そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

パッセンジャー

http://www.passenger-movie.jp/(サイトの読み込みマークがモールス信号のSOSだ!細かい)
監督:モルテン・ティルドゥム 脚本:ジョン・スパイツ

 

ハンガー・ゲーム」「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンスと「ジュラシック・ワールド」のクリス・プラットが主演を務め、宇宙船内で極限状態に置かれた男女の愛と運命を描いたSF大作。
20XX年、乗客5000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、新たなる居住地を目指して地球を旅立ち、目的地の惑星に到着するまでの120年の間、乗客たちは冬眠装置で眠り続けていた。しかし、エンジニアのジムと作家のオーロラだけが予定よりも90年近く早く目覚めてしまう。絶望的で孤独な状況下で生き残る方法を模索するうちに、2人は惹かれ合っていくのだが……。
イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のモルテン・ティルドゥム監督がメガホンをとり、「プロメテウス」のジョン・スパイツが脚本を手がけた。(「映画.com」より)

 
クリプラなので観に行くつもりはあったのになんとなく評判がいまいちなのでパスしようかと思っていたところに、昨日ライムスター宇多丸さんのシネマハスラー聞いたらネタバレしないうちに観ないと!と思ったのでさくっと見てきました。(前振り長い)
前情報はなしだけど、そんなわけで多少宇多丸さんの見方や情報に引っ張られてるとこはあるかも。でもちゃんと面白かったし楽しかったしハラハラしたよ。
ストーリーはSFとしてはわりとありがちといえばありそうな話なのは確かだけど、ながらくザ・ブラックリスト(未製作の優秀脚本リスト)にあってた脚本らしく出来はとてもいい…んだけど、ありそうすぎてキャストや監督の見せ方次第で傑作にもクソにもなるような映画だとは思ったな。
そしていろいろすっ飛ばしてこういう話をロマンチックだと思える人なら全然オッケー 。オレはオッケー。
宇多丸さんの裏話によるとかなり映画としてのバランスをいじりつつ追加撮影などをしたらしいので、たぶんこれがベストなんだろうな。逆に引っかかりがないからご都合っぽく見えるし、凄いことが起きてるわりにエモい話で落としにきてるからインパクトは思ったより薄いけど、見終わっていろいろ考えることが出来る話なのでデートムービーにはいいかもね。
とりあえずクリス・プラットがカワイイだけでも十分だし、全然間違ってないと思う映画でした(笑)
もちろんジェニファー・ローレンスも美しいよ。あの人ちょっと奥二重な目の感じが吉高由里子っぽいと思った。かわいい。
バーテンのアーサーもいいキャラだったな。あの「秘密」のくだりが悔やまれる。ジムは潔かったけど。
それとどうでもいいけど、こないだレゴバットマン見たばっかだからジムの孤独な生活の下りがちょっと笑えてしまって…すんませんw
 
そしてアカデミー美術賞でノミネートされただけあって船内の作りはすごいんだけど、なんだか普通に巨大なショッピングモールを見てるようでイマイチすごい美術だなあとは実感できなかったことをご報告します。逆に言えばとても現実的でリアリティ溢れてるってことなんだろうけどw
宇宙船のデザインもカッコ良すぎて (*´Д`)ハァハァするし、船内の程よいレトロフューチャー感とアールデコ、白っぽいマットさはシンプル北欧テイストって感じでひたすらオシャレでした。宇宙が見えるプールステキすぎる!
以下とてもネタバレしつつ、結構クライマックスに関わる感想なので、直近で観るつもりのある人はこの先は読まないほうがいいかも。
いやこんだけ長々と書いてるってことはオレこの映画たぶん結構好きなんだよw
 
 
 
サスペンス風味のところはあるけど、それもネタバレとかそういう レベルの話じゃなく、普通に予告編を見て想像した通りの展開のストーリーだったんですが。え、普通あの予告編見たらこの展開を想像しない?するよね。その通りになるよ。あのラストもそうじゃなかったら怒るよってくらいw
SFロマンチックサスペンスで状況的には結構なホラーだって言われてるけど、これオレは何が一番怖いって、システムに何か不測の事態があった時でもただの乗客は船の権限にまったくアクセスできないってことだと思ったね。
宇宙船にはバリアはあるけど最初になんであの隕石避けないの?って思ったし、何にでもつっこんで行くなよ回避しろよって普通思うよねえ。あと恒星での重力ターンのときも何かあったらどうすんだろうとすごい心配したよ。だから普通に考えても人間のクルーいないとまずいよ?もしかして経費節約のため?
普通この手の話だとなんだかんだで主人公たちが船を操船して危機を乗り切るみたいなとこがあるけど、そもそもそのブリッジにも機関室にも入れないからエラーメッセージ出ててもわからないし、しかも一番安い枠の乗船だと飯も最下級の非常食みたいなものしか食べられないとか、そんな状態で生きろって絶望しかないよ。
おまけにコンピューターもお決まりの顧客サービス対応しかしない上に、本社に問い合わせても返事くるのが50年以上かかるってアホかと。(システムが)その頃本社があればだけどさ。
そう考えるとこの冷凍睡眠ピープルだけで植民地に向かう旅って非合理的すぎる。ちゃんとした人間の管理者を乗せとけよって普通に思うよ。あと船内冷凍睡眠装置もな。
マジそれに尽きる話だった。

というか、前半の話のキモは一人だけ早く目覚めたジムが自分好みの女性を同じ地獄に道連れにすることの是非なんだけど、オレだったらとりあえず何人か蘇らせて相談するな。管理権限のあるクルーがいればなおよしw(前半そんなことばっか考えてた)
目覚めたのは理由があるっていう予告編のキャッチコピーも、いやそりゃそうだろうとしか。もっっと運命的なことやシステム的なことを言ってるのかと思ったら因果関係としては普通にありがちなことだったというw
あとこれ、最初にジムが目覚めたから好みの女性を…という展開でそれが昔風のマッチョイズムにも見えるんだけど、逆だったらどうなってたかなあとかも考えるよね。技術屋で単純で情緒的な(クリプラだと余計にそういうキャラに思えるし)ジムだからこうなったけど、作家で論理的で日課を淡々とこなせるような規律正しいオーロラならどうだったか。もっと普通に女性的価値観を持った女性なら?もっとクソな男なら?

確かにまっとうな意見としては、ジムが孤独に耐えられず他人を道連れにするのは、この状況ではオーロラが言うように他人の人生を奪う、殺人にも等しいことだと思う。ジムが味わった絶望よりも、ちょっとでも愛しかけてる相手がその道連れに自分を選んだと分かったときの絶望のほうが深いと思うし、ジムのやったことは人としては最悪なことだと思う。でも自分がやらないかといったらあんま自信ないかも。
1年の孤独のあとに1年の蜜月があり…一応そこはネタバレにしとくけど、さらなる宇宙船のトラブルがわかったときにはあの状況だったのって、それジムとオーロラが楽しくイチャついてる間に宇宙船のエンジンは文字通り火の車だったってことだよね。
知らないって恐ろしいな…と思ったけど、これよく考えたら別にこのシュチエーションでなくてもありそうだし、実際の日常生活もあんなもんかも知れないよなあってとこがとても示唆的。宇宙船が今にも爆発するかもしれないのに、眠ったままの何も知らない乗客たち。リアル世界の話に置き換えるといわゆる宇宙船地球号って意味でも。
パッセンジャーは宇宙船の乗客って意味だけど、劇中でオーロラが言ってたように人の人生も運命という乗り物の乗客のようなものというのは言い得て妙というか、この新天地を求める旅でのトラブルで出会わないはずの二人が出会い、不幸の中で幸せを感じられる運命に乗り合わせてしまったんだよな。(オーロラは選ばれてしまったんだけどそれも運命かと)
そういうことも考えられるこの映画の脚本はそこまで悪くないと思ったり。

宇宙船の危機が明らかになるクライマックス以降は結構ハラハラドキドキするけど、シリアスな状況でも弱みや賢さがあってチャーミングに見えるガテン系のジムがクリス・プラットだということも含め、常に何かしら蜘蛛の糸のような安全ロープがあるから(映画見ればわかるそのまんまな比喩表現)、いろいろ最悪に思えても気持ち的には大分安心して観られるのかもw いやオーロラがマジギレしたときはこの先二人はどうなるんだってガチ心配したけどw
いろんなパターンのラストは想像したけど、オレはあのハッピーエンドなラストをあえて見せて安心させてくれたのは良かったと思う。グランドコンコースの様子やもともとジムが技術屋でいろいろ創意工夫が出来ることといい、二人の暮らしぶりが想像できるとこが。
おとぎ話的ではあるんだけど、見終わってちょっとぐっときたなあ。まああまり細かいとこにツッコんではダメかもw