そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

エクソダス:神と王(IMAX3D)

http://www.foxmovies-jp.com/exodus/
監督:リドリー・スコット 脚本:スティーヴン・ザイリアン

 
なんかすげかった!
客の入りが悪そうだから最初にこれ張っとく。つまんなくはないよ。

旧約聖書の「出エジプト記」の話。一応なんとなくだけど、旧約聖書は日本でいうところの「古事記」、新約聖書は「日本書紀」というイメージを持ってたんだけど、どうかしら?(あくまでイメージ)
以下ネタバレです。
 
 
さすがはリドリー・スコット監督、いつも以上にリアリティがスゴいというかまるでタイムマシン使って撮影してきたかのようだったよ!欧米系の俳優使ってるのはわかってるけどそれでも見始めてあまりにもエジプトすぎて、登場人物が英語喋ってるのすら違和感。何だよ「サンキュー」って、とか思ったw(マジで)
映像がすごいのは当然?もう今どきのVFXは何がCGなのかって考えるだけ無駄よね。VFXはちろんスゴいんだけど、やっぱり使いどころというか演出が上手いんだと思う。海を渡るシーンの凄さよりもそこに至る状況のハラハラさ加減が効果的に描かれてるから、最後にドドーンと来るというか。
チャールトン・ヘストンユル・ブリンナーの「十戒」はたぶん子供の頃に見たかもしれないけどあんまり記憶に無いというか、たぶんイメージとしてもモーゼが奇跡を起こす映画としてしか認識してないし。それ考えると今回の映画はかなりリアリティがある感じ。
ただリアリティはあるけど、神の奇跡をまんまやるとこはある意味ファンタジー的。あと虫とかグロとか苦手な人は気をつけたほうがいいかも>災い

たぶん欧米的な教養として旧約聖書の「出エジプト記」を知ってること前提だからか、劇中で状況についての説明がまったくないのでエジプト人ヘブライ人もろもろの予備知識なしだとちょっときついかも。さすがにそこまで何も説明ないとは思わなかったんでオレもきつかった (>_<)
そういや「グラディエーター」はもう15年も前の作品だったのかーって感じ。あれは古代ローマ時代(西暦100年前後)だけど今回のこれは紀元前13世紀。街並みは未来的だし衣服も普通に豪華なのでエジプト文明スゴいなあとしか。日本だとバリバリ縄文時代の初期?ヨーロッパだと古代ケルトなファンタジー世界と蛮族な感じ?そう考えるとエジプトスゲエ。
当然だけどEXODUS=エジプト脱出の話なのでそれ前提っぽい。
モーゼの十戒映画というよりエクソダス。(EXODUSという言葉自体がヘブライ人のエジプト脱出のことを指すというのは、富野由悠季のへんてこアニメ「キングゲイナー」の周辺知識として知りましたw)
だからこの映画はモーゼとヘブライ人のエジプト脱出の話だけど、モーゼの十戒の話ではないっぽい。十戒の内容すら出てこなかった。しかも十戒は自分で刻んでた!
オレは出エジプト記と言うよりモーゼの十戒ということで話はなんとなくは知ってるけど、劇中のヘブライ人=ユダヤ人≒イスラエル人なのも日本人としてはわかりにくくて(ざっくりとした理解はしてる)、そもそもエジプト人の王宮の中でどうしてモーゼがヘブライ人だと分からなかったのかからしてわからないよ。人種同じ?俳優の顔見てても当然わかんないしなw(クリスチャン・ベールはイギリス人だし ジョエル・エドガートンはオーストラリア人みたいだし)
ただまあそこを除くと、モーゼもラムセス王もとても人間っぽくて、どちらにも共感はできるしなんとなく分かる感じ。荷物に剣を入れててくれてありがとうラムセス、みたいなw(そもそもあそこが追放のシーンだってわかりにくい)

全体にはリアリティがあるんだけど、だからこそモーゼが天啓を受けて神の声を聞き、同胞であるヘブライ人たちの開放を訴えるきっかけが山での事故(あの山ってあとで思うにシナイ山よねえ)で、その時頭を打ったから神との対話ができるようになった…とはいえ、それは他人から見れば頭のおかしい人が一人で喋ってるようにしか見えない、何らかの脳内妄想としての対話なのか…ってのも現代的解釈としてはありかなと思う。イスラム教徒は怒るかもしれないけど。
ただそのある意味妄想の対話で示唆された通りの災厄が起こるにいたっては、どの辺まで神の存在を信じるべきなのかというファンタジーギリギリ描写。どう見ても神の罰であり災厄にしか思えないのに「10の奇跡」ということに違和感はあるけど。あの王宮の科学者の人が言ってること正しいんじゃね?でもって河が赤いのは赤潮でしょ。血じゃねえよなw
でも天変地異はまだしも、子供たちの死を神から教わった通りのやり方でヘブライ人だけが逃れるとかはうっかりすると神を信じるよねえ。ヨシュアもモーゼが一人で喋ってるさまを見て神との対話だとか思ってるし。
そして有名な海を割るシーンはどう見ても津波前の引き潮描写。その前に隕石が落ちたっぽい描写があるからそれが原因?その辺はともかく旧約聖書に書かれている神の奇跡を自然現象として再現出来る理屈をつけてるところがすごいです。
説明長くなったけど、その辺思うに最初の方の全体のリアリティのお陰というか、リアリティがあるからこそその災厄が単なる神の怒りではなく自然現象として起こりえるかもと思わせるに足る説得力はあると思った。(そのせいか神の罰感が半端ねえ!映像的にも半端ねえ!)
今って日常でもいきなり真夏に雹が降ったり生き物が大量発生したりゲリラ豪雨とか暴風雪の大雪とかあるから、逆にありかもと思わせるというか。
それらの災厄が降りかかった理由からしてエジプトのラムセス王の奴隷労働が酷いって話で、つまり労働的にはブラック国家よねえ。(エジプト人に対してはどうかは描かれてないけど)ブラック国家はブラックすぎると神の罰がくだされるってことか。神の罰メッチャこわい!人智超えすぎだし、理屈じゃないって怖ろしいな。神超怖い(小並感)
そういう意味でもしかしたら災厄に見舞われるエジプトを今の自分らに重ねてみることもあるのかなあと思わざるを得ない部分もありました(苦笑)
最後にモーゼも今の中東紛争に繋がるような示唆的なこと言ってたしね。
なんかこうしてみるとますます日本人には文化リテラシー的にハードルが高い映画なのかもって気がしてきたw(オレもだよ)