そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

光の六つのしるし(WOWOW)

http://movies.foxjapan.com/hikari6/

この原作、オレが子供の頃すごく好きだった児童文学ファンタジーなんですが(小学生の時に好きだったのはナルニア、中学生になってこの物語を知ってハマったよ、マジでウェールズに行きたかった)、ロードショーは確か見に行き損ねたというか、どうもイマイチ見なきゃって気になれなかった映画です‥‥が、うう、これはヒドイ‥‥酷すぎる〜( ´Д`)
かろうじて良いところを見つけようとしたらせいぜい画面イメージは何となくそれっぽいってくらい。でも「ライラと〜」程ハデな画面でもないからどうもお寂しい感じ。キライじゃないけどね、原作の雰囲気は出てるから。あと「しるし」の隠し場所がフラクタルだってのはすごく良かった!こういうところ一応それっぽい雰囲気はあるんだよね。だからもったいないの、こんな筋立てだってのが。
そもそもさー、主人公のウィルのイメージ違う気が‥‥原作は手元にあるけどここん十年読んでないんで子供の頃の記憶のままですが、ウィルってさー、もっとハリー・ポッターみたいな子供子供したカワイイ感じだと思ってたんですけど。カワイイけど大家族の末っ子で兄ちゃんたちに常日ごろからからかわれてて負けん気強い生意気っ子だったと思うぞ。だからこの主役の子、話の設定的に小道具とかやたら妙に現代風にしてる(ファンタジー描写との対比だと思うけど)からか、すごく現代的な大人びた美形なんだもん。全然ちがーう!(注:ウィルは映画は14才、原作では11才だった。そりゃ子供だよな)俳優さんに罪はないが、こんな映画になってしまって気の毒すぎ‥‥
オマケにこの脚本、全然ダメ。
ストーリー自体はほどよく忘れてるから映画として判断するけど、全く何が起こってるのか判らないよ。穴だらけのライラやVFXに入れ込みすぎて話がおざなりだったナルニアより酷いよ。
そもそもこれの映画化の話を聞いた時に思ったのは、ウィルたち「古老」の敵であるところの闇の「騎手」って、とてもじゃないけど光と闇の戦いの映画として相応しい敵じゃないからどうするんだろうと思ったんだよね。そしたら案の定しょぼい感じでなぁ‥‥古老たちの後手後手に回った揚げ句、クライマックスがウヤムヤな大嵐じゃねー。
それにこの話ってシリーズ1巻目なんだけど、原作自体が展開として取り立てて面白いわけでもないんだよね。むしろクライマックスとか拍子抜けしたし。だから余計にこの映画化聞いた時に「何で?」って思ったのよ。昨今のファンタジー流行りに乗った、VFXが発達したからやりましょうって企画されただけの映画かなーと。
「しるし」を取りに行く方法もあっさり見つかるのはともかくとして、時代が移動する‥‥ってのはこの映画だと絶対見てて「意味」が判んないって。あーホントにもう何がやりたかったのさ。話追っかけるだけで精いっぱいだよ?一応これ、子供の成長と責任の自覚のお話なんだけど。
それにどっちかというとこの物語の世界観って英国的な歳時記とリンクしてて、初っぱなの冬至とウィルの誕生日、そこから新年すぎにかけての戦いなんだよね。そういうイベントが折り込まれてるから子供が読んで、よりファンタジー色が強くて面白いのになあ。だからどっちかというとハリポタみたいなインチキ魔法ファンタジーと違って、ファンタジーでも民間伝承っぽいんだよね。ってのは、これって古イングランド、というかその昔のアーサー王伝説と絡んだ話だから、そういう部分取っちゃったらますます面白味がない‥‥というかもともとこの映画、1本しか作る気ないよね?光のしるしを6つ集めたら闇を打ち砕きました‥‥って、そんな簡単なw
原作で読んでると、ウィルがしるしを手に入れていく過程はすごくドキドキして面白かったし、古老としての役割や探索って日本人の子供からしたら結構異質な描写とかあって「なんか特別なこと」って感じられたのになあ。そもそも映画で「古老」の説明ってあんまなかったけど、時間と空間を操って過去と現代がリンクした状況でしるしを見つけるっていうのが、子供の冒険というより大人の使命としての仕事って感じですごくワクワクしたんだよねー。
そういや今回映画ビジュアル見て初めて「光のしるし」がケルト十字だってことに気がついたよ。まあ子供の頃はケルト十字なんて知りませんでしたが、そういやアーサー王なんだからそうかも。
とにかくこの映画は酷すぎる ( ̄д ̄|||)もう作んなくて良いよ。‥‥ああ、実写でブラァンと11才のウィルを見たかったなぁ‥‥
世の中には映像化しても面白くない、無理なものってあると思うのよ。これもナルニアもそうだと思うなぁ。ナルニアなんて最後どうするんだろ、ディズニーなのに。ネタバレ注意*1

闇の戦い〈1〉光の六つのしるし (fantasy classics―闇の戦い)

闇の戦い〈1〉光の六つのしるし (fantasy classics―闇の戦い)

*1:最後みんな列車事故で死んじゃって、神の国アスランの国に行っちゃうの。あまりにもものすごいキリスト教な価値観にカルチャーショックを受けた小学生のオレ‥‥