http://www.tbs.co.jp/never-let-me-go/
脚本：森下佳子 演出：山本剛義 原作：カズオ・イシグロ
キャストがやっと大人になったよ。見る気まんまん！ｗ
恭子＠綾瀬はるかのいやな感じに明るい前向きさと諦め通り越した怖さとか、美和＠水川あさみの勝ち気で自己中心的だけど空っぽな傲慢さ、友彦＠三浦春馬の微妙に頭悪くて押しが弱くて鈍臭そうなところとか素晴らしいですね。特に春馬は本当になんか最初からそういう人みたいだよ。相変わらずスゲえね、春馬。
たださ、このドラマ自体は楽しめるしストーリーも面白いんだけど、どうしてもこの設定に入り込めません。
やってることはそもそもSFで「アイランド」でも、こういうわかりやすく残酷な設定じゃないと人間の業や個人の尊厳と生き方を描く文学にはならないってのは分かるけど、説得力的に無理ゲーすぎる。この学苑がなんでこういう設定（運営システム）なのかまったく理解できんのです。
だってどう考えても男女別居住区＆完全管理、仕事は与えるけど搾取はするという「アイランド」なやり方でいいじゃんよ。臓器提供用のクローンなのに勝手に恋愛とかしていいの？ドラマに原作のクローン設定が生きてるかどうか分かんないけど、たまたま脱走した子を子供用の提供に回すのはいいけどその子の臓器を必要とするはずのルーツ（クローン元）がいるわけよね？また一からクローン作るの？
あと太った子とかいるけど、太ること自体身体的にいいと思えないのでそれってルーツが太ってたからってこと？だって臓器が目当てなら太ってないほうが健康でいいじゃんよ。
そしてあんなことがあったのに龍子先生はそのままだったの？ えー？( ﾟДﾟ) なんで辞めさせないのかなあ？それで結局心を病んで、しかも生徒に悪影響って意味がわからない。10年も経ってないのにすごい老け込みっぷりが怖いよ。校長先生も相変わらず怖すぎるし。ヒステリー？
あと他の先生たちも普通に外から通いって秘密保持とかどうなってるのかなあって思った。それいいんだ？
ただまあこの学苑の事業に多額の補助金が出てるってことと、そういう施設だと知って募集に応じる教師がいるってこと、他の先生は倫理的にこの仕事内容自体は特に問題にしてない（良心の呵責は別の話）ってこと考えると、外の世界ではこれは合法ってことなのかな。やっぱ近未来？
陽光学苑を生徒たちが卒業して社会に適応する訓練とか、実際に外でコミュニティを作って暮らして提供者になる前に介護人として働く、そしてある程度の社会の中での自由があるってのはそういう存在が認められてる社会ってことよね。
それはともかくとしてだけど、だから余計になんでこの学苑ってこういうシステムなんだろうとしか。そこが論理的じゃないからなんか納得出来ないのよね。外で生活する必要あるの？介護人は介護人として提供者と隔離したところで生活すればいいんじゃね？まったく納得出来ない。介護人がいずれ提供者になるっていうのは合理的な自給自足システムだと思うけど。あとそういう施設にしても年齢的に同年齢で固まりすぎてる気が。工場みたいね。
でもまあそれとは別に、とにかくドラマとしては見逃せないです。大人になって卒業するってことで介護人と提供者ということから逃れられない彼らの残酷な運命を思うと悲しくなるね。
その上でどう考えても恭子・友彦・美和の三角関係は歪んでて、普通ならこの先は破滅しか考えられないんだけど、破滅も何も彼らは生きる権利すらなく死ぬべき運命しかない、しかもその事情も知らされてどうなるのかも分かってることの残酷さときたら。犠牲になることの達成感も無くただ部品として搾取され死ぬための命ってなんなんだろうね。
どうでもいいけど、美和に10年近く迫られててフラッともしない次郎先生ってスゲェな。好みじゃなくたって普通ちょっとその気にならないか？友彦が美和に言い寄られて操られてるってのはそれはそれでリアルな気がするけど。
