そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

僕らは奇跡でできている#7

https://www.ktv.jp/bokura/index.html
脚本:橋部敦子 監督:坂本栄隆
 
途中もちょこちょこ泣けてたけど最後の一樹の話でボロ泣き。さらに虹一くんのママのいいところ、育美のいいところを100個知ってる〜でまただだ泣き。だって勝手に涙がでてくるんだ!やっぱりこのドラマがオレ的には今期一番だわー。
このドラマって一樹や虹一くんみたいな生きづらさを感じる発達障害っぽい人たちのことを発達障害と言わずに肯定する話だと思ってたけど、違ってた。だってどういう個性を持ってようが、みんなそれぞれに生きづらいんだよね。
育美先生や一樹の講義の生徒たち、な納得するまで一樹に離婚理由を聞かれてた樫野木准教授、虹一くんが変わってることで勝手に世間に気を使ってしまう引け目を感じてしまう涼子さん。生きづらさは誰にでもあるんだから周りの人間が(その対応含めて)どう気が付いて、どうやってそういうことを肯定していけるのか…ということをすごく説得力ある描写で丁寧に描いてるのがとてもよかった
人と違うことは個性なんだというのは簡単だけど、それに本人や周囲がどう対応するか、居場所はあるのかどう作るのか、どうやって周囲の無理解と折り合って行くのかなどなど、そういう困難を乗り越えるための強さって結局自分観察ってことなのかなあ。
そう考えると一樹のやってることが動物行動学だってとこが最初からポイントだったってことなのかしら。わかりやすく語るわけでもないけどわかりやすく見せてくれてるから、ドラマ内のすべてのことにちゃんと意味があるんだなあと、あとからじわじわ分かってくるんだよね。コンニャクだってリスの橋だって、育美先生が歯医者さんってのも絶妙な設定。
ドラマの作劇テクとして、伏線というより示唆程度のエピソードや周囲の変化を少しずつ描いてるから押し付けがましくないし、今回は演出もさりげなく神ってた。
虹一くんのお母さんの涼子さんと一樹が話してるのに育美の顔を抜くショットがたくさんあって、一樹は育美に話してるわけじゃないのに育美に話してる風に見える演出すごい。育美みたいなタイプは素直に人の助言を聞けないから…というのがあったからこその、あの気づき描写なのかなあと。
育美や涼子さんのいうことはもちろんわかるし、できないことを努力してできるようにしようとするのは人間の向上心として当たり前だけど、その当たり前が当たり前にできる人たちはできないことに気づかないって話。
でも出来ないことがあってもやりたくないならやらなくてもいいし、逆に自分の出来ることがやりたいことならその世界はその人にとってはとても生きやすいし、それでいいんだって思える…ってのは一見ただの良かった探しに思えるけど、そうじゃないんだよね?
今回、すごい深いなあと思うのは、そこら辺の話から流れてきた結論が一樹の言う「誰でも出来ることは出来てもすごくないんですか?」なんだけど、育美が言った「誰でも出来ること」ってのは実は「誰でも出来ることじゃない」んだよな。みんなが違うんだから、みんな同じように出来るはず、みんなと同じことができて当たり前ってことはなく、だから「その人が出来てることはその人だから出来てることで、それが出来てることがすごい」という一樹の理屈だよね。
「普通」の人の「当然」とか「当たり前」「みんなと同じに」と言うことの残酷さや驕り、すごいと言われることをやらなきゃいけないと思い込むプレッシャーとそのための努力が果たして必要なのか。人と同じ(違う)からいいとか悪いとかじゃなく、みんな一人一人やれることができてることはすごくて素晴らしいというものの見方はとても真理だと思う。
つくづくネガティブワードを言わずにそういうことを引っくるめて肯定していくというすごく難しいことを軽やかに押し付けがましくなく描いているこのドラマはとてもステキだと思うわ。
関テレのこの路線は本当に手堅いねー。