そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

銭ゲバ#7

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風太郎くんはもう幸せになるのは諦めたのかな。可哀想に。
茜に「死のうが生きようがどうでもいい」といいながら、萩野に金と命の天秤をかけさせて「やっぱり大切なのは金でした」と言わせたいのは、ホントはお金の問題じゃなくてプライドの問題だからだよね。
風太郎が茜に興味ないのは彼女がもともとプライドを持つだけの自我がなかったからってことかな?それはなんでかというと、お金持ちの家に生まれながらも醜いというだけで自信を持てなかった、ただ愛情だけはたっぷりと与えられてきたという彼女には守らなければいけないものの捨てなきゃいけないものもないんだもん。
萩野が屈したのはお金じゃなくて自分のプライドで、風太郎はもともとそういう自意識から来るプライドなんか持ってないし、「正義」なんてものも信じてないからだと思うけど、それはそんなことに拘って助けられるはずの命を見殺しにすることの方が罪だと思ってるんだと思う。プライドにこだわって奥さんを見殺しにすることは風太郎にとって「悪」なんじゃないかなあ。まあ本当は関わってさえいなければ萩野のことなんかどうでもいいと思ってるだろうけど。
風太郎は萩野が頭を下げることで奥さんが助かることは本当に良かったと思ってだろうし、それが風太郎にとっての「正しいこと」だから、だからこそお金だけじゃなく医師の紹介状まで用意してたんだろうけど、それは萩野が風太郎の金の力に屈したとか自分のプライドを捨てたということだけじゃなく、単に世の中、"命さえお金で何とかなるという現実"に負けたことを知ったわけで、風太郎が子供のときに感じたことを今感じてるだけなんだよね。
悪いのは風太郎じゃないし、本当の意味では萩野は風太郎に屈したわけでも自分に屈したわけでもないんだと思う。まあそれは結局ある意味風太郎が正しいって認めたことになるんだけど。
緑さんが風太郎の故郷で「風太郎のことを憎むために知る」というのも相当な自虐だと思うのはこないだ言った通りで、風太郎と一番近いのは緑さんだからだよね。知らないで憎む方がずっと楽なのに、あえて知って、それでも風太郎を憎む、つまり間違いだと言うことは自分が間違ってると言うのと同じで、そういう意味で緑さんはプライドをかけてるんだと思うのよ。健蔵に対して「死んで下さいね」って軽く言えるのも風太郎と同じロジックで、すでにお金を持ってる風太郎と生粋のお金持ちの緑さんは根っこが同じで、世の中には本当はお金よりも大事な物があると思ってるからお金に執着する人間には自分を取り繕う必要もないくらいの敵意を見せるんだよな。
ただ風太郎がああである理由の一端を緑には本当に理解出来るから、泣くしかなかったんだと思うし。
ホント似た者同士というか風太郎の「世の中銭ズラ」と緑の「お金持ちで良かった」って言える傲慢は、本当はそうじゃないと思ってるからそこまで言いきれると思うんだけど。それが例えば伊豆屋の人たちみたいに「貧しくても心は美しく」っていうと妙に偽善に聞こえるのは見てる方の価値観が揺さぶられてるんだと思うよ。言ってることは変わってないのに。貧しいから美しいなんて、お金と言うものを心の正しさや美しさと比べて下に見てるから一見善いこと言ってる気がするんだけど、お金はお金で、本来使う側の人間の価値観でどうとでもなるものなんだよね。
だから面白いのは命の対価のはずの10億円を持ってうろつく健蔵で、健蔵も風太郎の対比なんだけど、健蔵ってそれこそ金というものをそれ以上でもそれ以下でもないと思ってるんだよな。風太郎の「世の中銭ズラ」と同じように「世の中は金」だと思ってるけどそれは自分の中の価値観じゃなくて世の中の価値観としての「金で買えないものはない」だから、愛情や友情はお金では買えないといい、10億円あってもスカッとするからというだけで1億円を寄付する。その金に群がる人間を見ても別段軽蔑するわけでもなく優越感に浸るわけでもなく、単に「結局金か」というだけ。ある意味達観してるというか、なきゃないなりに過ごせるけどあれば有効に使えるのが健蔵だというのは、金を持ってても使い方を知らずビルの屋上から撒くことしか出来ない風太郎とは大違いというか。健蔵が10億円をどう使って、風太郎がそれに対してどう思うのかもちょっと興味ありますよ。でもって萩野はこれきりなのかどうか、風太郎に対してどういう風に気持ちを変化させたのかも気になるけどなぁ。
でもって興味ないといいながら自分のせいで茜が自殺したことを、風太郎はどう思うのかな。