そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

予告犯

http://www.yokoku-han.jp
監督:中村義洋 脚本:林民夫 原作:筒井哲也

 
オレとしてはものすごく兎拍子抜けだった。
というかたぶんオレがここんとこ面白い邦画を見すぎてたんだと思う。
別にシンブンシの4人が脳内会議をするわけでもなく、最後の5分で何もかもひっくり返るわけでもなく、捻りなく普通にストレートに泣けるいい話だった…にしても本当に捻りがなかったのでちょっと拍子抜け。
そもそも「正義か悪か」って話でもないし、あのテーマ曲も違うと思う。あの曲好きだけど。
以下、ネタバレ微妙。
 
 
でもこの映画の描く「いい話」って、どんなことであれ人のために死んだらなんでも感動的ないい話になるんだよ…としか思えなかったというか。
まあそもそもこの話のいいたいことって、ネカフェ店員の窪田くんが言ってたように「それが誰かの為になるならなんでも出来るんだ」(ウロ)ってことだと思うけど、それもどうなのかなあ。
だって結局成り行きで人を殺したのに(かばわれた仲間はともかく)死んで終わりってのはないと思う。しかもそれがフィリピンハーフの少年の親探しのためという理由なのが嫌。自分のためにならともかく、その理由はどんな人間であれ人の死に見合わないと思うしそれを美化するのは好きじゃないよ。友達のためというならむしろ自分がやったことをそれなり償うべきだと思うなあ。クズなら殺してもいいって法はないと思うし、そういうことを「いい話として」消化してるこの映画はダメだと思う。
原作がどうかは知らないけど面白さとしてももう少し何か欲しかった。たぶん原作はネタからしてももう少しちゃんと面白いんだろうけどさ。なんかこの映画は違う気がするよ?
なんでこんな程度のものを映画化する必要があったのかなあとすら思ったくらいにオレ的にはあまり面白くなかったんだけど、一応WOWOWのやつは見てみるけどさ。
まあこの映画はスタッフが中村義洋&林民夫で「白雪ひめ殺人事件」と同じだからそういうミステリーな感じかと思ってたせいもあるけど、いろいろ肩透かし食らったなーというか。中村監督は怪物くん映画は子供向けとしてもクソだったけど、その白雪姫〜とか「アヒルと鴨のコインロッカー」は面白かったってのもあったしね。(ちなみに林民夫さんといえばセイザーXのメイン脚本家ですよ!)

お話として物足りないのはシンブンシたちの「予告」が思ったより質も量もたいしたことなかったからかな。
ネット民やSNSの無責任さについては特に言及しない方針ならそれでもいいし、劇中的に制裁自体は適正だと思う。そもそも彼らはヒーローでもなんでもなくただの無職の一般人だし。
だけど映画としてはもう少しちょっとした事でもいいから「社会的制裁」を見せて欲しかった。設楽木議員に対しての制裁は人を殺さないんであればあれでいいと思うし、大体ゲイツの性格を考えると人殺しはマズイと思う。でも世間的に盛り上げるならせめて10数件くらいはやって欲しかったな。やれたんじゃない?
あと肝心のゲイツ生田斗真)と彼らを追うサイバー犯罪対策課の吉野絵里香(戸田恵梨香)は、同じ境遇だけど結果としてこうなった、じゃなく「なぜそうなったのか」というのも含めてもう少し因縁を作って欲しかったかな。
二人が会う必要はないし、会わなかったからこそ最後のお願いも活きるんだと思うんだけど、なんかあの二人の「見えない繋がり」にあまり特別感がなく盛り上がらなかった。同じような境遇だったけど頑張れたから東大法学部に行けた吉野と、頑張れなかったから?派遣にしかなれず、しかもそこでイジメられてクビになる程度の人生しか歩めなかったゲイツ=奥田とは何が違ったのか、貧困を問題にするならそこはもう少し描くべきじゃないかなあ。
あと吉野が感情的すぎてそうじゃない感。原作知らないけどああいうキャラじゃない気がする。エリートなんだろうからもっと淡々としてクールで、でも立場と境遇の違うゲイツと共感するってのがいいなあ。というか吉野が男なら良かったのにw
廃棄場出の仲間もキャスティングでまんま全部説明されてるからあれが全てなんだとは思うけど、ゲイツが欲しかった「友達」の話もいいけど、それもなぜゲイツがそこまでするほどの思いだったのかも伝わらなかったし。
ただゲイツに計算を教えてもらって過去のバイト代を搾取されてたらしいと気がついた時のヒョロが「俺バカだから」っていうのに、「違う、教育の機会がなかっただけだよ」っていうゲイツとかはすごく良かっただけに、もし押し出すならそういうところをもっと押せばよかったのになあと。ちょっと映画のタイトルからくる印象とネタと実際のヒョロに関する「いい話」の内容がうまく噛み合ってない感が。
あとスゴいウロだけどゲイツが予告代わりに動画で宣言した「お前たちの尊厳が侵される事があるなら俺たちは立ち上がる」というやつ、ゲイツが現実社会で負け犬である以上、説得力ないんだよね。だって所詮SNSの炎上騒ぎをネタに社会的制裁ごっこをやって楽しんでるだけと同じだし。その点では最初の頃の吉野に同意。
まああんまり言ってもあれだけど、そういう意味で宣伝とか盛り上げ方とかこの映画をどういう風に見せたいのかってとこで受けた印象とはちょっとズレがあった感じ?少なくともオレは見終わってつまらなくてガッカリした。斗真の仕事としても「脳男」の方が面白かったなあ。
あと特撮班向け情報。窪田くんが良い役で出てて、出合くんが出番はちょっとだけどとてもいい表情しましたw 本田博太郎はちょい反則w
パンフは結構読むとこあったんで後で読むよ。映画の印象は変わんないと思うけど。