そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

何者

http://nanimono-movie.com
監督・脚本:三浦大輔 原作:朝井リョウ

 
桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウの原作を「愛の渦」の三浦大輔監督が映画化ってことです。「愛の渦」は一時相方がずっと気になってたんでチェックはしてたんだけど、結構しんどい話らしいというのでまだ見てません。
最初は「桐島〜」の人ってことで普通に就活生たちの青春群像劇だと思ってましたが、一応ドンデン返しありっていう話だったんで前情報はいつも以上に入れずに鑑賞。とにかく内容よりも何よりも、完璧にオレ得すぎるキャスティングの映画ってことで興味津々な感じね。
話としては意識高い系や自分探し系就活生たちの精神的バトルロイヤル&SNS活用サスペンスって感じ。演出が結構ホラーっぽいんで人死にでも出るのかと思ったけどそんなことはなかった。
あとでネタバレ感想も書くけどとりあえず簡単な感想としては、この手の話は好きだし見てる間はメッチャ面白かったけど、見終わって意外なほど何も残らないことにちょっと驚いてる。原作もこんな感じ?(今ネット漁ったらどうも最後の方は映画オリジナルらしいね)
なんていうか、描かれてる内容はわかるし登場人物たちの気持ちもわかるんだけど、映画としてまったく心に響かない。自分でもびっくりするくらい終わった瞬間何の話だっけ?って思っちゃった。何がいけないのかな。ツッコミが浅いのかしら?
それともこの話に何かを見いだすにはオレはいろんなことを知りすぎてるのかもしれないのかな。各キャラクターに投影とか共感というまでもなく、彼らのやってることはとてもわかり易いんだよ。面白いんだけど、とにかく残らない。
サスペンスっぽいものとしての演出は過不足なく上手いから見てる間の色んな意味でのドキドキ感はとても楽しめるんだけど、なんか微妙な気持ちで劇場をあとにしましたよ。たぶん見たかったのはこういう映画じゃない気がするw というかこの話ってどんでん返しがあるようなサスペンスにするべきものかな?違うんじゃね?
 
キャスティングは最高。もうオレの見たい若手しかいないし、しかもみんなキャラとして嵌ってるし。
ただ最近タケるんってずっとこういう感じの役だよね(セカ猫見てないけど)なんかるろ剣のあたりからすごく性格悪くなったように感じるんだよなあ。余裕が無いというか、いつも演技的にぎりぎりまで攻めるタイプなのは知ってるけどあまりに余裕ない感じが見てて不安感をそそるんだよな。だからまあこの役には合ってるんだけど可愛げなさすぎるものどうかというか(笑)
あと岡田将生はもうちょっと前に出してもいいような気はするんだけど、引き気味演技なのがキャラ的に薄っぺらなのか役を詰めないようにしてるのかわからないのが若干不満。岡田くんもっと出来る人じゃんよ。山田様のキャラもだけど。
菅田将暉はいつもどおり超イケてるので十分以上に堪能。彼が内定祝のあとのタクシーの中で言う「なんで拓人が内定もらえないのか本当にわからないんだ」は秀逸。その後の拓人の反応込みでこの映画の肝ってあそこな気がする。あの微妙な反応の拓人もその後の展開考えるととても良かったし。
そしてこれだけ若手の演技巧者揃いの中でも改めて二階堂ふみは別格だと思った。好き嫌いは別として。
あとギンジって生田斗真だよね?ノンクレジットだったけど。
以下ネタバレでしか書けないことを。と言ってもそこまでまんまネタバレはしないかと。あ、パンフはこれから読むよ。
 
 
どんでん返しがあるって思いながら見てると自然と伏線や登場人物の言動には気をつけて見るんだけど、そのせいか若干期待しすぎだったのは認める。そこまでどんでん返しのパターンを探りながら見るってことはないけど、伏線くらいはね。
登場人物は演劇をやってた拓人(佐藤健)と同居人のバンドをやってた光太郎(菅田将暉)、ゼミの仲良しで光太郎と一時期付き合ってた瑞月(有村架純)、たまたま上の部屋の就活生だった理香(二階堂ふみ)と同棲してる彼氏(隆良(岡田将生)に拓人の先輩の院生サワ先輩(山田孝之)。そしてSNSとイメージの中でしか出てこないけど拓人の芝居仲間の銀次。
どんでん返しってことで、途中、喫煙室で拓人と隆良が銀次の話をしてる時にこれ「ファイトクラブじゃね?」って思ったのね。銀時っていうのは実は拓人の二役だった…みたいな。でもどうも銀次はちゃんと存在してる(しかも演じてるのは生田斗真っぽい)ってことでもしかして「イニシエーション・ラブ」みたいな倒述ものなのか?と思ったんだけどそのどちらでもなく、拓人の「もう一つの顔」ってことがそのまんま、思ったよりストレートだったんでちょっとばかり拍子抜けしたというか。
え、別に好き放題言う別アカあってもいいじゃん?(言ったった)何か問題が?
まあ劇中でアカウントをメールアドレスで探せると示唆されてるのにそれに鍵かけてないとか、ちょっとどうかと思うけどな。(ただTwitterって同じメールアドレスで別アカ取れないから、メインのメアドで憂さ晴らしアカ取るとかちょっと意味不明だけどな)
裏アカで友人たちに毒づいてる拓人が受ける報いが何なのか、というか報いを受けるようなことなのかと。就活できないのは性格が悪いからだと言われたらそうかもしれないけど。いやでも普通じゃね、あれくらい。
プライドとか考えてない、自分なりの夢がある光太郎、次が家庭の事情で希望ランクを落とさざるを得なくなった瑞月が内定決定で、意識高い系のプライドを捨てきれずにカッコつけてる理香と斜に構えすぎて自分が何者なのかわからない拓人が最後に残ってるのはそういうもんかなと。就活にかぎらずね。隆良は自分探し終了したけど上手く自分の強みを生かせればいいんじゃね?ハッタリ込みで。
でもってネットのまとめ見てみたけど、「終盤の“とある演出”は完全に映画オリジナル」ってあったけど最後の舞台的な演出かな。あれ原作と違うんだ、まあ映像的ではあるけど。
ただあれが効果的かといったら微妙かなあ。彼らがみんな〈何者でもないただ就活生という役割を演じてる〉んだということを皮肉っぽくいいたいんだとしたら分からなくはないんだけど、でも拓人の人生は舞台上で演じてるわけじゃないし(オレは特に途中まで銀次=拓人かもと思ってたんで)、瑞月が言うような拓人の演劇が面白いかどうかと言われたらブラックではあるけどだから何という、まさに小劇場演劇ではわりとありがちな問題提起かなあ。
気が効いてはいると思うけどそれよりもこの監督のドヤ顔感がチラついて見終わった後素直にヤラれた〜と思えなかったというか。
ところで拓人が自分の本心で語った面接の後のあのラストが全然意味がわからなかったんだけど、あれ拓人だった?どういうことなんだ。
本心で語ってもじゃあ彼に何の強みがあるのかということは劇中で描かれてないから、それこそ彼自身がいってたように学生時代に演劇かじってたヤツらなんかいくらでもいる…程度の話でしかないんだよな。それを上手くハッタリに出来てれば内定もらえるかもしれないけど。その点では隆良と同じレベルなのかどうなのか。せめて銀次の舞台をどう評価したのかがはっきり示されてればな。つか、銀次の舞台って散々な評価だけど、内容はともかくぱっと見結構レベル高そうだけどな。あれもうちょっと見たいw
後細かい突っ込みどころとして、理香の家での家飲みでステキな食器が出てくるとこと隆良が家でもオシャレな格好してるとこはオレもあれっと思ったし突っ込みたかったんで、拓人の分析にハゲドウしたよwでもそういう分析って現実の仕事にはあんま活かせないんだよね。わかるわかる、すごくわかるw