そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

BECK

http://www.beck-movie.jp/

監督:堤幸彦 脚本:大石哲也

あー、思ったより面白かった!よかったよ、これならDVD買ってもいいくらい。(本当に買うかどうかはその時の経済状況次第)これは良い堤映画でした。堤監督、やれば出来るんじゃんw というかやっぱり個人的に思い入れのある題材の方がやっぱり撮ってて楽しいいんだろか。
原作読んでないし10巻目くらいまで読んだほうがわかりやすいって言われてたけど、話は別にわかんないこともなかったかな、まったく問題ありませんでした。
たぶん個別の細かいエピソードは省略してるんだろうなあと想像はつくし、やってる方がそれを補って演技してるからキャラとしてわからないってこともないしな。まあただ映画だからしょうがないけど展開は早いよ(笑)でも二時間半は長いよ?←隣の妙齢のお姉さま方wは長いと文句言うとった
BECK結成して注目され、人気が出て(だよね?)つぶされそうになり、グレイトフル・サウンド(GSSS)に出られなくなったりまた出られるようになったりとか、BECKのバンドとしての評価の描写がギリギリだってくらいかな。そこはさすがによくわからんかった (^_^;) でもまあお話的には問題なし。いやホント、思ったより映画として話が面白くてよかったってくらいに。最後はどう見たってやりっぱだけどなw
 
主演は一応竜介(水嶋ヒロ)だけど、完全にコユキ佐藤健)が主役で、何の文句もありません。むしろそこんとこを間違わなくてよかったと思ったくらい。
BECKの話自体知らないんだけど、伝え聞くところで天性の才能を持つというコユキのボーカルはどうするんだろう、吹き替えたって話もないよなあ‥‥と思ってたら、まんまマンガ的な手法というか、「音を出さない」だとは。原作者の意向らしいけど、これは上手いね。
で、その声のイメージとしての映像があまりに美しく情感に溢れてて、タケるんの表情とマッチしてるので、ここだけでも堤幸彦監督のお仕事として素晴らしかったといってもいいくらいだと思った(笑)あ、一応「コユキの歌がスゴイ」という情報があるからだけど。
この効果って「歌わない」っていうことだけじゃなく、メロディは流れてるんだけど、観客の反応がそれまでのライブでのノリノリの「動」のシーンから一転して「静」のシーンになるんで、余計にコユキの歌のスゴさが強調されるし、音はないけどその分イメージとしてのコユキの歌がどういうものなのかを描写してるのがスゲー良かった。もちろん最初の真帆の前で歌ったところもそうだけど。(というかなんで真帆はそのことを竜介たちに言わないんだろうとは思ったがw)
基本的に堤監督って上手いから、こういう事がサラッとできちゃうんだよなあ。余裕だよなあ。映像的なアイデアはスゴイんだよな、この人。 *1
他のメンバーも脇キャラも、原作ファンはどうかしらんけど、オレは見てて違和感はなかったかな。
キャスト的には千葉(桐谷健太)が出張ってるのもバランスとしては良かったし、平(向井理)とサク(中村蒼)の出番ってことではあんなもんかと思うけどキャラとして描写がないわけじゃないからね。十分満足です。コユキとサクの絡みがカワイかった〜(*´∀`*)というか、蒼くんはいい仕事してるよなあw
あとコユキに絡むマサル桜田通)とヨシト(古川雄大)が「超・電王」すぎてちょっと笑ったけどw
でも古川雄大があまりにもビジュアルバンドの人みたいで出てくるたびに笑ったよ。つか歌上手いしさあw(さすがテニミュ!)そして何気に後ろでマラカス振ってる三浦涼介
あ、上手いっちゃ桐谷が上手かったなあ。なんか見てる間、あまりにも自然にオレの中でミュージシャンカテゴリになりすぎて「あそうか、こいつ俳優だよな」と我に返ったのが最後のステージの終り頃という‥‥(笑)いやマジでw 歌云々というか、パフォーマンスとか役の成りきりっぷりというか、なんかいろいろ上手すぎる!
キャスト的には竜介のライバルの栄二がそういや水上剣星だったんだよな。見たことあるけど誰だっけこいつ‥‥と思いながらも最後まで気がつかなかったw ”1年前の”水上剣星、ハマりすぎてる! *2 というか普通にどっかのミュージシャンだと思ってた。ギター上手いし。ヒロたんはちょっと‥‥ゴニョゴニョ‥‥カメラワークとカット割りに助けられすぎてるから、たぶんそこそこだったんだろな。うん (^_^;)
まあヒロたんはギターだけが残念なわけでもなく、やっぱりというか案の定というか、微妙に浮いてるよなあ、他が「ナチュラルに」上手いから。どうしても演技過剰に見えちゃうんだよなあ、って見えるんじゃなくそうなんだけど。‥‥何がいけないのか。(わかってるけどあえて言わない)
 
というかストーリーとしても竜介があまりに残念な人でイタくてちょっと微妙な人感ありありで、まあこれはこれでヒロたんの浮いてる感でいいのかもと思ったりしたけど、そういことだよな。準主役くらいにしとかないと、竜介のやってることって許されない‥‥とまではいわないけど、許していいもんじゃないだろ?バンド的にもさあ。
内容的な話になるけど、映画だけ見てると明らかに竜介とエディのやったことって問題じゃないか?「やんちゃ」っていうけど、車上荒らしだぜ?人のもの盗むなよ、盗んだら返せよ。ギターと犬を持ち逃げしといて勝手に「こいつにかけて約束だ」とか言って「イイ話」にしてるけど、両方とも持ち主に返せよ。それともそこは原作ではなんか返さない理由があるのか?というかうまいこと言って盗んだ超曰く付きのルシールを竜介に押し付けたエディって!w
だから展開として一緒くたになってるけど、竜介のルシール持ち逃げがバンドの成り行きに関わってるってことと、コユキというスーパーボーカルがいるBECKというバンドのベル・アーム絡みの存続問題は別だよな。

千葉のボーカルとしての悩みにしてもコユキの恋愛にしても、竜介が「個人的な問題」っていうのはともかく、その竜介がバンドの雰囲気悪くしてるから、それが余計に表面化してんじゃん。真帆(忽那汐里)がいうように「自分で作ったバンドを壊して何が面白いの!」ってその通りなんですけど。悪いのは竜介だよね?これって原作もなの?1本の映画にまとめるための再構成のしわ寄せ?まあそれはともかく。
その竜介のルシールとレオンのエピが、ベル・アームをプロデュースする蘭(中村獅童)の妨害でGSSSに出場できなくなったBECKを救うとか、ご都合もいいとこだと思うんだけどね(苦笑)
つかさ、ベル・アームとBECK、もしくはダイブリって、ジャンルぜんぜん違うよね?べル・アームって完全にビジュアル系じゃん。ライバルでもないだろよ。竜介の元仲間の栄二がそれに参加してるのはともかくさ。(あのバンドって企画もんだよな?え、違うの?)
まあそれも映画だからいいとしてだけど、レオンさんと観客動員数でBECKを解散する約束しちゃったとか、仲間に黙って勝手に取り決めちゃってる竜介は何いってんの?って感じ。しかもそれを直前まで仲間にも言ってないとか、意味分からん。平君の言うとおりだよ、竜介がそんなに約束していいわけないじゃん。レオンにただ働きさせられるのはともかくとしてさ。(タダ働きだけでいいんだー?w)ヨシトがコユキと自分を天秤にかけて真帆に選ばせるってのとは問題がまったく違うよな。
しかも千葉に対して「BECKにいらないヤツ」だとか、何いってんの!?Σ( ゚Д゚)って感じ。バカじゃね?コユキのギターの時もそう思ったけど、竜介性格悪すぎる。エキセントリックというよりむしろ自分勝手な人格破壊者?
だから最終的に良い方向に向いたけど(それも奇跡のバンドの伝説エピか?w)、その竜介って許されるの?って思っちゃうというか。
まあ音楽物としては最後のカタルシスへのもって行き方とかセオリー通りで、ライブシーンの迫力もすごかったし、やっぱりなんだかんだ言っても大観衆と音楽の力はスゲーってことでOKなんだけど、脚本ってことじゃなく竜介の行動の結果の話としては許しがたいものがあるよなあ(苦笑)
 
あ、映画としてはコユキ視点で見てたんで面白かったよ。確かに奇跡としか言いようがないバンドはあるし、テクじゃなくケミストリーだってのはわかる。オレ、バンドもバンド系の音楽も実は全然詳しくないけど。(音楽は聴くけどバンドとかメンバーとかさっぱり。基本邦楽聴かないし。好きなバンドはMr.BIGDream Theaterくらいですが)
後半のバンドの話、竜介がらみのルシールの話とか蘭の妨害とかよりも、普通の少年だったコユキがつまんない日常から抜けだしてバンドに自分の居場所を見つけ、しかもそこに唯一無二の才能があったって話として面白かった。ベル・アームの話も妨害云々より恋の三角関係の相手としてのヨシトとの絡みの方が気になったし。
とにかくコユキをやってるタケるんのあの雰囲気とか表情、あれがすごく良かったんだよなー。オドオドしてるとこから竜介に出会って変わってって、ギター上手くなりたいとか思ってるのに実はボーカルの才能があった、でもたぶん本人的にそれをスゴイと思ってないみたいなとことか。真帆との描写も気持ちが近づくとこもすれ違うとこもすごくナイーブな感じで良かったし。月とかね。
んで、そのナイーブな感じのコユキと、あけっぴろげに見えるけどなんか一線引いてそうなサクのコンビがスゲー良かったのだ。この二人のコンビはBECKの中でも、他のメンバーに対するのとなんか違うって感じがして。
だからわりと初っぱなのコユキの日常描写が堤幸彦らしくない映像で新鮮だったというか、「ああこれはコユキの話なんだ‥‥」とちゃんと思えたというかね。原作ファンなら自明の話だろうけど、「水嶋ヒロ主演の映画」という触れ込みで番宣もイケメン売りだったことを考えると、映画は相当まともな青春ものだと思う。よかった‥‥
もうこういう内容なんだったら、主演もタケるんにしとけばよかったのに。ヒロたん、主演じゃないじゃん(苦笑)
 

 
あと個人的に、舞台挨拶で竜介の髪がカツラだってのをやたら気にしてたヒロたんだけど、見てて別段違和感なかったから逆にそこまで気にすることか?って気分にはなった。ヒロたん自意識過剰すぎ‥‥

*1:前に笑コラで映画監督の卵たちに同じお題で見本を作るってのやってたけど、明らかに上手かった。プロ的というか、当然だけど。

*2:そういやドラマデビューが2009年10月期の「東京DOGS」だから、この映画ってその前(7〜8月)の撮影になるんで、実質こっちが”初めての演技”だよな。