そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

空飛ぶタイヤ

http://soratobu-movie.jp/
監督:本木克英 脚本:林民夫 原作:池井戸潤

テレビドラマ化もされた池井戸潤の同名ベストセラー小説を、長瀬智也主演で新たに映画化。
ある日トラックの事故により、1人の主婦が亡くなった。事故を起こした運送会社社長、赤松徳郎が警察から聞かされたのは、走行中のトラックからタイヤが突然外れたという耳を疑う事実だった。整備不良を疑われ、世間からもバッシングを受ける中、トラックの構造自体の欠陥に気づいた赤松は、製造元であるホープ自動車に再調査を要求する。しかし、なかなか調査が進展を見せないことに苛立った赤松は、自ら調査を開始。そこで赤松は大企業によるリコール隠しの現実を知ることとなる。
長瀬が主人公の赤松役を演じる。監督は「超高速!参勤交代」シリーズの本木克英。(「映画.com」より)

 
池井戸潤の原作はリコール隠しとそれに伴う「横浜母子3人死傷事故」の方が元ネタなんですね。確かに当時、あの事件は相当衝撃的だった。
映画自体は良くも悪くも普通。見てる間、ぶっちゃけただの運送会社社長として長瀬はカッコよすぎだろ…という感想しか出ないですよ。しかも奥さんが深キョンてどんなファンタジーだ。TBSの日曜劇場か金曜ドラマなら許せるかもってくらいのリアリティレベルw
そして要所要所にイケメンが。いやイケメンはいいんだけど、誰も彼もイケメンすぎてどの程度のリアリティで観ればいいのかとても戸惑ったよ。
大体からして今言ったように街の運送会社の二代目社長が長瀬でその奥さんが深田恭子っていう時点でありえんとしか思えないように見えるのがまずいんですかね?高橋一生小池栄子ならまああるかもって思えるんだけど、ディーンも役柄的にクリーンでもダーティでもないから雰囲気的にはもう少し深みがほしいところ。
 
ネタバレもなにもない話なのでそのまま感想書くけど、とにかくすごく面白いところもない代わりにすごくダメなところもない。
原作知らないからあれだけど、監督が「超高速!参勤交代」の人、脚本は林民夫さんで、何が起こってるのかはとてもわかりやすくて、うまく脚本を端折ってるから必要な情報は入ってくるし。(ムロツヨシとディーンの関係や彼らの家庭事情をあのワンシーンの会話だけで理解させるとかすごく上手いのに)
その上で淡々と話を積み上げていって最後にちゃんと問題解決のカタルシスもそこそこあるという、良くも悪くも真面目でわかりやすい、邦画っぽい映画だけど、つまらなくはないのでこれはOK。
ただなんというか、リアリティがないなあと思ったのは、あえてなのかどうかわかんないけどこれ起こった出来事を追っていくわりに日付表記がないからなんとなく絵空事っぽくて。赤松の戦いをドキュメンタリー風にしてくれれば緊張感も出るし、もっとみんなが一丸となってこの財閥系巨大企業に戦いを挑む、巨像と蟻の蟻たちのような挑戦に思えたのにと。なんかなんとな〜くで解決してんだよね。
しかもこの話自体、それぞれの人間がそれぞれの場所で正しいことをやった結果、大企業の不正を暴いた…という話だけど、そこに関連性があるわけでもなく赤松(長瀬智也)の運送組、沢田(ディーン・フジオカ)のホープ自動車内部組、井崎(高橋一生)の銀行組、高畑刑事(寺脇康文)たち警察組のみんながバラバラに動いてて、一応週刊誌記者の榎本(小池栄子)は情報提供や取材自体はしてるけど彼らを結びつけもせず…だから、なんとなく運が良かったからホープ自動車の不正を暴桁みたいな感じにも取れるし。なぜそこで決定的証拠があった!内部告発があった!警察が動いた!銀行は金貸さない!で盛り上がらないのかなあ。
暴いたあとも、小説ならそれぞれ協力や尽力した人たちがそれぞれに喜び戦いが終わった…でもいいんだけど、映画だからもうちょっと違う見せ方してほしかったかも。原作がどうなのかは知らないし、小説なら全然いいと思う、これで。「クライマーズ・ハイ」とか見てないんだけどどうなんだろう?みんながつながっててわー!って感じのとこほしいよねえ?
まあラストで赤松と沢田がそれぞれちょっとだけ理解してあそこで別れるってのはいいけど、沢田途中で降りたじゃん?赤松と共闘するでもなく(立場的なものはともかく)一度降りたけど自分の処遇に不満だから内部告発しましたって感じなの、キャラとしてどうよっていうか、それすごい気になるんだよね。
まあみんなが巨大企業に泣き寝入りしたのに赤松だけが諦めず、なんとか真相を探ろうとしたその理由がなんの落ち度のない人がひとり死んでるから、突然家族を奪われ残された家族の気持ちに寄り添いたいという真摯な気持ちがあるから諦められなかった…っていうのを最後まで通したのは良かったと思う。
ただオレとしてはなんか座りが悪くて気になるのは、カッコ良すぎるとはいえそういう役柄として長瀬はぴったりなんだけど、キャスティング全体としては長瀬や深キョン、ディーン、高橋一生ムロツヨシ中村蒼小池栄子佐々木蔵之介、亡くなった主婦が谷村美月だったり、出てくる人がほぼドラマや映画で脇じゃなくレギュラーレベルのモブから浮くような人たちばかりで、パッと見で重要人物ってわかりやすすぎて目がスルーできないから気になってしょうがなかったし、それ以上に「絵柄の違う人たちの集まり」って感じで、ビジュアル的なまとまりもないと思う。
一人の監督が集めたキャストって気がしないんだよね。また悪役側は地味めな人ばかりだし。いろいろ大人の事情はあったんだろうけど、映画はキャストの雰囲気はある程度統一してほしいかな。