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脚本：橋部敦子 演出：石川淳一 原作：草水敏、恵三朗
病理医と悪徳製薬会社の殴り合いとしてはまあ面白かったと思う。なんで病理医がそれをやらなきゃいけないのかってのはともかく、まあ予想通りの予定調和に終わったかな。森井くんも戻ってきてよかった良かった。
でも結局松田さんは死んじゃったしなあ。どうせ死ぬ病気であってもなんかドサクサな感じというか。そしてなんで火箱さんとデートって話になるのか。火箱さんは誰でもいいのかよ。
治験の話も最後までよくわかんなかったけど、なぜ病理医の岸が…ってのは、単に実際治療をする臨床医が忙しくて症例を検討する余裕がなかった、岸がデータをちゃんと読めて不審点を指摘できるるくらいに優秀だったってことでいいけど、そもそもそれ自体が病理科の仕事じゃないしなあ。ドラマとしてのポイントはそこなの？ってういうか。
すごくウヤムヤだったけど、結局新薬を投与して副作用が出た、データ改ざんしてくれないなら治験は止める、でも患者は死んじゃったから告発したってことよね。あとアミノ製薬の新薬に対しての入れ込みようは当然わかるんだけど、そんな副作用が出る薬は動物実験ではクリアーしたの？動物実験で問題なかったから人間で治験ってはずだよね？問題あるならまず潰しとけと思わんでもない。急ぐわけでもあるのかよ？さっぱりわからん。
前から言ってるけど、結局今回も対決構図の相手、「悪」の側を貶めて病理を持ち上げる方式だったのがやなんだよなあ。そこにちゃんと納得出来る理由があればいいんだけど、その辺の説明も描写も殆ど無いまま殆どの場合が相手を下げて病理科チームが正しいってやっちゃうからすっきりしないのよね。
そもそも最初は病理科をなくすって話だったと思ったのに、なんで製薬会社の悪事を暴いて終わるんだ？
病理科の仕事が病院にとって、いわゆる患者から見ての医者（臨床医）の診断に無くてはならない仕事だということを面白く紹介しつつ患者の病因を探る話じゃないのが納得いかん。病理医スゲェ！岸先生カッコイイ！病理医の言うことは絶対で、診断は100％正しいんだね！というカタルシスを描くドラマじゃなぜダメだったんだ？なんで臨床医が敵なんだろ。岸は患者の命を救うことや医者としての倫理観は絶対だというキャラなのに、なんで患者を救うって話よりも臨床医が悪いって話になるのか。臨床医が気が付かない部分で患者を救う病理医の話で良くね？
念のためもう一回言うけど、岸たち病理医の仕事内容が良くなかったんじゃなく、ドラマとして彼らをスゴいというためのその描き方が悪かったって話だからね。面白くなかったのは。
劇中で何度か言われてたように、岸先生の院内での扱いはともかく臨床医の診断には病理医の判断が絶対必要だから立場としては対等なはずですね。その上で岸先生が「特に優秀だから」智尋や細木先生、他の臨床医たちよりも判断が優れていて、だから「君たちが医者である以上、僕の言葉は絶対だ」なわけよね。そしてその裏付けとして、臨床医が8割でいいっていうところを「うちは10割出しますよ」なわけじゃん。それくらい優秀なんだよね？
でも現状のこのドラマだと、智尋が優秀なんだかそうでないんだか中途半端で、実は森井くんがモーレツに優秀だったってこともあり、結局岸も含めた病理チームとしてそこそこ出来る風に見えるから、病理が正しい話にするには臨床医を貶めないと話にならない。しかも不可抗力のミスならともかく医者のプライドや人格が問題だってのはどうなのかと。1,2本除いて殆どそうだった気がするんだけど。
まあそもそも岸が優秀だっていうのもそんなに描写されてない気がするし、なぜ定時で帰るのか、なぜ患者の事情に興味が無いのか（余計な情報があると判断が鈍るからってのはあったけど）ってとこまで突っ込まなかったし、だからといって熱血な智尋先生とも対比されてるわけでもないし、岸のキャラとしてとてもツッコミ不足で中途半端というか。
まあそれで最後、病理科を潰す話はどうなったのかっていう、ねえ。そもそもあんなに優秀な病理医がいる病理科をどうして潰そうとしてるのかもよくわからんし。だって森井くんが5人分の仕事して岸先生はその分量の診断を就業時間内に終わらせるんだよ？それで給料同じならどう考えてもコスパ最強じゃんよ。あの病院の院長がアホなのかって話だよ。そういや中熊先生が何だったのかもスルーしたままだしさ。
病院経営VS変人病理医だと思ってたのに違うもの見せられた感。
てことでとても長瀬の無駄使いだったと思うな。あと病理医の仕事自体はとても面白そうだったのになあ。病理医が主人公なのは地味だとかそういう問題じゃないよ？なんでこんなドラマになった？面白そうなネタだっただけに残念。
