そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ブラインドネス

http://blindness.gyao.jp/

「貝」から続けて見ちゃったけど似たような重そうな話でした。
一応こっちはネタバレで隠しときます。そういう話でもないか?
たまたま続けて見ちゃったから言うけど、貝とこれとどっちが面白かったかっていったら、貝の方が面白いかなあ。
 
この映画が深いテーマ性とか比喩的なお話だってのは判るんだけど、判るからこそなんか陳腐で今更な感じも受けるというか、えーって言う人はいると思うけど、オレの中ではシャマラン監督の「ハプニング」と大差ないです。ハプニングよりはメッセージ性とテーマ性はあるような気がしますが。(だって「ハプニング」って基本サスペンス映画だし)あ、パンフまだ読んでないけどね。(つか何あのムック本みたいなパンフ)読まなくてもいいかなぁって気も。あんま好みじゃないからって言えばそれだけの話かも。別に視力が奪われたことの原因や理由が判らないからってのはどうでもいい。そういう映画じゃないってのは判って見にきてるから。(むしろそれなら「ハプニング」の方が〜だよなw)
あとネタバレしないように気をつけてたのに、最後に唐突に目が見えるようになるってのは知っちゃってたから余計に何が言いたいのか判りやすくて。まあ、「見えないことで見えるものもある」ってのは判りますが、伊勢谷が最後に「これで何もかも元通りだ!」(うろ)って叫ぶけど、そういえるお気楽さが頭悪すぎ。その辺がこの映画のいいたいところだろうけど、なんかテーマが体感的じゃないんだよなー。
だから冒頭から深遠なテーマ性を感じさせる?展開よりも、アメリカ人(とは特定されてないけど)はバカなのかってことばかり気になって、妙にイライラしっぱなし。特に、みんなが見えない中で一人だけ見えてるヒロインの眼医者の奥さん(ジュリアン・ムーア)の振るまいがどうもよく判らんのだ。彼女が何を考えて何をしたいのか。彼女は貧乏で頭が悪いバツイチ女じゃないよな?医者の妻で金持ちの奥さんなんだよねえ?
視力を奪われるってのが、映画で描写されたように悲鳴を上げてパニックになるほどの恐怖かどうかは、実際なってみないと判らないけどさ、最初は一部の人間だけでしかも隔離されて、そのあとは原因不明だけど人々が失明していくってのが判ってる状況だよね。ジワジワとはくるだろうけどああいう風になるかなあ?大体普通の人って、目が見えなくなったら引きこもらないか?何もかもが恐いと思うんだけどさ、何でわざわざ外に出ていくんだよ。外に出ていくのはそのあとでしょ。食べるものがないとか誰かを探しに行くとかさ。大体最初の伊勢谷が失明したとこで、なんで警察を待たずに見知らぬ人に送ってもらって家まであげちゃうのか、理解不能。見てるこっちがドキドキしたよ。見知らぬ人を信じるなよ、バカ。普通に怪我して運転出来ないとかじゃないんだよ?車取られるに決まってんじゃん。誰もいない家の中に招き入れて、殺されて金目のものとか盗まれなくてよかったよな。
だからこの映画って、目が見えないことの恐怖と混乱、そこから見えてくる人間の本質を描こうとしてるのに、まず視力を奪われるということ自体の恐怖にリアリティがないんだよね。
そこにリアリティが感じられないから話に入り込めないというか、だからこそ、その誰もが見えない状況で一人だけ見えているってことのアドバンテージが主人公の医者の妻の行動に何もいかされてないのが不可解なんだよ。盲目状態なのに王様気取りの若者(第三病棟の王=ガエル・ガルシア・ベルナル)より立場的に断然強いはずなのに、なぜ彼の要求に従ってしまうのか?命の危険があるのにだよ?(なんで大人しくレイプされるのか判らない‥‥)まあそこで彼女が反撃してしまったらこの映画のテーマはぼやけると思うんだけどね。それじゃ単にパニックサバイバルものだしw でも周りの人間の世話も仕方ないからやってる風なのに、最後、あの少人数だけで家族的な関係になるのも判らん。他にもいろいろなんでー?って思うとところありすぎ。彼女自身の「いつ失明するかわからない」という恐怖も描かれないし。
民衆のパニック度合は隔離施設の放置ぶりとかその後の街の状況とか見ても、どうしてあんなに低所得者層みたいな暴動になるんだろうって思うと、それも微妙。隔離したからそれでいいって、この世界に科学者はいないのかよ。うんまあ、アメリカって基本そういうところだと思うけど、そこまで劣化しなくても‥‥と思うわけよ。もうちょっと頭良い人たちも常識ある人たちもいるはずなのに、そういう人たちはどうしたの?(そういうのが極端なのがアメリカ的だとは思うけど)
だからそう思うとなんか話に乗れなかったというか、そういうレベルでの話ね。まあ隔離施設で暴力の統治がされてる間に、その外ではある意味もっと無法状態になってたってのが、逆転の構図で面白いっちゃ面白いけどさ。
伊勢谷友介木村佳乃も、ルックスがルックスなだけに行動様式からして完全に韓国人かもしくはその二世とかそんな感じの基本アメリカ人。少なくとも日本人じゃないし。えーとぶっちゃけ、いつもよりヘタに見えました。この映画ではあれが正しいんだと思うけど。(一応この二人と監督が対談した「ボクらの時代」は映画見る前に見たんだけどさ)
なあんか、こういう極限状態での人間性を問い掛ける‥‥って、魅力的な題材なんだと思うんだけど、うーん、言っちゃなんだけどそういうのってさー、70年代〜80年代くらいの少年マンガで、手塚治虫とか永井豪とかが漫画って媒体でとことん突き詰めたネタなんだもん。だからこの映画は単にネタとしてどういう見せ方で見せられるかってことのバリエーションでしかなくて、そういところでも説得力があまりなかったし、そういう残虐なことの中の人間性の本質を上手く見せる媒体として「天才の描く漫画」以上のものってないと思うのよ。
そうそう、そういうのを見てるから今更だし、描写としてなんかヌルいなあとしか思えなかったってことなんだよね。
これってどう見ても単館系なんだけど、なんでこんなに大々的に公開してんのかなー。