そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

かぐや姫の物語

http://kaguyahime-monogatari.jp/
監督:高畑勲 脚本:高畑勲坂口理子

面白かったよ!原作通りだったし変な改変もなかったよ!(笑)
てかこれでかぐや姫は月には帰りませんでした‥‥とかいう改変あっても困るよねえw
映像としては水彩風の背景に溶けこむようなあの描線のラフさのままのセル画表現が見事としか言いようがないです。まあジブリというか高畑監督って「となりの山田くん」とかもやってるからこの画面自体は驚くこともないけど、本当に今の技術すごい!
あと動きも赤ん坊とか動物とか本当にリアルで、特に赤ん坊の動きは赤子好きの人はたまらんと思います。(うちは赤ん坊いないし赤子に興味ないんのでなんとも言いようないですが)
それと姫以外のキャラは頭身が低く顔デカなのに姫だけが今風のキャラデザインだってのも(捨丸もだけど)姫が異質な感じでイイね。とにかく動きはなにもかも素晴らしくすごい。よくこんなの作ったなあ〜というレベルのクオリティ。
ちらほらネタバレ的な感想が流れてくるから早く見なきゃと思ってたんだけど、基本原作通りだし、キャッチコピーの「姫の犯した罪と罰」についても、パンフレット見たら監督がそれについてちゃんと全部書いてるし、これ以外解釈しようがないというか。それをちゃんと姫の気持ちとしても筋が通るようになってるってとこが見る人によっていろんな見方が出来る作品なのかな。
なんとなく見終わってぼんやりしながら、「これは宮�駿には作れねえ。そりゃ宮崎駿監督が悔しがるはずだよなー」とか勝手に思ったりしたw
 
話のほうはほぼ原作通り。姫がわがままだという感想もチラッと見たけど、この姫がわがままかと言ったらそういうわけでもないと思う。有力者の求婚のくだりも、なんでそうなったのかちゃんと筋通ってて納得できるし。
本当に高畑監督は考えられる限りあの原作をリアルに隙間埋めして説得力がある話にしてたと思う。原作通りでありながら姫の気持ちはちょっと今風とかね。
オリジナルキャラは山の男の子・捨丸だけなんだけど、彼がいるかいないかはかなり重要だったかなあ。
表面的な流罪になった理由は地球に憧れたことで(ある人の心を乱した)、だから月から見て不浄の地の地球に送り込まれたことが罰。だけど翁の勝手な先走りとはいえ、そのせっかくの憧れの地球で思い通りに暮らす機会を生かせず潰してしまったことも罰なのかなあと思ったり。まあそれは罰というには気の毒というか、翁が姫のために良かれと思っただけだし。てか世の娘可愛やなお父さんたちは反省するといいよ!ちゃんと子供の意向は聞かないとw
あとは月からの支度金が余計だったかとw しょせん成金貴族(って劇中でいわれてた)というかお金があるとろくな事しないな〜とかw

それでこの「月から来た姫だけが現代的なキャラに見える」ってのはあの中でのマレビトとしての特別さもあるけど、メッセージとしても機能してると思うのよね。
姫が都の教育係のいう「女とはこういうものだ」ということに反発し、初潮が来たら名づけされて品評されて、あとは有力者のところへ嫁に行くだけの存在だということを侮辱だと思って我慢できなくて、楽しかった子供時代を過ごした山へ帰る。だけど山は冬が来てすっかり様子が変わってて、それで大人になるとか、オレはちょっとあそこだけは姫の気持ちがわからなかったんだけど、この姫への女だということの押し付けは今の時代の女性の不自由さとも通じると思うし。わからなかったってのはそこで我慢してもその先は…?ってとこかなあ。花見の時の気の変わりっぷりもいまいちよくわかんなかったし。
ただまあそういう世の常識のいうお仕着せの「幸せ」に対しての「自分らしさ」を求める反発が姫の行動であって、それはわがままじゃないと思うんだよね。それがあの姫のビジュアルだとなんか納得できるというか。
だからこそ親の言いなりになってしまったせいで(というか進んでその意にしたがってたけど)本当なら得られるはずだった幸せ(だったかも知れない出会い)に気づかず、あとから悔やむっていうのも今的な感じだし。
だからそれを惜しむように最後に自由に振る舞うのが姫が月に帰る間際だっていうのはちょっと悲しいかな。そしてそれを忘れてしまうだろうってことも。(さらなる「大人になる」ってことか?)
最後のその捨丸のところに姫が走るのはともかく、すでに子持ちの彼がそのまま姫と逃げようとするとかおいおいお前…(^_^;)と思うんだけど、移動する山人の彼が都にいた理由とかその時の姫の態度とか考えると、ああ〜(;´Д`)と切ない気持ちにはなるね。そういうことだよね?(そしてオレはあのときヤっただろう派w)いやだって、どうせ忘れるにしても姫にそれくらいの思い出をつくってあげたっていいじゃないのさw
とにかく月に帰ることから逃れられない姫が、最後の最後で好きなように自分の意思で行動したというとこにはちょっと泣けたかも。
ともかくこの映画的に言いたいことは、せっかく今この地球に生きているんだからあとで後悔するような生き方はしない、常に生きることに一生懸命になろうてってことかなあと。
もしかしたらオレも記憶が無いだけで月から来たのかもしれん!そう思ったら自分の意志じゃなく生きることは罪ってことだよね。ましてや死にたいとか思っちゃダメ!w
 
あとはもう帝!(笑)とにかく帝!プリーツプリーズの束帯ってやつ?を着たしりあがり寿の色男キャラみたいなアゴの帝が、いきなり後ろからあすなろ抱きで現れて「みんなこうすると大喜び」とか売れっ子ホストみたいにささやくとか、姫でなくてもギャーって悲鳴を上げる!あそこやべえ、爆笑するとこだったwwwそりゃうっかり死にたいとか帰りたいって思うよなwwwキモすぎるわー(爆笑)
映画見たみなさんが帝!帝!言うはずだよwww
そうそう、プレスコで作ってるせいか役者さんがのびのびと声以上の演技してるのはいいけど結構そのまんま人も多くて、声聞いた途端にうっかりマイクの前で台本見ながら喋ってる俳優さんたちの姿が脳裏をかすめるよ。特に橋爪功とか上川隆とかw
 
ちなみに流れてきたブログ記事でちょっと良かったもの。感想以外にも鑑賞にあたって知ってればより楽しめることが書いてますぞ。

 
パンフは最低限のコメントしか載ってないんだけど、なんだか結構ぶっちゃけてたw
特に鈴木さんと西村プロデューサーがいかに高畑監督に仕事をしてもらうか、いかにかぐや姫を完成させるかという苦労とかね(^_^;)
高畑勲を選ぶか、映画を選ぶか」喪だけど、そこから同時公開でゴールを決めるというのも、結局間に合わなかったけど同時公開ってのもそのためだったとは…(^_^;)
あとは日テレ前社長のパトロン的な投資とか覚悟とか。
なんだかジブリの王国を見たあとでかぐや姫のパンフのスタッフのコメントを読むといろいろ腑に落ちるものがあるなあ〜w
 
追記。
これはかなりガッツリした考察っぽいね。いろいろ補完した。

あとそういや山の民の人たちがお椀作ってるの、お椀ってああやって作ってたのかーと思った。なんか木に生ってるのを取ってくるくらいの感じがw
あの時代ってたぶん陶磁器はまだ都の高貴な人たちくらいしか使ってなかったんだろうなあ。何でもかんでも木の器なのかな。お皿って概念もなさそう。