そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

スター・トレック

http://www.startrekmovie.com/intl/jp/

これもオリジナルのリ・イマジネーション(笑)らしいですが、面白かったー!素晴らしい!
ホントに今までのスタートレックっぽくなくて面白かった!と言うと語弊があるけど、何というか、全体にどうしても理路整然としたイメージというか、スタトレって小奇麗で未来的でクリーンな感じがあったんだけど、これは全く違ってるというか、ある意味普通のSF映画で、しかも熱い友情モノだった!
監督は「クローバーフィールド」のJ.J.エイブラムス監督なんですが、 *1 想像以上にスゴイものになってたと言いましょうか、その上でお話も予想以上の面白さだった。スタトレじゃないみたい(笑)
オリジナルに関しては監督は知ってる程度、プロデューサー兼脚本家の2人のうちの一人はまったく未見、もう一人はスタトレオタクのトレッカーらしいけど、監督が知らないからこそバランスいい内容になってるのか、それとも単純に監督の才能がスゴイのか、とにかくオタクが多そうな作品だけにこれ見るとオタクじゃない監督ってのは良かったと思う。
そういや一体どういう層が見に来るんだろうと思ってたけど、意外と普通の若い人体も多くてしかも外人率高くて(バルトなのに)、終わったあと拍手まで起ったよ。ああ〜言ってもしょうがないけど「ROOKIES」がなければもっと大きなスクリーンで見られたろうになぁ。残念。(ROOKIESなんて大きいスクリーンである必要ないやんけ)
 
オレはどっちかというとオリジナルの「宇宙大作戦」のほうはうろ覚えの、TNGネクストジェネレーションズ)ファンなんでいろんなことがアヤフヤで、今回のこの映画もこれがパラレル設定なのかどうかすらもよく判ってなかったんですけどね。カークのお父さんは生きてるのか死んでるのか。バルカン星は破壊されたのかそうでないのか。というかそもそもTNGってバルカン星人ってあんまり出てこないし。
そのかわりに出てくるのがロミュランなんで(人種が似てる)、ロミュランのルックスもあんな坊主の入れ墨じゃない、宇宙船はウォーバードじゃないんで最初まったくピンと来なかったです。こっちの方がカッコいいんだけどさ。
そういう細かいところであれあれっと思うところはあったけど、途中からはあんまり気にならなくなったんでまあいいかと。
セットもTVと映画の予算の違いはあるんだろうけど、未来的ハリボテ感のある小奇麗なセットなのが今までのスタトレだったんですが、程よく汚しが入ってたりディテールが落とし込まれてたり、でもやり過ぎ感もなく、美術的にもすごく良かったです。宇宙空間とかキレイだし、何よりもロミュランの巨大宇宙船とか造形的に美しすぎる!カッコいい!
建造中の宇宙船のシーン(宇宙で作れば効率いいのに何もアイオワで作らんでも‥‥って問題じゃないんだよなw)やアカデミー周辺の風景とか、ああいう巨大感のあるロケーションはもっと見たかったなぁ。エイブラムス監督の構図もすごくカッコいいし。
あとオレはTNGっ子なのでやっぱり一番D型艦に思い入れがあるんだけど(E型のあのちょっと楕円なとこもカッコいいんですが)、今のCG技術でリファインされてる無印エンタープライズ号がやたらカッコいいですよ。あの形ってシンボリックだよなあ。
 
TNGはわりと宇宙を舞台にした大家族モノって雰囲気があったんだけど、オリジナルがどうだったかってのはともかく、今回のこれはカークとスポックの友情モノでした。
カーク船長って向こう見ずで大胆な情熱家‥‥って割に、オレとか今の概念だとどうもあのルックスってそうかなぁって思ってしまうんだけど、そういう意味であの時代のそういう熱血キャラを今描くとこうなりますって言うのが今回のジェイムス・T・カークって感じで、非常に魅力的な人物でした。なんか「魅力的」とかいう形容詞使うとこそばゆいんですが、そうとしか言いようがないです(笑)
カークにしてもスポックにしても他のクルーにしても、エイブラムス監督の捉え方がすごく人間臭くてウィットにとんでるというか、ちょっとしたことでキャラが立ってて良かった。
カークは負けん気が強くて大胆で型破り(子供の頃のエピソードかっ飛ばしすぎ)、目力強いしまさにカリスマリーダーって感じ。(艦長と言うほど落ち着いた感じじゃないし)
スポックは中の人がHEROSで殺人鬼サイラーやってた人なんだよね。とにかく似てるw オリジナルのスポックだったレナード・ニモイの使い方としてもちょっとウケた(笑)そりゃ似てるよな。
あとは細かいとこで笑わせてくれるんだけど、転送係はTNGからの伝統なのか(オブライエン〜w)モジャ頭のダメっ子萌えキャラ?その設定の付加はいったいどういう愛されキャラにしたいのか?未来でもロシア人は英語の発音が出来ないのか?というかドジっ子で愛されキャラってのはこういうキャラだよなーとしみじみ。だって、「僕ならロック出来る!」って言って船内を走っていくとこなんか超カワイイですヨ!そこまでのダメっぷり、ドジっぷりをすべてチャラにするいい活躍でした!*2
あとはスールーの役に立って良かったフェンシング、あのネタの落差の落としっぷりは笑えた(笑)判ってるなぁ!あとスコッティ(愛されダメキャラ)の転送後のパイプ流れ、何でそこにベタなギャグをいれる?そしてなんてったってずっと引っ張ってたネタ、カークが知りたくてしょうがなかったウフーラのファーストネームをあんな場面で知らせてしまったり、いちいちキャラ絡みの小技が効いてんだよね。ウィットにとんでるというんでしょうか(笑)
それと氷の星でカークが襲われる怪物がどう見たってクローバーフィールドの怪物っぽいとかさw(しかも結構コワイ)
話はとにかくカークの生まれた瞬間からのドラマティックな流れからその成長っぷりと、対比しながらスポックの生い立ちとその人生の選択を順番に見せていき、アカデミーではあっという間に3年経ち(その間のモンタージュもないでやんの!)、緊急事態からエンタープライズに乗船しそのまま戦いへとっていうのを最後まで一気呵成に見せられるんだよね。もちろんエンタープライズが出来る乗員の憧れの船だって描写は忘れません。だから生き残るんだよなw
ストーリー自体はちょっと判りにくい展開もあるけど、そこら辺はもう逆に考える余地なく流されるままで、とにかくその上でカークとスポック2人の友情の話なんでまあいいかってとこですか。
以下ネタバレありますが。(どこまでOKな話なのか判んないんで隠さないけど)
 
 
というか冒頭でもう泣けるんですが、カークのお父さんがロミュランとの交戦中に12分だけ船を指揮して乗員800人を救い、自分は船体ごと突込んでいく‥‥ってとこ。
まさにそこでカークが生まれたんだけど、エイブラムス監督が上手いなぁ小癪だなあと思うのは、戦闘中の騒がしい中、突っ込む直前カウントダウン表示がされたとこで一転静かにクラシック調のBGMを流してその決意の悲愴感を出しながら、脱出中のシャトルの中で生まれたカークの様子がコクピットに流れてきて性別を聞いて名前を付ける‥‥って、なんかもう演出としての判ってる感にやられるわけですよ。そりゃ、カークは伝説の偉大なる船長になるべくして生まれてきたって思えるよ(笑)この話はのちのち劇中で逸話になってるくらいだからそれに見合った描写というか、ホントに上手いです、監督。ツボを判ってますヨ。むしろこういうノリって日本人的感覚な気がするよ。さすがオタク。
でもって話自体は「え、そんな話だったの?」っていうか、タイムスリップネタありなんですが、よく考えたらTNGだってそういうネタありまくりだったんで、これはありなんだよなw でもそのせいでたぶん一般の人にはちょっと判りにくくなってんじゃないかなあ。普通ありだと思わんだろよw
ただその未来のスポックが出てきて今のカークに会って〜ってくだりが、それでカークとスポックが固い友情で結ばれるんだっていっちゃったらそりゃ反則じゃんって気はする(笑)いいけど若いスポックは未来の自分に会ったらちょっとは驚いて下さい。セリフがああだから一瞬考えたよ(^_^;)カークも騙してたしw
スタトレファンなら転送というものがとても便利な設定ギミックだってのは判ってるんだけど、要所要所で万能じゃないってことを上手く見せてるんで、それゆえのスポックの悲劇とか、助かるかどうかっていうハラハラドキドキが結構あって、何というかとにかく見せ方が半端なく上手いんだよな。ホント、クローバーフィールドは伊達じゃない感じです。(オレ、MI:3見てないから)ちゃんと映像表現の手段というものはドラマを見せるためものものっていうことが判ってるというか、設定やギミックを見せるのではなく、物語と、人と人の関係性やその感情を見せるものだってのを理解してるからこそというか、多くのSF映画がやりがちな失敗をちゃんと回避出来てるってのがこの映画が面白い理由だと思うよ。
そしていつ出るかと思っていたあのナレーション、「宇宙、それは最後のフロンティア」は最後にちゃんと出てくるし、もちろんそれはエンタープライズ旅立ちの時に言うべきでしょう!ってのは当然ですね。
ああもう一回見に行きたい。

*1:6/27追記:クローバーフィールド見返してたらクロフィーの監督はエイブラムスじゃなくてマット・リーブスでした。エイブラムスは制作ね。ずっと勘違いしてたよ、スマン。

*2:いやほら、例の脳ドラマのドジっ子刑事と比べると、こう言うのが愛されキャラだと思うのよ。本人のせいじゃないけど、プロフェショナルの中のドジっ子ってやっぱり何か一芸に秀でてるべきだと思うの。