そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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ハチワンダイバー#2

http://wwwz.fujitv.co.jp/81/index.html
感想は書かなくてもと思ってたんだけど、原作を読み返したんでメモ的に書いとく。
記憶にあった話と違うなぁってのがあったのと、演出等でいろいろ違和感があったのが1話だったんですが、2話目はそんなに違和感もなくドラマとして楽しめたんですね。
原作の菅田って、真剣師になることや九九八十一マスの将棋盤に潜ることも、意図的に自身の意思でやってるんですがそれは漫画的な流れに乗っ取ってのことなので、それでいいんですね。
しかるにドラマ版はというと、どちらかというと菅田は状況に巻き込まれて真剣師と言うことの意味(実際には掛け将棋は賭博という犯罪だと言うこと)に向きあわざるを得なくて、将棋盤に潜る「ダイブ」に関してもまさに窮地を破る必殺技であるかのような使い方になってますね。
原作の菅田は、本当の真剣師がどういうものかは知ってたけど、そういう「技法」で金を稼ぐことは良しとせず、単に自分の好きな将棋をして勝ったら金もついてくる程度の認識で真剣師をやっていた。
将棋盤に潜ることもかねてから師匠に指摘はされ、それだけの棋力はあると思われていたのに、本気で潜ることの意味を考えずにプロになることが出来なかった。
しかしわざと負けるという自分の将棋を貶めたことの代償として真剣に将棋盤に潜ることを思い、やっとそれが出来た‥‥と言うのは彼のそもそもの実力を示すものだと思うし、そういう意味ではかなり真面目な話だと思うのですよ。
それをそのままやらずにドラマなりの文法・文脈で、「ダイブ」を追いつめられた時の起死回生の必殺技とし、それゆえ必殺技を出すことが出来ないという窮地を描いた2話目というのは、ドラマ的にはありな展開で、菅田のキャラも含めて1話目でイマイチだなぁと思ったのは、ちょいと早計だったかなと思ったわけです。
ただ、演出的には菅田と言うキャラを過剰に演出したのはあまり良くないなあと思ったのも確かで、(制作スタッフが俳優を信じてなかったのかしらん?)2話目ではむしろマムシとの対局において、その対局の様相を的確な過剰演出で見せていくというのは効果的だったと思う。過剰にやるならこっちの方が正しいと思うわけです。
追いつめられたところで将棋盤に潜ることが出来、生き返ったかのように眼光も鋭くなった菅田はマムシに勝つことは出来たが、結局賭博ということで逮捕されてしまったことの落胆、その時心の拠り所が退会駒だった‥‥というのも流れとして良かったし。
自分の意思でやったことで窮状に陥り、しかし自分の意思でまた「ハチワンダイバー」として窮状を打破した原作は原作として、ドラマでは自分の意思とは別の思惑で動かされた揚げ句受け師さんの手駒になるも、それゆえ自分には「将棋しかない」と思い直す実力はあるけど心の弱い主人公が、唯一無二の必殺技で立ち直っていく物語だと思えばこれはこれで楽しめそうです。
あと原作ではそこまでの展開で、なぜプロはアマチュアと比べ物にならないほど強いのか、奨励会崩れはどうしてアマチュア以上に強いのかは判るように描いてるけど、この差が判らなければ菅田が将棋盤に潜れる理由も判らないんだよね。だからこそドラマは「必殺技」ってことにしてるんだろうけど、将棋において読みの深さが勝敗を決することが判らなければ(だからプロは過去の戦法を研究しなければならない)、面白さは半減するよなあ。二こ神戦でやるんだろうか。菅田の部屋の棋譜本や研究書は伊達じゃないだろよ。