そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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アンナチュラル#10(終)

http://www.tbs.co.jp/unnatural2018/
脚本:野木亜紀子 演出:塚原あゆ子
 
よく出来てはいるけど、最後までオレにとってはあーはいはいなるほど〜というドラマでした。
もちろんつまらなくはないんだけど、こういうドラマを見たかったわけじゃあないって意味でちょっとガッカリ。
結局〈キャラ〉と〈思い〉しかなくて、もちろんその前に〈物語〉があるという前提なんだろうけどオレが見たいのは思いではなくまずキャラと物語であって、その上でそのキャラの思いを見せてもらえることがドラマを見るということなので、こういう共感ベースのドラマ作り、それを埋めるように作り込まれたスキのないストーリー構成とあえて張り巡らせた伏線ってのは堅苦しくていけねえや(突然の江戸っ子)
だってもう伏線ありき、というかその伏線もいかにもで置いてあるからあんまり上手くないんだけど、もうちょっとこう「これは伏線でした」じゃなく、伏線からの〈展開〉がほしいのよ。
このドラマって話の内容は詰め込んでるけど、考える余裕がないまま余白なしでギュウギュウに詰め込んでるからすごく消化不良の大食い大会みたいなのよね。濃い目のものはもう少し自分のペースで食べたいですよ。
基本が共感ベースであのキャスティング配置だからネットの(オレの観測範囲内での)オタク層が引っかかるのはとても良くわかるんだけど、そういうのがわかるのもなんかヤダw

んで本編の話をすると、明らかにABC連続殺人の犯人である郄瀬が否認してるにしても、これもし罪を認めてもそれだけの殺人を犯してそれを笑顔で否認できる精神状態ってことで普通に弁護士が精神鑑定を要求して精神耗弱状態で無罪に持ち込みそうな案件じゃあないですか。ミコトたちはあくまで法医学的鑑定として勝ってるけど、ぶっちゃけそれ以降の「事件としては」彼女が言うとおり「関係ない」「興味ない」分野に属しちゃうんで、その辺すっぱり切り捨ててるのも(刑事が出てくる以上)ちょっと微妙だし。いやまあミコトたちUDIの仕事としては関係ないからいいんだけどさ。
あとフリー記者の宍戸があまりにもゲス記者すぎて、そこは突っ込まないとダメなんじゃないのかと思わんでもないんだけどまあ記号キャラでいいや。そもそもあんな本を出したいような人だったのかもよくわかんなかったし。
彼の記者としての目ざすトコロは何だったんだろう?本を一発当ててジャーナリストとして有名になること?真実を知ること?犯人に対する興味本位?彼の出した本、普通に考えて犯罪者なので発売停止で回収になると思うんだけど、末次の出した本と「あわせて読みたい」なオススメ出てきそうだよねw
あとこのドラマって、基本的にUDIのお仕事、ミコトたちのやってることの意義って「不自然死は許さない」なので、根本にあるのは日本の法医学解剖のお寒い状況なんで、問題提起としてはちょっとくらいは切り込んで欲しかったんだけど、結局ウォーキングするデッドのいない国だからというオチはあんまり納得できないなー。
この話、中堂さんの恋人の事件解決の顛末として土葬の国に産められてたから鑑定できました…じゃなく、日本では明らかに不自然であっても事件性がない場合、遺族の意向で解剖を拒否する人がほとんどであるってのがポイントなんじゃね?そんな後出しジャンケンで実は帰国子女でしたとか言われても。それこそ伏線ないです。画力が微妙な美大生にしては気が強いしあんまり美大生っぽくないなあとは思ったけど。(べつにすべての美大生がオタクかエキセントリックな自意識過剰アーティスト気質だと思ってるわけじゃないけどさ)
不自然死を失くすってことには法医学的解剖が必須という、そういう火葬の国ならではの一般人の意識を変えるということもあるんじゃないかなあ。
まあそういうとこすっとばして中堂さんの思いから発した原因究明の執念と、親からの虐待(ミコトの心中事件含む)というなぜそこに至ったのかという理由を「命に対する思い」でごちゃまぜにした共感の物語にしたというのはあまり好みじゃないなあーというところです。
そういう〈物語〉が嫌いなのではなく、〈思い〉だけで進む話にあまり乗れないというか、基本共感で釣るようなドラマが好きじゃないからですね。
もちろんもっとよく出来たお話ならもうちょっとストーリー自体を上手くやれたと思うけど、このドラマはそこをキャラものとして作ってるってのもね。
たぶんストーリーに関わるスタッフがいろいろ気を使って物語構築してると思うんだけど、逆にいろんな人の意見や目配せが入りすぎて散漫になってるのを〈共感〉というワードの〈思い〉だけで無理やりまとめてるのが好みじゃないというだけの話なので。
そう言えば木林さん、彼は何だったんだろう。最後のアレはどう見ても中堂さんから頼まれたヤバイ仕事をさくっとこなしてそのままお金貰って海外に高飛び予定…っぽいんですけどw
まあ葬儀屋の妖精だという噂もあるんでそれならそれでとは思うし、実は〈木林〉というのも偽名で実は〈森〉だったとか、そんなオチでもいいようなw
最後は結局いつの間にか坂本さんが戻ってきて、久部くんはまた新たにバイトとして雇われ、1話と同じ状態のUDIのメンバーに戻りましたっての、いや、だから?というか根拠なくいつもの(というかこのドラマにおいての初期状態)に戻ったってのも、単にファンサービスだよなというだけの感想で、少なくとも中堂さんの事件が解決した分前に進んだんだろうけど、変わってないってのは別にいいことでもないような気はするよ。
まあとにかくオレは主人公の物語が特に描かれないドラマには入り込めないっぽいので、後半は中堂さんの話でもいいけどもうちょっと前半でその伏線を張りつつ、今回自体はミコトの話として見てみたかったです。(救命病棟24時のシーズン1のような)