http://www.tbs.co.jp/tenno_no_ryoriban/
脚本：森下佳子 演出：平川雄一朗 原作：杉森久英
なんか先週、俊子さんの死で盛り上がりすぎたんで今週はそうでもなかったなー。
なんとなくネットで良いドラマだった！的な意見はチラ見えしてたんでネタバレ踏まないようにと気をつけてたんだけどそうでもなかったというか。というかオレ、基本的にこういう駆け足の、時間すっ飛ばして言いたいことを言うための単エピだけ見せるってパターンは好きじゃないのですよ。
もちろん秋山篤蔵の人生をいちいち丁寧にやる必要はないし、長々とやっても言いたいことの焦点がぼけるってこともあるだろうからこれはこれでと思うけど、時間経過があっという間すぎて、その割に登場人物が老けメイクしてるわけでもないから、見ててかなり置いて行かれてる感じというか。
いつの間にかお父さんも死んじゃってるし、出さなかったお手紙でいまさらと言いつつ兄やんの死の間際の話を綴られても、それ何十年前の話？みたいな。20年以上前じゃなかったっけ。
地震から4年で俊子さんが死んで、さらに7年後の今週、たこ糸事件があまりにも唐突に始まったんで途中から録画されたのかと思っちゃったよ。なんでそんな構成にしたんだろ。しかも3回引っ張ってやっと最後に陛下のお言葉が聞けるって、ドラマというよりなんとなくバラエティの引っ張り手法で見せられた気分。いやそこで描かれてることはいい話なんだけど、なんかなー
あとオレ、天皇陛下に敬意はあるけど興味はないので、篤蔵が思うほど陛下に対して思い入れもないんだよね…
陛下がメザシ一匹で我慢してるのに軍には食料が有り余ってることに篤蔵が怒りをぶちまけるのもそれっきり、あとで何か伏線になるのかと思っちゃったよ。戦時中の実際の天皇の扱いってこと？
天皇陛下バンザーイを叫んで突撃してくる日本人をあのGHQの若い将校は恐れてたから日本人や篤蔵に対して攻撃的だったんだと思うけど、篤蔵たちがバカにされた話をギャグにして和んで終わってそれっきりだし。何だったんだ？だったら将校の悪夢とか見せる必要もないような。
宇佐美さんが言う「陛下は味噌のようなもの」で、ある日突然なくなれば暴動を起こすだろうというのはわかるし、むしろそれこそがGHQの考え方を変えさせたのかもしれないけど、篤蔵の陛下に対する気持ちとは違う気がするし、最後は当時の日本国民の陛下に対する気持ちやどう思っているのかを通じて天皇を讃えよ…という啓蒙みたいな気がしなくもなく。もちろん当時の篤蔵たちにとって天皇に仕えることは周りに誇れる素晴らしい仕事だというのはわかるんだけど。
篤蔵の真心は料理をつくることで陛下を守ること、そのためには癇癪を起こさず、料理番なのに小間使いみたいなことまでやってGHQに取り入ったことは結局なんだったのか。
篤蔵のから回ってる気持ちとかやりたいことを、馬鹿にされても癇癪を起こさず喧嘩をせずにそれをさせえたのは妻の愛（でありそれを守るのは篤蔵の心だと思うけど）だというのはわかるんだけど、すごく誤魔化された感じ。まあ12話で篤蔵の人生全部は見せられないだろうけど。
ただまあ篤蔵が陛下の健康に対して食事という面で責任がありお守りしなければという気持ちを吐くところは泣けたし、篤蔵の気持ちはわかったけど、どちらかというとむしろ佐藤健の演技としてなんか感動したというか。
ストーリーとしてはとにかく散漫でバラバラな印象、駆け足すぎてあまりおもしろいとは感じなかったけど、番組としてキャストの皆さんの過剰すぎる役への思い入れはとても面白かったし、役者さんたちの演技の本気さ度合いはとても見応えあって良かった。それだけというかそれに尽きるドラマだったかなあ。
俊子さんの鈴のエピソードはwiki見るに本当らしいけど、GHQに対してのああいう何でも屋みたいなのも本当のことなのかしら。
戦中戦後と、皆が日本と自分たちのこれからを考えていた時にもただひたすら天皇陛下のことをだけ考える、それこそが篤蔵の真心であり愛だったと。不器用だからこそ一途だった、それゆえに人に愛されチャンスをもらっておお仕事を全うした…というのはなんとなくタケるんの仕事っぷりにも通ずる何かがある感じ。だからこそタケるんがこの役にキャスティングされたのかしらね。タケるんも華ちゃんも兄やんも他のみんなも素晴らしかった！こんな本気演技が見れただけでもありがたいことです。
あとなんとなくこのドラマが大河ドラマな気がしてしょうがなかったんだけど、NHKもこういう近代の人物の一代記を追いかけるようなドラマをやればいいのにねと。天皇がらみだから見当外れの批判とか出てきそうだけど（^_^;）
まあやたら本気度が高かったということでは抜きん出てたと思うわ。良いドラマだった。
