そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

スペシャルアクターズ

http://special-actors.jp/
監督・脚本:上田慎一郎
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カメラを止めるな!」で社会現象を巻き起こした上田慎一郎監督の劇場長編第2弾。プロアマ問わず1500人のオーディションから選ばれた15人のキャストが出演し、脚本は「カメ止め」同様に上田監督がキャストたちのあて書きで執筆した。
役者としてまったく芽が出ない和人は数年ぶりに再会した弟から俳優事務所「スペシャル・アクターズ」に誘われる。その事務所は映画やドラマといった仕事以外に、日常で演じることを要求される仕事も請け負う、何でも屋的な側面を持っていた。そんな中、カルト集団から旅館を守ってほしいという依頼がスペアクに飛び込んでくる。スペアクの役者たちは、旅館乗っ取りをもくろむ集団への対策のために計画を練り、演技の練習を重ねていく。和人はこのミッションの中心メンバーとなるが、彼には誰にも話していない秘密があった。それは緊張が極限まで達すると気絶してしまうというものだった。(「映画.com」より)

 
あのカメ止めの上田慎一郎監督の映画のわりにあんまり話題になってないなあーと思ったんだけど、映画の日の平日夕方にしてはちゃんと人入ってた感じ。
でもさすがに今回の映画はカメ止めレベルではない、普通にインディーズ邦画のいい話…的な内容と出来かなあ。こういうテイストがツボな人なら楽しめると思う。でも繰り返し見るほどでも誰かに勧めるほどではないかな。
一応ドンデン返しなネタがあるんで、以下ネタバレ気味な(さすがに確信部分には触れないけど)感想です。
オレがツボに入らない以上に楽しめなかった理由も、ネタバレにならない程度に。



カメラを止めるな!」がゾンビというキャッチーなネタと、何度も見たくなる大々どんでん返しの爽快感とカタルシスだったのはやはり奇跡のレベルだったかも。
あのチープさのある映像ならではの仕掛けとそれにともなう緊張感(言うまでもなくああいう映画だからという意味で)は予算が少ないなりの工夫とか、それゆえにものすごく考えに考えざるを得なかった脚本や演出と俳優さんたちの頑張りの奇跡と言っても全く過言ではないと思う。あれは間違いなく傑作だと思うし。
それでもそこまでツボにハマらない人はいると思うし、それは好みなので仕方がないのだけど。
前作と比べると今回は何が悪かったかというと、脚本がチープだったんじゃないかなあって気がしなくもないです。
はっきり言うとこれって完全にデヴィット・フィンチャー監督の(ところで”デヴィッド“”デビッド“どっち?毎回悩むよ)あの映画(あまりにネタバレなのでタイトルは言わないけど)だよなーと。他にも同じネタあるかもしれないけど、まず出るのはあの映画でしょう。
オレあの映画すごい好きなんだけど、だから余計に思うんだけど、ああいうサスペンスミステリータッチではないにしても、弟が〜ってとこからネタとかオチに至るまでやってることが全く同じってのはさすがにどうかなあというか。
そのネタ自体のこともあって、劇中のチープさと都合の良さがずーっと気になってたんだけど、それもカメ止めと同じくそういうことならそうだろうと。でもだから逆に引っかかって楽しめなかったってのもあるというか。ずっとそんなんわけないだろ〜って思いながら見てたし。
新興宗教詐欺集団は…うーん、だからもうちょい脚本が上手ければ気にならなかったかも。


フィンチャー監督のあの映画と比べてもチープだから引っかかるってのと、ネタが丸かぶりなわりに最後オチがわかりにくいのよね。
この手の話なら“あの映画”みたいなガイド役がずっと付いててラスト付近であらかた説明してくれて、その上で"彼"が実は~じゃないとと思うけど、そこをあの事務所の仕事がああいうことであるという話の構造に頼ってるのはわかるんだけど、それで分かれというのはちょっと乱暴かも?
元々ああいういい話テイストが好きな層にはちょっと伝わりにくいかもと思ったというかやっぱりすぱっと“分かる”方が気持ちいいと思うんだよね。
その上でカメ止めみたいな構造の面白さやカタルシスでなく、むしろ兄ちゃん思いの弟に泣ける話の方でラストいい話に持って行こうとするところにちょっと日和った感があるのが残念。カメ止めは親子のいい話があの分量であのタイミングだったからよかったんだよな。あの弟の素性はもうちょっと分かりやすくというか、あの流れだとそれすら嘘に見える可能性ないかなあ。
まあどうしてもカメ止めと比べてしまうのは仕方ないんだけど、全体にもうちょい詰められる、無駄なところが多いのと、作り手側が話をわかってるから逆に観客に説明不足になってるところがあるのが一番のマイナスポイントでした。独りよがりになりやすいというか。
これはなー、監督脚本両方やってすごくタイトでテンポよくわかりやすく面白いもの作れる人って、そんなに いないので仕方ないけど。