そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

NHK・緒形拳特集「帽子」ほか

「帽子」

http://www.nhk.or.jp/hiroshima/eighty/boushi/
8月に放送した広島局制作のドラマの再放送。
ついまるっと見てしまいましたが、オレはこういう話に弱いんだ。
老いと、仕事が必要とされてないってことでプライドを失い弱気になってる高山さんと、自分に自信を持てなくて仕事にやる気のない吾朗が思わぬところで繋がっていて、二人で東京に住んでる高山の幼なじみであり吾朗の母親でもある世津ちゃんに会いに行く‥‥ってのは結果的には自分探しというか死と再生の旅なんだけど。
人にはいろいろ事情があるし、過ぎてしまったことは取り返しのつかないことだけど、過去と向き合うことで今をより良く生きることが出来るし、人生いくつになってもそういうことは必要なんだよな。
緒形拳の仕事っぷりとしてはやはり職人として帽子を作っているところが良いんだけど、新幹線で吾朗と高山さんが話してるとこも地味に良かった。なんか微妙に距離感のある親子みたい。
それでなんかさ、高山さんが世津ちゃんと東京で会って話してる辺りから泣けてよー。世津ちゃんが前向きで明るいのは死期を知ってるからじゃないかと思うんだけど、何の恨み言も後悔も言わずに高山さんに仕事のプライドを思い出させるのが静かだけど熱さがあって、田中裕子も何だか透明感があって、いいシーンだった。帰りの新幹線で二人して「世津ちゃんは長生きする」って、あとで思うと、ダメだって判ってたからだよな?
緒形拳はこういう役どころが一番ハマってるというか、頑固で厳しいけど一途だし、可愛いいところもあり、情に厚くてちょっと熱いところもありって、さすが付き合いの永い脚本家が書いただけあって、緒形拳の魅力をよく判ってるってとこかなぁ。というか演技力もあるけど、やっぱり持ってる雰囲気に華があるんだよねえ。人好きするっていうか。
最後の何も言わずに黙々と仕事をしてるさまは本人の生き方ともダブる感じで良かった。
呉のロケとか、全体に画面もきれいで良かった。
 

「名優・緒形拳さん逝く」

「帽子」の脚本を書いた池端俊策と親友の津川雅彦、それに緒形幹太・直人息子二人にところどころ過去共演者のインタビューを交えた緒形拳を語る番組。こっちも何となく見てしまった。
最初の方はちょっとながらで見てたけど若い人は「帽子」で共演した玉山と風林火山Gacktくらいだったか。ベテランの人は結構でてたな。玉山は共演したばっかだし、Gacktはなんだかほんとに緒形拳が好きだったのか、静かに涙を流しながら言葉少なに語ってるのが印象的でした。
面白い話はタイトル文字とかにもときどき使われてる筆文字の書道がかなり味があって、家族や知り合いにも筆文字の絵手紙みたいなはがきを出すみたいで、それも人柄でてて良かった。息子二人は子供の頃から筆で年賀状を書くように言われてたらしい。
故人を知ってる皆さんの言うことも、本人の見た感じの印象通り朴訥で真面目で人間が好きな人だなあって感じ。津川雅彦がいうには、仕事に対してはものすごく真面目で本気で、津川さんが仕事に本気になれなくてそういう言動をしてたときも、黙ってニコニコと聞いて何も言わない人だったらしい。
とにかくみなさん言うには、笑顔がとてもステキでこの世の人とは思えないとか、録画してないんでウロだけど(部屋片づけながら見てたし)、いろいろと緒形拳の人柄が偲ばれる内容でした。