そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

NNNドキュメント'06「消える産声」

http://www.ntv.co.jp/document/

「消える産声」産科病棟で何が起きているのか(仮) 制作=中京テレビ
産科病棟の閉鎖が加速している。中京テレビの調査では、この5年間で東海3県の地域総合病院(大学から医師を派遣されている所)から21の産科病棟が消えた。若手医師が産科を選ばない理由は、これまで「勤務環境が厳しい」「医療訴訟を受ける率が高い」などだった。しかし事態はさらに深刻化した。2年前から、大学を卒業した医師が自由に病院を選び就職できるようになり、大学(医局)が地域の病院に計画的に医師を派遣するシステムが崩壊したのだ。更に今年2月、福島県立病院の産科医が逮捕・起訴されたことも打撃を加えた。

何となく見てて気になったんで。
産科医や小児科医が減ってること、特に産婦人科の集約化で、地方では次々と産婦人科が減ってるってのは知ってましたが、どうも問題はもっと深いようで。
勤務が厳しいってのは考えれば判ることなんだけど*1、医療訴訟も他の科の医者に比べると段違いに多いらしいです。一人当たり12件っていってたかな。子供の誕生という喜ばしい気持ちがどん底に突き落とされることによって、矛先が医者に向かう確率が高いらしい。まあ気持ちは判るけど。
自然分娩とは言うけど命の危険率というのは未だに高くて、それをカバーしてるのが結局医者達の努力であるってことですね。(50年前は1万人に対して180人ほど亡くなってたらしい)
たった一人で地域医療って言うとドラマのネタになりそうにカッコイイけど、実際は一人しかいない産科医はかなりのリスクを抱えて診療してるし、分娩だけが仕事ってわけじゃないからその負担は相当なものだと。そして地方の総合病院でさえ産科医が一人を言う状況があり、そういう中で起こった今年2月の産科医の医療過誤と逮捕というのが更に産科医の退職と集約化を進めてるという、どうも自体は悪いほうへばかり進んでるみたいです。
集約化されていいかというと、その一ヶ所に今度は患者が集中して、ベッドが足りなくなりそれもまた問題になってると。陣痛が来てから60キロも離れた病院へ行く1時間で生死が別れることもあるから、地方の状況は相当酷いと言わざるをえないんじゃないかと…
最近義務づけられた医者の研修制度、新人研修医は二年間、各診療科を回って医療経験を積むって奴だったと思うけど、話だけ聞いてたらいいことだと思ってたんですが、これもどうやらそうじゃないらしい。
大学病院の医局の派閥とか人脈で医師の派遣…というとドラマなんかでは悪いことのようにしか描かれないけど、そうやって大学病院が地域医療をコントロールして各地域に医者を派遣したりなるべく格差がないようにしていたらしい。それが政府の方針のせいでかなり混乱して、機能しなくなってるという問題が持ち上がってる。つまり研修制度で好きなところに就職していいということになったため、大学病院に残る医師の数が減り(ヘタしたら半分しか残らないとか)地域に派遣することが出来なくなっていて、自治体にも負担がかかってるとか。
産科医師が足りない自治体は、高待遇で医師を確保することに奔走したり、外国から招いたり、どうも随分苦労してるらしいです。
産婦人科医は50〜60代以上が半数を占め、彼らがリタイヤすると若い医師がいない以上、今よりもっと厳しい状況になるそうですが。
番組では一人の若い医師を追いかけてましたが、20代でやる気があって夜の回診も厭わない彼のような医師は「絶滅危惧種」というそうです。(番組内で言ってただけかも知れませんが)
産婦人科って普通の病院よりかかる時期が長いし、一度かかるとなかなか簡単には代えられないし、近い方がとか女性医師がいいとか言い出すとキリがないだけに、どうにも大変だなあと思うなあ。高級産院なんてものも一時騒がれて賛否両論あるけど、治療が確実ってだけでも悪くはないのかなと思ったり。産婆さんの分娩も確か産科医がついてないといけなかったんじゃないかな?やっぱり足りないと思うな、医者は。
東京の都心に住んでるとそんなに産婦人科が少ないって実感はないんだけど、どうにかならんもんかなあ。*2
ざっと見てたんでなんか間違ってたらスイマセン。

*1:そういやひところ問題になった陣痛促進剤で分娩時期をコントロールするってのはどうなったんだろう。今もあるのかなー。薬を使うことによって母体の危険性も増すんで、当時は随分悪いことのように言われたけど、こうなってくるとそれもありかなあなんて思うんだけど、でもそれを診る医者がそもそもいないんだから同じことか。

*2:オレは子供いないからそれについてはあまり深刻ではないってのはあるけど、それでも通ってた産婦人科(おじいちゃん先生だった。やっぱりおじいちゃん先生はいろいろ微妙だよな)が改装して数ヶ月もたたないうちに閉鎖というのを聞くと、誰かあとを継ぐ人はいなかったんだろかとか考えちゃいますね。そこは先生が亡くなったわけじゃないみたいだけど…