そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

劇場版 仮面ライダー電王/俺、誕生!

http://www.den-o-movie.jp/

平成ライダーでは一番映画として出来がよくて面白かった!
試写会の時の感想。今週の映画ネタ放送を見たあとでまた見に行く予定です。結構後半のバトルとか、ギャグ展開のところ忘れてるんだけど、面白かったのは確かなのでいいや。
関係者インタビュー諸々見てると、子供に映画館に行って欲しいっていう仕掛けらしいけど、そういうのには商業主義とかウダウダ言わず、スパッと乗るのが大人ってもんでしょう!だって見たほうが絶対に面白いんだもん!顔見せ程度の芸能人ゲストより(これはこれで宣伝的に効果あるけど)こういうののほうがだんぜん仕掛けとしては面白いと思いますー。2倍楽しめる!


あとでよくよく考えると、内容って殆どないんだよ。デンライナーを奪った牙王(どうして?、というかアンタ誰?)からデンライナーを取り戻すってだけ?でもそれなのにメチャクチャ面白かった!というかお祭り映画なんだからこれでいいんだよな。
靖子たんの脚本も結構隅々にまで行き届いてて細かく構成されてるし、長石監督の演出もバカすぎず真面目すぎず、抑えるところはちゃんと抑えてて、最後でホロリとさせる、全体のトーンとしてバランスよくまとまってるよ。本当に今回長石監督でよかった。まあオレはここ最近の田崎の仕事がキライなので特にそういう言い方しますが、田崎さんみたいに見せたいとこだけクローズアップしてそこに至るまでをすっ飛ばすタイプの(龍騎の時はあまり感じなかったから多分ここ最近でないか?)演出だとこの話ってよく判らない流れになったんじゃないかなあ。例えばガメラ映画みたいな。まあいいや。

この映画のキモって、話は特にないし内容は薄いし、情感もないから(良太郎絡みに薄ーく)、だからこそ起こってることを順番に丁寧に見せて積み上げてかないと意味判んないと思うんだよね。重要なのは結果でなくその過程なんだよ。
文句があるとすれば、全体の出来事を全て等価に描いちゃったからキャラ説明のない牙王のやったこととデンライナー奪回、良太郎の過去の出来事が全て等しくなって、じゃあ誰の、何の話だったんだ?ってことになってるってことかな。主人公良太郎の扱いもちょっと弱いし。
でもまあその辺は逆に良太郎が好きな人は良太郎メインで話を追いかければいいし、大筋を楽しみたい人は牙王と電王チームの追いかけっこだけ見てればいいし、イマジンたちの掛け合いを見たい人はそこだけ見てても十分楽しめる映画になってるから、これはこれで戦略だと思うんだ。そういう意味で靖子たんの丁寧な構成が生きてるし、そこんとこを突出することなく演出してる長石さんは職人的な仕事をしてると思うのよ。
まあそのせいでストーリー的には特に引っ掛かるとこなくスムーズに流れてるとこに、クライマックスでのデンライナー・ゼロライナー・ガオウライナーの信じられない空中列車バトルで何もかも持っていかれて、見たあとの印象だけは「何か判んないけどスゴイ面白いものを見た!」て感じで締めてるのが小憎らしいよ。いやだから本当に面白かったんだけどさ。内容なんかこの際どうだっていいってくらい。でも最後の最後にホロリもあるけどな。


もうちょい細かく感想も。
デンライナーがいきなり乗っ取られて、良太郎とハナは10年前に置いてきぼり。良太郎の記憶(電王に関することだけw)がなくなってるからせっかくモモがデンライナーから抜け出してきても良太郎に入れない・・・というか、そこへいきなり10年前に飛んだままのジークが現れ、良太郎に憑依。変身出来ないモモタロスと違ってジークはなぜか変身出来るし、じゃあってことでモモは10年前の良太郎に取り憑く。というか良太郎が記憶をなくしてるからモモ実体化。ええー!いつの間にそんな設定に(笑)←これ重要だろ?(笑)
そして侑斗のゼロライナーで追いかけるんだけど、そもそも牙王が神の路線に入って最強の時の列車、ガオウライナーを手に入れ・・・って、どうしてそんな過去にあるというか、作られてんだ!?*1 というか神の路線ってなんだよ?


良太郎の過去については、キャラ設定以上のものではないから単にそういう過去があったっていう事実が判ったくらい。そもそも牙王と良太郎の接点ってないんだよね。ないのに成り行きで最後牙王は良太郎を消そうと良太郎の生まれた日に行って、時間を消滅させようとしてる。意味不明。
良太郎の過去、10年前の良太郎のことや両親が亡くなって云々についても特に感情的な描写は薄いように思えたんだけど、この辺も含めてどちらかというと今回のお膳立てにするためのやはり装置でしかなく、そこにあえて良太郎の過去を絡めた風にしか見えないんだけどね。最初から感情の流れで見る話ではないかなーと。
でもこれは別に問題なし。話が結構複雑で面白いので、オレは十分に楽しんだよ。
だからといって御座なりになってるわけでもなく、ちゃんと要所要所は拾ってるからいいんだよね。良太郎の両親の思い出話や写真のこと、小太郎との両親のことでのやり取り、最後の愛理さんが描いたイラストとかさ。←"描いた"ってのは勘違い。"見てた"、ね。良太郎が描いたんだって?

良太郎の描写が薄いってのは、10年前、両親が亡くなっておばあちゃんちに預けられてたっていう良太郎の気持ちは最小限しか描かれてないし、それ自体は話と絡んでないから。最後に、無くしてしまった両親の写真を取り戻す代わりに良太郎の生まれたシーンに立ちあう、生まれたての良太郎と8才の良太郎、今の良太郎が図らずも一堂に会して、大切なのは写真自体じゃなくて記憶なんだってオチ。
この辺ーオーナーの粋な計らいっつーか、大事なのは何かということね。良太郎は写真を取り戻したかったわけじゃなく、もう覚えてない両親の顔を見ることが願いだったから、これでいいんだよね。(こういう大人の視点って白倉ライダーではあまりないんだけど(だってみんな子供だしw)、オーナーが一応こういうポジションにあるのは靖子たんのお陰か?それでいったら牙王のキャラも"大人の理不尽さ"って感じなんだよな)
それは牙王が消滅させようとした良太郎の生まれた日、1988年12月26日という日を守ったあとで侑斗が言う言葉、『人間の記憶で時間は作られてるんだ』ともちゃんとシンクロしてるし。
このセリフが一番この映画の言いたかったことだと思うんだけど、薄いと思ってたけどこうして感想書いたら良太郎の話はやっぱりこれはこれでいいと思う。
牙王がたった一日くらい消滅してもても困らない(ただそれによって良太郎は生まれなくなる?から効果は大きい)というのに対して、人が体験した記憶というのは一日でも大切なものだし、なくてもいいなんてことはありえない、良太郎の場合は生まれるか生まれないかという重大な事実が絡んでるんだけど、そうでなくてもなくなっていい記憶や思い出なんかないという電王自体の物語の言いたいことも描かれてんだよね。この辺は靖子たん上手いって感じ。
侑斗も出番自体が少ないのはしょうがないけど、その辺を判ってるからこその「記憶が時間を作る」という重要なセリフを言いに来てるからいいか。


本筋はそんなで、そこに至るまでのドタバタがかなりおかしかった。けど、まあその辺はいいや。見りゃ判るもんな。
ジークの扱いもほとんど説明ないけど、出番自体これっきりなのかなあ?扱いは映画キャラってことか?TV版でわざわざ10年前に飛ばした理由がここでピンチを救うためか?(笑)「何でついてきてるの?」ってハナの言う通りなんだけど、白鳥の恩返し!(笑)いやまあ、その辺も予想はついたけど、それにしても話には絡んでないしな。おいしいとこだけ持ってったよ、白鳥はー(笑)
侑斗にことわりなくゼロライナーに居着いて、勝手にデネブを料理番呼ばわり、侑斗に怒られても何だか嬉しそうなデネブに激萌え(笑)

そして最後の良太郎勢ぞろい、全フォーム同時変身そろい踏みは、まさに時間モノの楽しいとこを上手いこと持ってきたって感じで、言うことないです。まあそりゃ、あるんなら見たいわなー。こういうのは見たいモノ見せてくれてるっていう正しいサービスだよな。
デンライナー・ゼロライナー・ガオウライナーの三つどもえの空中バトルなんかは、こうしてみるとそもそも電車には見えないから龍が争ってるというか、絵面を見るとまるきりまんが日本昔話(嘘)超見ごたえあった!
ちょっと記憶が飛んでるけど、まあ別にいよな。オレは大コーフンした!カッコよす!
とにかくもう一回見なきゃ!(スマン、あからさまだが途中で感想書くのが面倒くさくなったw)

*1:そういやこの辺なんとなく小松左京の「果てしなき流れの果てに」だ。