http://www.disney.co.jp/movie/tomorrowland.html
監督：ブラッド・バード 脚本：デイモン・リンデロフ、ブラッド・バード
これはオレは好きなジャンル＆傾向の映画なんだけど、あまりにも脚本で損しててもったいないとしか。
劇中で何が起こってるのかはわかるけど、それがなぜそうなってるのかがわからないんで、こういうネタが好きな人はいいけどそうでないと結構ポカーンな映画かも。
まあ普通にこの世の何処かに素敵な魔法のようなユートピアがある、それを信じることが出来る映画だと思えるならそれでいいと思うけどさ。
映画自体は久々にガッツリしたファンタジーアドベンチャーSFで、夢を見ることを諦めない、かつて子供だった大人に向けたジュブナイル…だと思う。ディズニーだけど子供というより大人向け。
あとタイトルがこれでディズニーの秘密みたいなあおり宣伝やってるせいか、レディースデーにしてもそういう層の女子多かったんでもしかしたらディズニーランドの映画だと思われたんじゃないかと思うけど（オレもそう思ってたし）全然ちゃいました。
まあ映画自体は面白かったし映像というかトゥモローランドの美術設定とか大変好みだし、おまけにジョージ・クルーニーはもとよりヒロインと少女は変なキャラ＆すごい上手くて良かったんでかなり楽しめたけどね。
ケイシー役のブリット・ロバートソンはちょっと新しいヒロイン像？あの真に迫った叫び声とビックリ顔がサイコー。25歳らしいけどなんか自由な感じで、地味顔のハイテクオタク高校生っぽいリアリティもあってよかった。
トゥモローランドの少女アテナ役のラフィー・キャシディも最初は癖のある顔だなあと思ったけどあのアクション（本人がやってるのかなあ？）とか佇まいがすごくキュート！二人とも演技上手いしカワイイ。
全体としては見てよかった。
フランクの家を脱出するとこもギミックサイコーな感じで良かったけど、もう最大の見どころを言っちゃうと、エッフェル塔が割れて謎のレトロロケットが発進するのをパリの人たちが写メってるのがクライマックスw あそこが一番ワクワクしたｗｗｗ
そしてトゥモローランドの描写は50年前の超絶レトロフューチャーなハイパー未来都市ですごく心躍るワクワクする光景だった。あそこスゴい！しかもタキオンで次元の壁を超えるんだぜ？オレも行きたい！街並みがカッコよすぎる！
ただでもあの都市が結局何だったのかまったくわからない。なんなんだ〈トゥモローランド〉って。
本当にこの話のストーリー、というか脚本、わけがわからないんだよ。
あらすじだけ見るととても面白そうで、テーマもメッセージもすごく分かりやすいんだけど、ブラッド・バード監督作のわりにストーリーが何やってるかワケがわからなくて正直「？？？」状態。脚本に何があったんだ？レベルに残念な出来としか。本当にどうしてこうなったとしか。
シンプルなアクションアドベンチャーのはずなのに何だかやたら話をややこしくして、しかもそれにまったく説明がないのよね。本当になんでこんな話？
映画自体は好みだしテーマもわかりやすい、「夢を諦めなければ未来は拓ける」って話だよね。でも全体にどうも「プルス・ウルトラ」関連のネタってことでとても不穏なのも確か。
そういやオレギリギリに行って頭2,3分見そこねたっぽいんだけど変な構成だったよね。フランクの話で始まって途中フランクの家？のカウントダウンが写ってフランクとケイシーが話してて、そこからケイシーの話になるんだけどそのまま最後まで行っちゃうの。あれなんだったんだ？なんでそんな構成にした？
ストーリーがあまりにもわかりにくくて複雑だったので一応突っ込んどく。もしオレが見落としてたらスマン。
以下ネタバレ。
- 「T」のバッヂを手に入れたヒロインのケイシーが追いかけられてるのはわかるんだけど、なぜ追いかけられてるのかさっぱり。どうして襲われるのかもさっぱり。あのバッチをもらったから追われているにしても、あのマニアショップがそういう人を引っ掛ける囮ってことならそれはそれで納得だけど、アテナを捕まえるためのってことならじゃあなぜアテナが追われてるのかと。追放されたから？アテナはどうして追放されたの？
- そもそも追いかけてるのはトゥモローランドの人（＝ニックス）だよね？
- というかあのトゥモローランドがなんなの？異次元の彼方の未来の国？高度に発達した科学は魔法と区別がつかない類のやつ？あそこならザハ案の最初の新国立競技場建つよ！ｗ
- バッヂはトゥモローランドに行ける人を選別（リクルート）するためのもので、あの世界にいる人はそうやって選ばれた優秀な人たちってこと？（なんの説明もなし）
- そもそも50年前にリクルートされたフランクと、その頃ディズニーランドを作って死んだウォルト・ディズニー、1989年のパリ万博に合わせて作られたエッフェル塔の仕掛けとエッフェルやジュール・ベルヌ、エジソンは19世紀の人だし時代が合わないと思ってたけど、このへんがプルス・ウルトラ絡みみたいだけど言葉だけで何の説明もなし。（宣伝記事っぽいけど→ウォルトも在籍？ 偉人たちの秘密結社「Plus Ultra」を糾弾する「Stop Plus Ultra」が始動 http://dpost.jp/2015/04/05/wp-24040/）
- ウォルト・ディズニーもメンバーで、劇中で出てきたレイ・ブラッドベリの「華氏541度」は読んでないけど確か焚書なディストピアものだっけ。そういう人たちが作った街ってことなのか〈トゥモローランド〉。それが何なのかがまったく説明なし。劇中ではケイシーも説明されてないので（だって質問するとシャットダウンされたし）だから観客もそれが何か、なぜケイシーが襲われるのかも知らないまま（だよね？）
- フランクはどうしてトゥモローランドを追放されたのか。はっきりとは言ってなかったけど禁断のあるものってあのモニターの事だよね。話を総合するとあのモニターは（変なたとえ話のせいで余計わからなくなったけど）地球の寿命を知ることができると。そのモニターを作ったからフランクは追放され、地球で”地球の様子を監視するモニター”を監視してると。
- でも結局そのモニターの信号の影響が地球の人間たちの気分に影響を与えて今の地球が悲観的な状態になってしまったということだよね？（ラストネタバレ）←説明なさすぎてわかんねーよ
- いいけど彼らは一般人をあんなに簡単に消していいんだろか？彼らが何者だよ。（ロボット以外）
- ともあれ、フランクがリクルートされた1964年にはすでにトゥモローランドは夢と魔法の国的に賑わってたんだけど、それが今どうして荒廃してるのかも説明なし（だよね）
- フランクがやさぐれたわけは分かった（笑）あんな可愛い男の子が恋が実らず50年経ってあんなやさぐれたおっさんに…（；´Д｀）
ネタバレ終わり。
「プルス・ウルトラ（もっと先へ）」は一応ざっくり調べてみたらスペインの国のモットーで、だからこの映画のロケもスペインでやってるっぽいね。
あの荒廃した今のトゥモローランドはスペイン・バレンシアの芸術科学都市*1だそうな（＞パンフ）あれはなんとなくスペインだと思った。（オレスペインのビルバオに行ったことあるけどあそこの空港が同じくカラトラバのデザインでとても未来的でカッコイイのだ）
最近だと「ジュピター」もそうだったけど今スペイン建築物ブームなんだろか？
あと麦畑から見るトゥモローランドはとてもシンデレラ城ですね（笑）幻影のあの街へ行くことを諦めなかった人だけがあの街に来られるってことかしらね。そうみたいだけど。いいけどフランクもだけどリクルーターが引っ張ってきた人たちって現実的にはどうなってるの？行方不明者？なんか死んだらあそこに行くみたいなノリあるよね。天国的な。
あともったいないのは、ストーリー展開に緩急がなくてずっと走りっぱなし、ギャグ描写は結構あるのに笑ってる暇がなさすぎてほとんどスルー状態でもったいなかった。
ジェットパック背負ったフランクが池で水切り状態って、どう見てもギャグだろよ（笑）コーラのゲップとか次元移動時の変な目隠しとか、他にも突っ込みどころ満載の細かいギャグはあるけど、なんでそこでちゃんと笑わせてくれないんだよ。そういうとこでギャグが不発すぎるのもブラッド・バード監督どうしちゃったのって感じでもったいない、とてももったいない。
ケイシーのお父さんからもらった大切なキャップ、川に流されたのをわざわざ拾うくらいなのに後半でどっか飛んでいっちゃってそれっきりって、なんかの伏線じゃなかったの？フランクが発明したジェットパックも最後の切り札的な扱いじゃないんだ？いろいろもったいないというか後半本当にどうしたのって感じ。
まあ出来は良いしワクワクするようなみんなの思い描く未来都市ネタなのに、とにかく話というより脚本がわけわからなすぎて、なんとなくではそれなりいいいような気がするんだけどとにかく不明点がありすぎて気になって仕方なかった。
なんかこれでもまだいい足りないくらいモヤモヤするですよ… (∋_∈) つまんないわけじゃないんだけど。
