本当にこういうものが好きな人なら杏奈は私なの!みたいに胸をぎゅうぎゅう締め付けられるくらい苦しくなるだろうけど、オレはそんなでもなかった。たぶん一般的な男性にも刺さらないと思うが。
でもその分ティーンにはいろいろ見やすいとは思うから、これもっと思春期少女にアピールするべきだと思うわあ。杏奈は12歳の中1だけど、こういうのを感じるのってたぶん中学生くらいまででの女子だよね。そこで感じる人はずっとそうだし、そうでない人はわからない心情というか。
以下ネタバレです。
 
 
 
オチというか真相は最初から思った通りだった。そして引っかけも捻りもなくそのままラストへ。
これキャッチコピーが「永久」であって「永遠」じゃないのがずっと気になってたんだけど、意味調べたら永遠って時間の概念だけど永久は時間を超える概念ってことらしいから血のつながり的な二人の関係って意味では永遠じゃなく永久でいいってことなのかなあ。
最初おばさんちに来た杏奈はシンジくん@エヴァみたいだなと思ったけど、そういう情緒不安定な繊細さで尖ってて、触るものみな傷つけた…って感じ。まさにギザギザハートの子守唄w 自分が嫌いっていう子の殆どは自意識過剰だよ…っていうと話が終わっちゃうし、わかっててもどうにもならないのが思春期だよね。(とか言ってみる)
一番よくわかんなかったのが、見逃したとも思えないんだけどこれなんで頼子さんは杏奈を引き取ったのかなあ?オレてっきり血縁か知り合いなんだと思ってたけど、あの雰囲気だと養護施設から引き取ったの?助成金が出るようなケースで?
それもあって、頼子さんの親戚のお家があの湿っ地屋敷のある町にあったのは偶然だったのかどうかちょっと気になってたのよね。最後までわかんなかったけど。
ミステリー部分の真相ってとこでは、杏奈の眼の色が青みがかってるってのとあの屋敷に見覚えがあってマーニーと合ったことがある気がするってとこで、マーニー周辺の時代性から考えても杏奈のお祖母ちゃんあたりかなあと。
まさにそのまんまだったんだけど、途中もう少し異界ファンタジーかなとも思ったんで、好みとしてはそこら辺もう少しそうじゃないように見せるか、マーニーと会ってるということ自体に意味が欲しかった気がする。まあ孫がそこに来たから発動した…でもいいんだけど。
そんでこれ、マーニーは杏奈の脳内幻想なのかと思ったら実際過去のマーニーの行動とシンクロしてるよね。追体験というか。
てことはマーニーは杏奈のことを認識はしてるけど実際たぶんあれはサイロのくだりを考えるに、杏奈=久子+和彦として追体験してるってことで、それを考えると細かいとこがちょっと気になるよ。マーニーと杏奈の気持ちの重さの違いというか。まあこれで杏奈が救われたのは確かなんだけど。
杏奈みたいに自分の殻に閉じこもってる感じ、貰いっ子なのを気にしてる云々はともかく、この真相を考えるに杏奈ってクオーターじゃん。いいなあ、クオーターカッケー!オレもなりたかった!…って子供のころは実感出来ないよねえ (^_^;) うらやま!
もうひとつ気になったのは、その貰いっ子だから悩んでるにしても自分の出自自体は気にしてなかったのかな。誰も教えてなかったの?両親がハーフでおばあちゃん白人だって。そこはいいのか杏奈。謎。
結局杏奈は全然不幸じゃないよなあ。自分で不幸だと思って閉じこもってるだけでコミュ障ってわけでもないし。(あといろいろタイミングが悪い人なのかもしれないw)
そしてマーニーが無事に結婚して家を出てというとこはちょっと意外な気がしたかな。てっきりもっと早いとこで死んでると思った。(お祖母ちゃんならある程度生きてて当然だけど)
もう少しマーニーの不幸さ、本人が言ってた以上の不幸さや孤独感は興味あるけど、そっちに話を割くと映画としてはバランス悪いか。
バランスってことではさやかみたいなキャラが出てきたのもちょっとびっくり。というかなんでさやかとは仲良くできたんだろう。それ考えるとあのデブ子さん(名前忘れた)との出会いが悪かったんではと…まあ趣味も合わなさそうだけど。
と書いてて気がついたけど、この話が刺さらなかったのはこういう少女の繊細さの物語だからじゃなくて、どうも全体に雰囲気優先で薄味だからなのかなあ。杏奈の心情を追いかけて描いてるようでそうでもないし、マーニーとのことはもっと幻想的にしてもいいと思うけどリアルと幻想が中途半端だし、何よりマーニーが誰なのかわりと早くに気がつくからそれが気になってしょうがないという。早めに伏線張りすぎなんだよね。
杏奈の中では現実に見えてたけど実際はそんなことなかったってのを徹底して(千と千尋のお迎えの街みたいに時間帯で変わるとか)、中盤以降で畳み掛けるように真相がわかってサイロで杏奈が重大な錯誤に気がつくとかいう展開ならもっと面白かったんじゃないだろか。
あとそれに絡んでマーニーと会ったあと杏奈が道端に倒れてる描写なんだけど、異世界に行ってたんならともかく脳内幻想を見てたのかなんなのかわかんないし、あれ普通に乱暴されて放置されて風にも見えてとてもヤバイと思う。なんでマーニーとの逢引をそんな曖昧な描写にしちゃったんだろう?
 
まあアリエッティよりは面白かったけど(アリエッティは語るほどの何かもなかった)、宮崎アニメじゃないジブリ映画の方向性がこういう感じだとやっぱりちょっときついよねえ。対象観客が狭すぎるというか。しかも可もなく不可もなくきれいにまとまりすぎてて幻想的でもないからアニメでやる意味もあまり感じないし。
あと冒頭の杏奈が大岩家にやってくる一連のシーン、絵も構図も一見宮崎駿っぽいテイストだけど画面が妙に窮屈で、杏奈の心情を表現として狙ってんじゃなきゃ(千と千尋の冒頭の車のシーンみたいに)せっかく都会から療養に来てる開放感もないし、画面が窮屈なせいで大岩夫妻に裏があるような印象も受けるというか。(そんなのなかったけど)
そこも大作感に欠ける理由なのかも。似たような背景でもポニョと比べて画面や構図に抜け感がないというか、やっぱり宮崎駿監督の「絵」はスゲエっていうかw
 
あとレズを期待して見に来てる女子がいたけど(レズというか百合だよな)まあそういう雰囲気はあるかw 本当に百合がブームなのか?特に女子に。
でも隣の席の若い女子が見終わって「いい知らせ」の意味が分からないってたけど、それはあまりにも読解力がなさすぎるかと(^_^;)
そういやモブキャラの声がTEAM NACSなのはなんでだろうと思ってたんだけど舞台が北海道だからか。