そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ザ・ウォーク(3D字幕)

http://www.thewalk-movie.jp
監督:ロバート・ゼメキス 脚本:ロバート・ゼメキス、クリストファー・ブラウン 原作:フィリップ・プティ

 
今は無きツインタワーに捧ぐ…的な、さすがゼメキス監督としか言いようがない映画でした。一応3Dのほうがオススメ。
すでにないビルからの眺めにしてもそのビル自体にしても、CGとでの再現性が凄かったけど、2008年のご本人のドキュメンタリー映画「マン・オン・ワイヤー」の予告編見たら映像自体は写真などもそれなり残ってるのね。そっちは見てないんだけどちょっと気になるよ。
でもやっぱりもうすでにないWTCのツインタワーがあの中で再現されているってのはいろいろ思うところあるなあ。 *1
話自体はフィリップの生い立ちから始まってるけどかなりあっさりしてるから、彼がWTCを見て綱渡りをしようと思いその計画を立て実行するということ自体が彼の常軌を逸した執念として際だってる感じ。
そしてフィリップ・プティ役のジョゼフ・ゴードン・レヴィットの説得力凄い。当然綱渡りも出来てるからなんだけど、佇まいとかあの綱渡りへの執念が正気を疑うレベルな感じとかすごい。でも彼のあそこにロープを掛けたい…と思う気持ちがわからんでもないと思えるのよね。確かに映画の彼の目線で見るとあのビルとビルの間の虚空には魔力を感じるよ。綱渡りとか絶対死んでも無理だけど。
でも普通の人なら死んでも無理、不可能と思うような挑戦を何故するのかというと、「生きるため」という、綱渡りという「芸」に取り憑かれてるというよりそこに「美」があるからだということには納得するというか。
あれがただの芸だと不可能だと思うし、失敗したら死ぬかもしれないと思うから命綱を付けないとという発想になるんだろうけど、そうじゃなく彼の狂気が実現可能かもしれない「夢」に思えるからあんなにも協力者(>共犯者)が現れて、ツインタワーをマンハッタンのシンボル的に命を宿らせることも出来たのだなあと思うよ。
ストーリーとしては一番ハラハラするのは渡ってるときじゃなく準備の時だったw 本当にハラハラした。途中で裏切る奴とか出てくるし、警官とか無茶しようとするし。
補助ワイヤーのボルトや取り付け方はフラグかと思ってヒヤヒヤしたよ。「マン・オン・ワイヤー」を見てればまた違ったかもしれんけど(ネタバレ感w)
とにかく最初の一歩までがめちゃくちゃスリリングでハラハラしたくらいで、渡り始めるとあまりにも安定してるし最初の北棟から南棟への綱渡りがあっさり成功してドキドキする暇もなかったんだけど、彼が途中で感謝を捧げるところはちょっと不思議なものを見てる気持ちになった。
でもさすがにあまりにもワイヤーの上にいすぎて心配になってくるし、ネタバレになってもあアレなのであんま言わないけど綱の上でのパフォーマンスが恐ろしくなってくる頃にやっと終わらせる気になって、そこで警官たちが確保するあたりでまたハラハラ。
まあ失敗してたらさすがに伝説にはならないだろうけど、オレも前情報なかったんで本人がどうなったか知らなくて。この映画のガイド役、自分の偉業を自由の女神の上からガイドするフィリップって、もしかして幽霊?って思ったりw(というか本人まだ生きてたしw)
後日談的にその後の裁判の結果やら、友達や恋人たちの顛末(あまりにあっさり別れたんで逆にビックリ。さすがフランス人?)、展望台にサインをし永遠に使えるフリーパスをもらったことやらがなんだか夢物語のようで、今まだ現実に生きてる人だとは思えない感じ?(笑)
それにしてもいまだに誰なのかわからないという綱渡り直前にやってきた謎の紳士は一体何だったのか。マジで綱渡りの神か?なんで名乗り出なかったのかなあ?

しかしCGに予算を避けるハリウッド大作とはいえ、ツインタワーの再現やその使い方が本当に自然でまったく違和感なくてすごいなあと改めて思う。本当にまだツインタワーがあるみたいよ?
3Dで見たから映像自体もわりと実感的に感じられたけど見せ方上手くて、サーカス小屋で綱渡りをしようとしてポールが落ちるとこ、本当にびっくりしてオレマジで避けちゃったよw 今まで3D映画見てて石が落ちてこようが槍や矢が降ってこようがなんともなかったのにw
でもビルの上とかからの眺めは、オレ高いとこは苦手だけど安全なら嫌いじゃないので逆にすごいもの見せてもらったーって感じ。フィリップがワイヤーを渡る前の集中の時にワイヤー以外が消えていき、そしてまた風景が現れてくるという描写は、日の出時刻ということもあって神々しかった。彼のやろうとしてることがそういうことなのだと映像的に実感できる美しさだった。どちらにしてもあの光景を見た人間は彼(とその仲間たち)しかいないんだけど。
ジックリ考えれば考えるほど、綱渡りという行為そのものよりも、そこにある神がかった美しさに思いを馳せるような映画かと。ツインタワーがもうないということで余計にそう思わされるよ。ラストが夕日の中に消えていくツインタワーなのもよかった。9.11にはまったく言及してないけど思わずにはいられないよ。
いやでも強く思ったのは紹介サイトで言われてるような夢を追うことの素晴らしさというより、やりたいことにすごく適した才能があることってスバラシイ…ってことかしら。だって45分間もあんな場所であんなワイヤーの上にいられるってだけで超人だよ。あとま、犯罪には違いないけど人に迷惑はかけないみたいなこと言ってるけど、人でも物でも下に落ちたら被害出るよね。ワイヤーが落ちた時本気でハラハラしたよw
とにかくさすがゼメキス監督、過不足なく上手いよねえ。

*1:オレもちょうど2001年2月に初めてNYに行ってWTCを仰ぎ見ながらバッテリパークや自由の女神像あたりを観光しましたが、展望台はWTCとエンパイアステートで迷い、WTCは次に来た時にと思ってエンパイアに登ったんだけどまさかその年に無くなるとは思わんかったよ… その後跡地にも行ったけど。