そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

パラサイト 半地下の家族

http://www.parasite-mv.jp/
監督:ポン・ジュノ 脚本:ポン・ジュノ、ハン・ジュノン
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殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」の監督ポン・ジュノと主演ソン・ガンホが4度目のタッグを組み、2019年・第72回カンヌ国際映画祭韓国映画初となるパルムドールを受賞した作品。第92回アカデミー賞でも外国語映画として史上初となる作品賞を受賞したほか、監督賞、脚本、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の4部門に輝くなど世界的に注目を集めた。
キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。
共演に「最後まで行く」のイ・ソンギュン、「後宮の秘密」のチョ・ヨジョン、「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチェ・ウシク。(「映画.com」より)

 
パラサイト、アカデミー賞作品賞ってほどではないと思うけど、思ってたより面白かった!
てかこの↑ 映画.comの解説、昨日のアカデミー賞の結果反映早いなあ(笑)作品賞ってほどではないけど間違いなく脚本賞は妥当かな。

ネタ的にリメイクもしやすいし意外と主人公一家がわりとまともで肩入れも共感もしてしまうから後味悪くないんだよな。てか最後うっかり泣いてしまったよ(と思ったら~展開あるけど)
チラッとだけレビューをみたけど、オレは最後のアレも含めてお話として希望の持てる「いい話だなー」と思ったけど、キャッチコピー通りに完全に格差社会の厳しい現実と見る人もいるわけで、観客それぞれの見る場所や汲み取る内容の感じ方や解釈でいろんな見方が出きるという意味では、見た人の心の中を写し取るような映画でもあるな。
監督もネタバレはしないでって言ってるし、さすがにこれをネタバレするのはどうかと思うので感想は軽く。さすがに社会批判的なレビューをするほど深くは書けないし。
ただまああんまり格差の比較という視点でばかり見ると、ちょっとした描写を感じ取れなかったり思い込みで理解した気になったりするかもしれないのであまり予断は入れない方がいいかも。
そういや「グエムル」の監督なんだよな、観ようと思ってずっと録ってあるけどまだ観てないや。今度こそ観よう。
 
それ以外の感想としては、パク社長の俳優さんがめちゃくちゃ声が良かった!谷原章介とか玉木宏とかその系統の美声。
冒頭のピザ屋の箱を作る内職、箱が潰れてるってチェック入ってたけど潰れてるとかいう問題じゃないよ!?あの環境で作った箱にピザ入れると思うと気が遠くなるわ。ありえんわー(苦笑)
あと家政婦の好朝鮮ギャグに爆笑した!似すぎてるので必見(苦笑)
 
以下はネタバレには配慮してるけど、観た人向けのなんとなくぼかした感想なので自己責任で。
 

最初はタイトルからしてよくありがちな乗っ取りものかと思ってたけど、いろいろひねってくるから見応えもあったし、間違いなく面白かった!
ワイドナショー見てたら松本人志がこの映画の感想で家政婦のことをやたら言ってて、それがすごい気になってたってのもあるけど、その家政婦のアレ以降、本当に一転して黒沢清の「クリーピー偽りの隣人」みたいなホラーテイストになっていくのはちょっと予想外でハラハラドキドキした。
そして当然あのシチュエーションではお約束的にそうなるよね〜(でも連絡はもっと早くするべし!)とか、その辺のスリリングさは意外と邦画が出来ないところで。(なんでなんだろうね?)
でもそこまでで薄々感じてたあの家族の生き様?というか、真面目に働いても報われないってのがそこでもちゃんと語られてるから、そのあとの展開にそこはかとない説得力はあったと思う。セリフの端々に悪い人たちではないってのは感じられるし。
それと対比でのお金持ちのパク社長一家も、富裕層らしい鷹揚さと無自覚の差別意識はあるけどはっきりした物言いはむしろ韓国人なのに(というと差別的だけど)珍しく感情的でなく清々しいと思うし。奥さんも無垢な感じだし(悪く言えば騙されやすい?)でも当たりが厳しいわけでもないし、天然の「良い人」なんだよね。そこはキム一家も仕事と高給もらってることに感謝してるし好感持ってたし。
それがオレがこの映画を見て単なる格差社会の持たざる者のルサンチマンではないなと思ったとこで。

映画見る前はそのタイトルからの印象もあり、主人公一家が図々しく金持ち一家に取り入っていくのかと思ってたよ。
でもそうじゃなくて(という以下オレの解釈)、彼らは詐欺や文書偽装はともかくとしてわりと真面目でそこそこ勤勉、一般的な常識も働くための能力もあるのにそれでも仕事がない、ちゃんと稼げない社会がヤバいって話に感じたなあ。
たぶんお父さんの台湾カステラのお店もなんかタイミング悪くて上手くいかなかったか、騙されたのかそんな感じ?息子だって真面目に受験して4浪?なのはむしろズルをしない(貧乏だからできない)ってことよね。お友達のお金持ちもいい人っぽいけど。
そして臭い。
その集団や地域に対してこれほどまでに違和感をもたらすものをスパイスに効かせてくるとは。その中にいる人間は馴染んでしまって気がつかないものだけにつらい。あの一家だってちゃんとお風呂には入ってるし洗濯に柔軟剤だって使ってる。でもあの半地下の家や下層の(文字通りの)地域に染み付いた臭いはそういう問題じゃないんだよな。そして映像的には見えない臭いだからこそ個人の限度という話なんだし、見た目よりも我慢できないというのがわかるだけにとてもつらい。あとパク社長はその臭いを「業務上の我慢」としてギリギリ容認できてるんだからその点でもとても公平な人だと思うんだよね。あの距離で臭いに我慢してるパク社長が、キム父さんのプライベートに踏み入る質問を「仕事日だ」ということで注意できるのもそれだからだと思うし。

むしろ半地下から逃れられないあの一家に同情するわ。
それがあるから最後のアレもただのアレでなく、もしかしたら実現できるかもと思わせるところに希望があると思ったわけで。
「モールス信号」というネタはあくまでも最後のアレに効かせるための布石伏線だけど、出し方がうまいからご都合になってないとこは上手かったかと。
あとそれを録音しといて文字に起こす、あのお兄ちゃんの頭の良さとか機転の利かせ方を見るとほんと実現のために頑張れ…!って思うんだよ。(←フィクションです)