そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ハドソン川の奇跡

http://wwws.warnerbros.co.jp/hudson-kiseki/
監督:クリント・イーストウッド 脚本:トッド・コマーニキ

名匠クリント・イーストウッド監督がトム・ハンクスを主演に迎え、2009年のアメリカ・ニューヨークで起こり、奇跡的な生還劇として世界に広く報道された航空機事故を、当事者であるチェズレイ・サレンバーガー機長の手記「機長、究極の決断 『ハドソン川』の奇跡」をもとに映画化。
09年1月15日、乗客乗員155人を乗せた航空機がマンハッタンの上空850メートルでコントロールを失う。機長のチェズレイ・“サリー”・サレンバーガーは必死に機体を制御し、ハドソン川に着水させることに成功。その後も浸水する機体から乗客の誘導を指揮し、全員が事故から生還する。サリー機長は一躍、国民的英雄として称賛されるが、その判断が正しかったのか、国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われる。(「映画.com」より)

 
原題は「Sully」ってことですが、これはトム・ハンクス演じる機長の相性で町の人達にもそう呼ばれてるくらいメジャーな単語だけど、ぶっちゃけ邦題のハドソン川の奇跡のほうがわかりやすいような。内容見たらそれがベストだとも思わないけど。(ちょうど前日に正月の親戚の集まりで、アメリカの映画やドラマは人名をタイトルにすることが多くてなんでだろうねという話をしていたところなので、これもか!って思ったw)
これはたまたま今日スタチャンでやってたから見てしまった。(ちょうどそういう時期だからか今月はWOWOWでもやってます)
事故自体は2009年1月15日で映画は2016年の公開。日本でも話題になったあの事故からもう9年も経ったのかと思うと時の流れは早すぎる。
公開当時に見にはいかなかったけど、飛行機不時着と救出劇の奇跡を描いたものじゃなく、その後罪に問われた機長の審問の話だってのは知ってた。観に行かなかったのはイーストウッド映画だったから。(そんなに好きではない)
思ってたよりは面白かったけど、やっぱしイーストウッドの映画なのでとても地味で起伏がなかったなあ。面白かったのは、あの奇跡の救出のあとにそんな話があったのかって意味で。たぶん世界仰天ニュースの再現映像でも同じくらい面白く見られる自信はあるw
wikiで確認したけど実際にエアバスを買って撮影したり、状況をリアルに再現してあるのはとてもわかるし審問中の機長のフラッシュバック的な回想で実際の事件を再現していくという構成は面白かったけど、でもこれ映画としてはもうちょっと盛り上がってもいい話だと思うな。
最後に公聴会で結論が覆るところが一番面白いはずなのに、なんか全体にダラダラしてていまひとつ盛り上がやに欠けるような。ストーリーを理解できない人の頭が悪いのかそれとも単に説明不足なのかと言われたらどっちもありそうなので難しいところだけど、少なくともエンタメ寄りにしなくてももう少しわかりやすい映画には出来ると思うんだよね。
そもそもこの映画の時間軸、たぶん事故直後からホテルに軟禁状態?で国家運輸安全委員会の判断待ちという機長の立場がわからないし、細かいところで言うと不時着水したのに死傷者ゼロという奇跡はいいけど、その川に着水することのリスクが何も説明されてないから(あの若い管制官の悲観的予想くらい)どの程度の奇跡なのか説明は欲しい。地面や構造物にぶつかれば爆発炎上するのは当然としても、たぶん冬の川に着水したってコンクリート並みの衝撃があるからあの管制官は絶望的だと思って情緒不安定になったんだよね?
それを真っ直ぐ水平に川に着水させた機長(あのイントレピッドの辺りのよくわからない回想シーンを見るに空軍上がり)の操縦技術の確かさと素晴らしさが〈奇跡〉なのと、ほんの30分足らずの間にあっという間に周りの人が乗客を助け出して全員無事だったのが奇跡&心温まる感動ストーリーのはずなんだが。イントレピッドはハドソン川にある引退した空母を使った海上航空宇宙博物館のことね。戦闘機とか展示してあるのだ(オレは行ったので知ってる)
あと公聴会でのシミュレーションの人的要因が35秒で短すぎるって辺りも説明必要だよね。実際はバードストライクから208秒しかなかったって副操縦士が言ってたけどそれ自体の状況説明もないし、wiki確認したら実際は判断するまで1分以上あったわけだし、その時間があればより高度が落ちるからそれを考慮してないシュミレーションと違ってうまくいかないだろうという予測がひらめいたからってのは説明必要だろと思うわけですよ。ドキュメンタリーよりじゃなくてもその辺、なんとなくの雰囲気で流さないで欲しいなあと。
でも副操縦士アーロン・エッカートがあの公聴会でそれ見たことか…みたいに髭の下でニヤつくのは面白かったw
しかもそこがこの映画のキモなので、それがわかってるのとそうじゃないのではそこのカタルシスが違うと思うのよ。
こういう知られざる真実がありましたってのはいいけど、コレってどれだけ広く知られてる話なんだろ。日本で言うところの世界仰天で初めて紹介されるくらいの話なの?
まあそういう意味でも全体に同じトーンで流していくイーストウッド演出の抑揚のなさ、人間ドラマでむやみに感動させたいわけじゃないにしても、無駄に盛り上げる必要はないけどこの話なら最後はスカッとはさせてほしいわけですよ。
あと街の人には英雄だと思われてるけど、実際はこれで過去の仕事と積み上げてきたことすべてを失うかもしれないと思ってる機長のストレスや不安は考えればわかるけど画面上にあまり見えてこなかったなあという感じ。
ところで機体が沈みそうな時に、爆発するわけでも火が出てるわけでもないのに焦って冬の川に飛び込んでしまう人々はもう少し落ち着けと思うんだけどどうなのか。助かったからいいようなものですが、奇跡の救出的な意味では川で凍死しなくてよかったよほんとに。