そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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天使と悪魔 未解決事件匿名交渉課#9(終)

http://www.tv-asahi.co.jp/tenshitoakuma/
脚本:高橋悠也 演出:波多野貴文
 
茶島さんの過去も明らかになってそれがそもそものドラマのネタと噛み合ってキレイに終わるという理想的な構成のシリーズでした。
ちょっと良くわからなかったんでもう少し突っ込んだ描写が欲しかったのは、そもそも神楽坂特任検事がなぜ自分の地位を脅かす結果になった匿名交渉課を作ったのかということ。
たぶん彼の言ったことから想像するに、自分たち検察が警察より上で、司法取引という違法行為をしてまでも実績を上げたかった、そして何より自分(たち)が罪を決める、決めていいという特権的な歪んだ正義感に酔っていたから…ということでいいのかな。この解釈でいいならあれでもわかるんだけど、神楽坂を「巨悪」というならそこはもう少しわかりやすくやっても良かったと思う。どのくらいの巨悪なのかが茶島の主観からの逮捕劇で描かれてるけど、できればもう少しわかりやすいほうがスッキリしたかもねってくらいだけど。
だってそもそも匿名交渉課のやってること(捜査)だけじゃなくその設立理由までが表沙汰に出来ない案件って、どっちがより問題なんだというか。
その一番問題だった神楽坂が10年前の利益供与事件に関わっていたというのはそれこそ延長してやっても良かったと思うし、まさに延長ってのはそういう時のためにあるんだと思うけどなあ。そこはちゃんと映像として見たかったよ。
だから底がはっきりしなかったから事件が2つあって、その上での10年前に冤罪を着せられた人と今回冤罪にされそうになった人と真犯人の関係も若干ややこしかったし。
どちらにしても最初のはたまたまもみ合ったら階段から落ちてそのまま死んでしまったっていう事故に近いものではあるけど、恋人との別れを受け入れられずしつこくつきまとい、今新しい恋人との将来を考えてそれを隠蔽しとくどころかまた殺してしまう(そしてまた死んでしまう)ような人間が、いい人だとも思えないというか。二人殺して自分は幸せに生きていけると思ってる「普通の人」なんていないと思うし、それで平気な奴は間違いなくクズだと思うな。
その件に関して、茶島さんが違法行為だとわかってて、自分の弁護士生命をかけてでも告発しようとしたというのはまさしく正義だと思ったし、ドラマとしてのカタルシスはそこにあったからいいんだけどね。
犯罪を裁く検事を辞めて弁護士という依頼人の利益に左右される、善悪も法のもとの正義も関係ない仕事でありながら、司法取引という二律背反な武器を使う茶島さんのやることんに揺らぎがなく思えたのは、そもそもが検事を辞めた理由からしてまったく正しい正義感を持っているからだったという結局茶島さんカッコイー!ってな話(苦笑)
神楽坂のいう正義はいつの間にか自分を正しく見せるための権威に成り果てていたんだけど、冤罪を作ってでもそれを守る、それに守られることを良しとするのは間違ってるから正されるべきという、司法取引という違法行為を描きながら、真実を探すというだけでなく結局はとても真っ当な、正しい結論になったこのドラマはとても良く出来ていたと思う。面白かったし、もっと評価されるべきだと思うなあ。