そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

逆転の夏

http://www.bs-tbs.co.jp/app/program_details/index/DRT0703100 http://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/d1451/
原作:横山秀夫「逆転の夏(「動機」より)」(文藝春秋刊)/脚本:久松真一 監督:榎戸耕史
 
録画溜まってるはずなのにブランチのあとにうっかり1時間半見てしまうくらいドラマとしては面白かった。佐藤浩市がやたら昔テイストだなぁと思ったら(別に若くはないよなw)2001年にBSでやったやつなのね。どおりで。
一応面白かったんで自分メモで感想。以下ネタバレです。隠さないけど
 
サスペンスドラマってことで原作は知らないからどの程度描写されてるのか判んないけど、ドラマとしては丁寧な作りなのがよかった。
だって話としては途中で気がつくんだよね、電話のカサイが誰なのかは。とすると方法(計画)はともかくやっぱり遺族の感情としては殺したいんだろうなと思うからねえ。この辺は小説だと声では判らないから有効なんだろうし、ドラマの場合は仕方ないと思うけど、それでも串間@寺田農の声を聞かせるのが電話の前の回想の裁判シーンの一言だけとか、わりとドラマとしての描写は考えてるなぁって感じ。
及川についても、最初は及川がアヤシイと思ったんだよね。身元引受人にしても信用出来るかとか、本当に彼は山本の元妻に送金してるのか、家族の様子は事実なのかとかさ。でも山本が訪ねて行く彼の家は本物だろうしじゃあなんでそんなことしてるのかとか、途中山本が及川を疑うからそれも引っかけかなと思ったけど、串間の協力者だったのかーと。
奥さんの話はどうも本当だったのがまたその時点でじゃあなんで?っていう引っかけにはなるけどさ。
まあ、カサイが頼んでくる内容もよく考えるとヘンなんだけど、最後の取引でそもそもゆすりの相手が「赤いスポーツカー」に乗ってくるとか、用意された着替えがいかにも目立ちやすい「白いジャージ」ってのも嵌められたんだろうなってことで、この辺でもう大体の見当がつくところが視聴者の「見てる満足感」としてちゃんとあるし、上手いですね。
子供と会うところもそこだけ子供目線の演出だったのがどうしてだろうと思ったら、そこは子供が気がついてたってことで納得。
ドラマとして丁寧に上手く作ってあって、サスペンスとして程よく楽しめる点でとても出来がいいですね。

内容としてはかなり重いというか、結局人を殺したことは償いきれるものじゃないし絶対にやってはいけないことだという話で、そこはどんなに憎くても最後に串間が通報して山本を助けたのはホッとしたよ。これも串間がおかしくなっちゃった奥さんに計画を話して聞かせるってことで、やっぱりどうして〜と思わせといて通報したのは自分だってとこがドラマ的な種明かしとして上手いかなー。全体的に押さえ目だけど必要な説明はしてるから、ドラマとしては過不足なくてしっかりしてるし。
奥さんはー、子供に山本のことを話してるみたいだから、串間が娘のやったことは良くないことだと認めてるように、山本が人を殺したことはそれなり理解はしてると思うんだけど高校生と関係を持ったってことの方が許せなかったのかなあ。どちらにしても山本の誠実さは認めてくれてるし二度と会わないってことで許してくれてるんだと思うけど、いろいろ深く考えると大変だからいいや。その辺の各キャラの描写も丁寧だと思う。
山本の気持ち自体は、山本がああいう真面目なキャラだってことだとああいう風にしかならないだろうから、彼の苦悩とか気持ちはわりと判りやすいかな。そういう風な持っていき方で見せてるのもドラマとしては重くなりすぎずに見やすいのかも。
まあ罪を犯すということと赦し、贖罪とか人間の感情の揺れとか、そういうことで考えさせる話ってやつだよな。